「漫才&コント 二刀流No.1決定戦」と題したお笑い賞レース『ダブルインパクト』(番組公式HPより)
お笑い賞レースに新たな番組が加わる。決勝に進んだ7組が、漫才とコントのネタを1本ずつ披露して、競い合う『ダブルインパクト』(日本テレビ、読売テレビ系)だ。夏の賞レースとして期待を集める一方、不安視する声も上がっている。コラムニストでテレビ解説者の木村隆志さんが解説する。
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海の日の21日(祝)夜、「漫才&コント 二刀流No.1決定戦」と題したお笑い賞レース『ダブルインパクト』(日本テレビ、読売テレビ系)が放送されます。
全国放送のお笑い賞レースと言えば、漫才の『M-1グランプリ』(ABC制作・テレビ朝日系)とコントの『キングオブコント』(TBS系)の“2強”状態が長年続いていました。
その他でも、女性限定の『女芸人No.1決定戦 THE W』(日本テレビ系)、結成16年以上の芸人による漫才の『THE SECOND ~漫才トーナメント』(フジテレビ系)、ピン芸限定の『R-1グランプリ』(関西テレビ制作・フジテレビ系)がありますが、漫才とコントの両方で競い合う形式は初めて。それだけに未知数なところが多く、放送前から期待と不安の両方があがっていますが、どんなポイントがあるのでしょうか。
漫才とコントを披露する順番に注目
『ダブルインパクト』のエントリー総数は2875組。72日間をかけて予選が行われ、1回戦で259組、2回戦で99組、準々決勝で21組に絞られ、準決勝でファイナリスト7組が決定しました。
注目のファイナリストは、芸人やお笑いファンの間で「納得」「そろった」などと言われる顔ぶれ。結成18年のかもめんたる、結成16年のななまがり、結成16年のロングコートダディとセルライトスパ、結成13年のコットン、結成11年のニッポンの社長、結成10年のスタミナパンと全組が10年以上のキャリアを持つ実力派がそろいました。
ファイナルの大会形式は、まず1本目の“ファーストインパクト”と審査があり、次に得点の低いコンビから2本目の“セカンドインパクト”を披露。2本の合計で初代王者が決定されます。
勝負の行方を左右し、ネット上の話題になりそうなポイントは、「それぞれのコンビが1本目、2本目のどちらに漫才で、どちらにコントを選ぶか」という駆け引きの妙。制作サイドがあえて「1本目は漫才、2本目はコント」などと決めなかったことがどんな結果と反響を呼ぶのか注目を集めるでしょう。
また、「ファイナリスト全組が2ネタできる」という賞レースはひさびさだけにお笑いファンを喜ばせていますが、「2本そろえないと勝てない」という緊張感や、「前に出演するコンビが漫才なのか、コントなのかで影響を受ける」という勝負のあやも楽しみの1つです。
ちなみに採点を担う審査員は、千原ジュニアさん、中川家・剛さん、フットボールアワー・後藤輝基さん、ナイツ・塙宣之さん、アンガールズ・田中卓志さんの5人。100点×5人=計500点×2本=計1000点満点での勝負になります。『M-1グランプリ2024』の審査員は9人、『キングオブコント2024』の審査員は5人なので、後者に近い採点や講評になるのではないでしょうか。
賞レース全体の放送時期に目を向けると、3月上旬の『R-1グランプリ』、5月中旬の『THE SECOND』、10月上旬か中旬の『キングオブコント』、12月上旬か中旬の『THE W』、12月下旬の『M-1グランプリ』と分散されて定着しています。おおまかに春、秋、冬とお笑い賞レースが放送される中、夏は空白期間だっただけに、『ダブルインパクト』は真剣勝負であるのはもちろん、夏らしいお祭りさわぎが期待されるのかもしれません。