歌舞伎町を視察する警視庁(イメージ、時事通信フォト)
金銭を受け取っておらず、本番行為もしていない
では《裏引きをしたら、罰金150万円》についてはどうか。
まず、「罰金」(刑事罰)は私人が科すことができるものではなく、この「罰金」は、損害賠償額の予定、違約金であると考えられる。違約金というシステムそれ自体は、丸山さんが「業務委託契約」であるため有効と認めざるを得ない。
労働基準法の定めによって、会社が「雇用契約した社員」に「違約金」を定めることは禁じられているが、「業務委託契約」した相手に対しては禁じられていないからである。ただし、契約書上は業務委託契約であっても働き方の実態が雇用であれば違法だ。
次に「150万円」という金額はどうか。
実はこれも「裏引きのペナルティ」としては直ちに違法とは断じられない。裏引きによって店舗側にこれ以上の損害が生じる場合もあるからだ。ただし、今回の丸山さんの事案については、店の側が丸山さんを「(罰金目当ての/偽の)裏引き」にハメたと思われるし、実際には、店を通さず会う約束はしたものの金銭を受け取っておらず、本番行為もしていないので、これに対する違約金としては高く、このような場合にまで違約金150万円を払わせるようなこの約束は公序良俗に違反し、無効であると考えられる。
また《裏引きで150万円》ではなく、《私的な連絡をしたら150万円》といった文言の場合も、これは「行為が生む利益に対する罰金」としては過大なので、無効になる可能性が高いだろう。