「店と亜李紗さんはグルで、丸山さんをハメたのだと思います」
さて、どう進めるか。私は、丸山さんに尋ねた。
「個人的には、この店と亜李紗さんはグルで、丸山さんをハメたのだと思います。業務委託契約書の内容が即座に違法とは断じられませんが、むりやり消費者金融に申し込みをさせたりするのはアウトですね。店と亜李紗さんがグルであることの立証ができなかったとしても、最終的には勝てる可能性はあると思います。どこまでやりますか?」
丸山さんの返事は曖昧だった。
「全額戻ってきますかね」
「取り戻せる可能性もありますが、断言はできません。コストとリターンの経済的な利益を考えれば、ある程度の返金を落とし所にするのもありかと思いますよ」
「どれぐらいの時間がかかりそうですか?」
「相手の対応にもよるので、まずは内容証明を出して反応を探りましょう」
しかし丸山さんの手元には着手金がなかった。私はやむなく、女風の店長と同じセリフを口にした。
「辛いでしょうけど、お母さんと話すのがいいかもしれませんね」
母親から送金がなければ、彼は今日、ネットカフェに泊まることもできないだろう。後日、着手金を受け取ったので、さっそくこちらから店宛てに内容証明を出した。