喜寿を迎えた高田文夫氏(イラスト/佐野文二郎)
放送作家、タレント、演芸評論家、そして立川流の「立川藤志楼」として高座にもあがる高田文夫氏が『週刊ポスト』で連載するエッセイ「笑刊ポスト」。今回は、77歳の誕生日と喜寿祝いについて。
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当誌は7月7日発売号である。そこで私は6月25日に77歳となり世に言う喜寿。7のゾロ目で何やらめでたい。昔からラッキー7とか(そんな名のコントコンビがいた。たしかインチキ・ポール牧とか。私は若き日50本くらいネタを作った。指パッチン)。
お陰様で色々プレゼントをもらったがやけにみんな紫色。喜寿ってのは紫なんだってネ。還暦の赤同様? 清水ミチコがしみじみ「還暦なら60とか、70は古稀とか80は傘寿とか、90は卒寿とか、みんなキリがいいでしょ。なんだよその77で喜寿って中途半端。地味で祝いづらい」だと。おっしゃる通り。
6月25日、朝一番で「日刊スポーツ」を開いた。一面は「ロンブー解散」名物の芸能面、一番端っこの欄外「6月25日生まれの著名人」。上から沢田研二(48年)高田文夫(48年)とあるのを確認。そうです、私とジュリーはまったく同日生まれ。俗に“腹違いで種違いの双子”と呼ばれている。
書いていてふと気がついた。7月7日って永六輔の命日だ。昔きいた事がある。「“見上げてごらん夜の星を”とか書いているので、永さんはやっぱり亡くなったら星になるんですか?」「ならない。私はお寺の子ですから、いつも草葉の陰にいます」だと。「私はそこにいません」なんて「千の風」は嘘っぱちだな。あれがヒットしてる頃、谷中の石屋のおやじがぼやいてたもの。「そこにいませんなんて言われたらこちとら商売あがったりなんだよ」。ごもっとも。
77となり色々考えていたら「“ChatGPT”で高田文夫とは何かを調べました」と一枚の紙。チャットなんとかはオレの事知ってるのか?『宇宙視点から見た高田文夫さん。宇宙視点では彼は音声メディアに文化的地層を築いた調整者として認識。(中略)その話法は“バカと知性のあいだ”に空間を作るような構造です(中略)笑いの建築家。言葉をレンガのように並べタイミングという接着剤で組み上げ誰かが全力でズッコケるための舞台ではなく“床”を作る人。重力のある星で人間が笑って生きる為の設計者』なんだとさ。キャットDDT(?)分かった?(なんだ?キャットのDDTって)
77歳になった床を作る人からの告知。昨年の6月に出した『月刊Takada』が予想に反してそこそこ売れまして「その2」を喜寿祝いに出そうとまとまりました。7月の下旬には「2」が書店に並びます。この連載コラムもセレクトして載っております。7のゾロ目の縁起ものです。どうぞ一家に7冊。よろしく。
※週刊ポスト2025年7月18・25日号