来場所の成績に注目が集まる若隆景(時事通信フォト)
東前頭15枚目の琴勝峰が13勝2敗で史上38回目となる平幕優勝を飾った大相撲名古屋場所。令和になってからの平幕優勝は9回目で、平成の時代が同じ9回だったことを考えると、いかに近年の角界で番付崩壊が起きているかがわかる。今場所は4年ぶりに東西の横綱が揃い踏みとなったものの、豊昇龍が3個、大の里が4個の金星を配給。最高位の存在感を見せつけることができなかったが、さらに深刻なのは「大関」だ。
大の里が横綱に昇進したことでひとり大関になった琴櫻は、14日目にようやく勝ち越す厳しい場所となった。大関が平幕に負ける銀星は3個あった。いつカド番、陥落になってもおかしくない「大関ゼロ危機」の状況だ。相撲担当記者が言う。
「早期に次の大関の誕生が望まれます。結果として大関昇進のハードルが下がり、今場所は3人の関脇のうち誰かが大関に昇進するといわれていた。ただ、過去2場所の成績が9勝、10勝だった大栄翔は右腓腹筋断裂で初日から休場。8勝、11勝の霧島と9勝、12勝の若隆景という2人の関脇は12勝を挙げれば大関当確といわれていたが、果たせなかった」
霧島は安青錦、伯桜鵬、草野、琴勝峰と優勝争いをする若手にことごとく敗れ、千秋楽も若隆景に敗れて8勝7敗。大関取りそのものが白紙に戻った。一方の若隆景も中日までに4敗。ただし後半に白星を重ねて2ケタ勝利(10勝)を挙げたことで大関取りは継続となった。若手親方が言う。
「今場所も14日目の大の里戦に勝って11勝していたら大関昇進があっただろうといわれているほど。たしかに序盤で安青錦には不覚を取ったが、後半で大関・琴櫻に勝ち、伯桜鵬や草野を破って優勝争いから引きずりおろしているので、存在感は見せられた」
大関昇進は「三役で3場所33勝以上」が目安とされる。若隆景は仮に今場所が11勝だったとしても3場所32勝にしかならないが、それでも昇進できたとする見方だ。それだけ大関のハードルが下がっているということのようだ。