「丸山さんが反省しているなら、今回だけは特別に振り込みますよ」
《150万円の罰金は無効なので、渡したお金は全額返金していただきたい。返金がなければ、法的な手段を検討する》
すると翌日、店長を名乗る男性から奇妙な電話が入った。
「彼は反省していますか?」
まるで、コンサルタントか教師のようなしゃべり方だ。
「反省するも何も、不当な扱いを受けたのは、依頼者のほうですから」
相手の意図を探るため、できるだけ柔らかく返した。
「裏引きは事実ですよ」
「依頼者の認識は違います」
「じゃあ、反省もしていないわけですか」
「反省しているかどうかはお答えしません。そちらは返金の意思はありますか?」
私は尋ねた。
「丸山さんが反省しているなら、今回だけは特別に振り込みますよ」
ちんけなプライドなのだろうか。よくわからないが、返すというなら返してもらおう。
「そういえば、反省していると言っていましたね」
「わかりました」
「では、丸山さんがわたした分の、解決金105万円の合意書を送りますね」