「3場所32勝」でOK!?

 元尾車親方の琴風氏(元大関)は千秋楽のNHK大相撲中継の解説で若隆景についてこう話している。

「来場所は2ケタに乗ると大関の声が掛かってくるでしょう。33勝はあくまでも目安。その時の状況ですから。自慢じゃないですが、ボクは31勝で(大関に)昇進していますから。ボクの時は大関が不在だったので、優勝したら声が掛かりました。この相撲内容なら2ケタに乗れば大関でいいんじゃないかと思いますよ」

 5月場所の12勝、今場所の10勝に加え、来場所の10勝で「3場所32勝」で大関に上げていいと公言したわけだ。結果として3場所33勝に届かない力士が大関に昇進することはあっても、事前に届かなくてもOKと公言されることは珍しいだろう。

 ただ、若隆景に残されたチャンスは決して多くはないはずだ。2022年大阪場所で関脇として優勝したものの、右膝のケガで幕下6枚目まで降格。幕下と十両で優勝をして幕内に復帰し、鋭い出足からのおっつけとハズの技能相撲を武器に5月場所は三役で初の勝ち越しとなる12勝をマークしたものの、すでに30歳を迎えている。

「若隆景はこの1年が勝負。来場所は小結に昇進する安青錦やデビュー1年で優勝争いをしたチョンマゲ力士の草野、21歳の伯桜鵬などの若手が間違いなく大関候補になってくる。他にも今場所は成績がよくなかったが、欧勝馬や阿武剋、金峰山といった力がある外国出身力士もいる」(前出・若手親方)

 来場所も3関脇になるとすれば、関脇には若隆景、霧島、安青錦、小結には高安と玉鷲といった面々になりそうだが、番付通りの成績になるかどうかはわからない。

「今場所は12日目の取組編成について、11日目の中入り後の結果を見てから審判部が会議を始めるという極めて異例な形で進められた。その後も千秋楽まで、前日の全取組終了後に翌日の取組を決めていた。これは番付に関係なく星の潰し合いをさせるため。番付など関係なく対戦カードを定め、“幕内の最強力士”を決めるやり方をした結果、最終的に琴勝峰、草野、安青錦と平幕3人が残った。実力面で番付崩壊が起きていると証明されたようなもの」(前出・相撲担当記者)

 たとえハードルが下がったとしても、来場所での若隆景の大関昇進が確定的とは言えなそうだ。

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