てれびのスキマ氏(手前)と舟橋政宏氏(奥)
「放送半年から『もうネタ切れだな』と言われ続けてきましたが、今もしていません。時代に合わせたネタ――コロナ禍やSNS関連の話など――が自然と生まれてくるし、こちらの“面白がる力”や台本化の技術も上がっていますから。
初期は逆転劇が多かったけれど、最近は『ママ友』や『学校』など、身近な世界の中で踏み出したちょっとした一歩に“激レア”を見出すことも増えました。確かに、初期の名作である『差し歯の代わりに消しゴムをはめた人』みたいなバカバカしくて一瞬で笑えるような激レアさんはなかなかいないですけど、僕にとっての激レアは『よくある場面でも、普通は出来ない決断をした人』だって含みます。そういう意味で、ネタ切れの心配はないですね」
台本は通常、作家の力を借りて、いわば作家主導で書くのが一般的だ。だが、『激レアさん』では、作家は、ディレクターが激レアさんへの取材をして台本化した後にアドバイスしたり修正をする役割で、台本はディレクター本人が主導して書くスタイルだという。
「台本をつくるうえで、大前提なのは『嘘をつかない』ということです。こっちの思っているようにねじ曲げるみたいなことするよりも、そのまま深く掘った方が絶対面白くなるから。結局こっちの頭の中にあるシナリオなんて予定調和だし、どっかで見たことある話になっちゃう。
それよりも、何か激レアなことをしているってことは、やっぱりすごく変わったキッカケがあったり、なにか思い切った決断をしたりしているから、それに至った経緯や理由を深く聞いた方が聞いたことのない話が出てくる。ディレクターはもう8年間台本を書いているので、どういう部分を掘ったら面白くなるかのセンサーができていて、心の機微みたいなところまで掬えるようになっていますね。作家さんも優秀なので、集まった情報が1話の物語として伝わりやすい構成になるよう修正してくれます」