7月30日深夜、バンを入り口に置いて荷物を搬入し、夜逃げていたA氏
池田温泉の支配人が証言「オープンした時から水道水ですよ」
口コミサイトには、部屋風呂の温泉について「ヌルヌルしていた」など利用客から多くの声が残されている。今年7月下旬にこの温泉を利用したという男性客は、旅館にいたA氏から直接「温泉です」と説明を受けたという。
「到着が遅れ、1階の『池田温泉』が夜10時に閉まってしまったので、『部屋風呂も温泉ですかね?』と旅館の人に聞いたんです。そしたら、『はい、お部屋のほうで温泉を楽しめますよ』とにこやかに対応してくれました。『1階は源泉掛け流しなんですが、3階は循環濾過で、多少ヌルヌル感は違いますが…』などと説明してくれました」(男性客)
しかし、部屋風呂はやっぱり温泉ではないのだ——「池田温泉」の支配人が証言する。この支配人は、本館・新館を含め温泉施設自体が町営だから、町の職員である。
「3階の旅館内にある部屋風呂は、オープンした時から水道水ですよ。そもそも本館も新館も『池田温泉』は源泉掛け流しではなく、加熱・循環しています。
部屋風呂が温泉ではないことは、当然、お客様にも伝わっていると思っていたんですが……」
確かに、1階の日帰り施設である池田温泉自体のホームページには「加温/有 循環/有」と記されていて、利用者が旅館で説明された内容とも異なる。
前出・従業員の話。
「『池田温泉旅館 たち川』の公式ホームページ上には、実は部屋風呂について『温泉』と明言していません。それでも、いらっしゃったお客様は温泉だと思って来ていますし、オーナーにも『温泉と伝えろ』と言われていました。我々従業員も感覚が麻痺して、そう伝え続けていたんです……」
公式ホームページ上に掲載されていた旅館部分の部屋風呂の写真は、明らかに白濁して見える。「池田温泉旅館」という名前で、白濁した風呂の写真を見た利用者は、従業員から言われるまでもなく「温泉の部屋風呂だ」と思うはずだ。その点でも、温泉偽装と思われても仕方がない。
第1回記事で伝えた施設使用料の納入を求める町長からの督促状、従業員への給料未払い、そして「温泉偽装」について、オーナーのA氏はどう答えるのか。
7月30日の深夜11時ごろ、旅館の荷物をバンに積んでいたA氏を直撃した。