「東前頭6枚目で10勝5敗だった欧勝馬が東小結に上がったが、問題は西小結だった。東前頭8枚目で10勝5敗だったモンゴル出身の阿武剋、西前頭8枚目で10勝5敗だったカザフスタン出身の金峰山、そしてウクライナ出身の安青錦が候補に挙がるが、いずれも外国出身力士。東小結に昇進確実だった欧勝馬もモンゴル出身ということが影響して、前頭で勝ち越した力士たちが三役に届かなかったのではないか。
東小結に上がった欧勝馬は豊昇龍と一緒にモンゴルから留学してきた同級生で、大の里は日体大の後輩という話題性がある。加えて安青錦が新三役となれば、初土俵から所要11場所で記録更新となる。外国出身力士たちに話題をもっていかれないように、人気力士の元大関・高安を留めたいという考えはあったのではないか」
新番付では関脇が3人になった点も注目されている。先場所に関脇で勝ち越した大栄翔、霧島に加え、西小結で12勝をあげた若隆景が昇格。3関脇は大関からの陥落力士がいる場合というのが定番だったが、3月場所も東前頭筆頭で9勝だった若隆景を大関候補にするために関脇に上げたという思惑が見え隠れする。相撲担当記者が言う。
「大関昇進は三役で3場所33勝といわれているが、目安であって明確な決まりはない。照ノ富士や栃ノ心のように3場所前が前頭で昇進した前例もある。大の里の横綱昇進によって、琴櫻のひとり大関という状況。大関昇進のハードルが下がるなか、大栄翔、霧島とともに若隆景が大関候補のひとりになる。新大関誕生のために関脇はできるだけ多くということでしょう。
しかも新横綱の大の里は名古屋場所を苦手としている。今年で3回目の名古屋場所となるが、幕下だった2023年は4勝3敗と苦戦し、新関脇となった2024年は序盤に1勝3敗と苦戦して9勝で終わった。新横綱・大の里のズッコケもある。先輩横綱の豊昇龍も安定性に欠く以上、新大関誕生の話題を作りたいのではないか。10月のロンドン公演には東西の横綱、大関を据えた完璧の番付にしたいということでしょう」
番付に思惑があっても、土俵はガチンコ全盛時代。どのような結果となるか。
※週刊ポスト2025年7月18・25日号