2022年も警察庁は「オンラインカジノに接続して賭博を行うことは犯罪です」と広報していた(警察庁Xより)
男性が店舗型オンカジを利用した2022年当時、すでにスマホからでも気軽にアクセスでき、クレジットカード決済を用いて実際に金を賭けることができる海外のオンカジサイトはいくつか存在していた。といっても芸能人が広告に登場したり、一部メディアで広告が流れ始めるのはもうしばらく後のことで、まだまだアングラな雰囲気が強いものだった。その印象をもとに「オンカジ運営は、きっといかがわしい業者だから、クレカ情報など漏れるのが怖い」と男性は判断し、現金やプリペイドカードを使えば、業者に個人情報が漏れないのでは、と考えた。むろん、警察当局の目からも逃れられる可能性も高まる。だから、「店舗」を利用するのがメリットだったと語る。
グレー寄りの合法だと言う一方で、サイト運営者は怪しいと断じたり、男性のオンカジに対する思いは複雑であり、はっきり言えば支離滅裂だ。筆者は、これまでの取材で得られた情報を元に「オンカジはイカサマではないか」という持論をぶつけたが「公営ギャンブルだってインチキはある」と、言って口ごもるのだった。
店舗型オンカジの運営
いわゆる”オンカジ事件”を巡っては、芸能人から一流アスリート、さらには民放キー局の男性アナや社員の関与が相次いで発覚。事情聴取のみ、書類送検されたり逮捕に至る者など程度は様々だが、いずれも本人や所属先が謝罪や謹慎に追い込まれた。そして、オンカジをSNSなどで紹介することで報酬を得ていたインフルエンサーが常習賭博の疑いで逮捕され、今度は不特定多数にオンカジに興じる場を提供していた者たちが現行犯逮捕された。
6月18日には改正ギャンブル等依存症対策法が改正され、オンカジサイトやアプリの開設、運営はもちろん、誘導広告やSNSでの宣伝も違法となった。法整備とあわせるように、順次「摘発」の範囲が広がっているように見える。事件を取材する大手紙警察担当記者が説明する。
「オンカジ業者の全てが海外にあるため摘発は容易ではない。そのため、まず日本でのオンカジ利用が違法であること、摘発を進めることを当局が徹底的に周知した。まず反応したのは、近年、高いレベルのコンプラ重視が求められるようになったプロスポーツ界、芸能界でした。このときはまだ、有名人でなければ大丈夫だという雰囲気がオンカジ利用者にあったかもしれない。だが、オンカジを紹介していたインフルエンサーでもあった男やテレビ局社員も常習賭博で逮捕され、顔や名前が知られた有名人でなくともダメだと知らしめた。そして今回の店舗の摘発で利用者とオンカジの接点が、いよいよ全て切断される」(警察担当記者)