2023年4月11日、カンボジア当局によって特殊詐欺に関与した疑いで日本人容疑者19人が日本へ強制送還された(EPA=時事)
もっとも、内容がセンシティブではなくとも、東南アジアの詐欺拠点に関する話題はニュースとして低調という扱いになりつつある。そんななか、カンボジアの詐欺拠点で日本人20人以上が拘束されたと、新聞テレビが一斉に報じた。
以前は、海外で組織犯罪に関わった20人以上の日本人が逮捕されたとなれば、連日、この話題でもちきりになった。そして報道各社がそれぞれ帰国した犯人の人となりを取材し「犯行に手を染めた理由」などとおどろおどろしく報じたはずだが、昨今では速報はされても、その後の詳細はあまり扱われない。似たようなニュースが続きすぎて、視聴者もウンザリしていることが伝わっているからだろう。
長年、詐欺事件の取材を続けてきた。平穏な日常生活で出会わないはずの異常なことに、普通の人たちが巻き込まれているのはおかしい、と思ったから追いかけてきた。ところが最近は、詐欺の実行側についても、それを報じる側についても、異様な状態が半ば当たり前になってしまった「結果」を見ている気がしてならない。