依頼者がしばらく腰を振っていると、いきなりユウが「やめて! 何してんの!」と騒ぎ始めたのだという。依頼者はすぐに引き抜き、謝罪した。だが、彼女は謝罪の受け入れを拒んだ。
「性交だけでも違法なのに、これじゃあ、レイプですよ」
ユウはその場で、デリバリーヘルスのマネジャーに電話をかけ、「むりやり本番をさせられた」と喚めき散らした。
「10分とか、たぶんそれぐらいだったと思います。青いジャケットを着た20代くらいの男が来て、自分がマネジャーだと」
「脅されましたか?」
「そんなことないんですけど。『性交だけでも違法なのに、これじゃあ、レイプですよ』とか。脅すというより、説教してくるような感じで不気味でした。免許証とか、スマホで撮られて。それから警察に通報されて」
やって来た刑事部の刑事は、いかにも醒めた様子だったという。
「2人組でやって来て、(ユウと)離されたんですけど。部屋から出されて廊下に立っていたので、声なんか丸聞こえじゃないですか。『むりやり襲われたのかどうか』とか、怪我について質問していました。彼女が『押さえつけられてとかじゃないけど。ショックです』とか何とか言ってて」
結局、警察官立ち合いのもとで、依頼者は木本と名乗るマネジャーと電話番号、メールアドレス、住所などを改めて交換し、示談のための話し合いの約束をさせられた。
「メールでも電話でも、こちらが連絡したら、その日のうちに必ず返信してください。なければ、すぐに訴えます」
マネジャーは、警官たちの前でそう言ったそうだ。