鈴原トウジ──『新世紀エヴァンゲリオン』
次に、記念碑的なSFアニメ『新世紀エヴァンゲリオン』からこの人物を取り上げたい。
『新世紀エヴァンゲリオン』は1995年から1996年にかけて、テレビ東京で放送された庵野秀明氏原作・監督によるテレビアニメであるが、その後も度重なる映画化、コミカライズ等によって異なるヴァージョンがいくつも生まれた。
西暦2015年、主人公である14歳の少年碇シンジが、別居していた父、国連直属の非公開組織・特務機関NERV(ネルフ)の総司令である碇ゲンドウから第3新東京市に呼び出され、巨大な汎用人型決戦兵器エヴァンゲリオン(略称「エヴァ」)初号機のパイロットとなって第3新東京市に襲来する謎の敵「使徒」と戦うことを命じられるところから物語が始まる。
鈴原トウジは、第3新東京市における第壱中学校の碇シンジのクラスメートの一人で、関西弁を話す。がさつで口が悪く、シンジに辛く当たったり、エヴァ弐号機の少女パイロットのアスカと仲が悪く、口げんかするなど、乱暴者のように描かれるが、実際には戦闘が恐くて怯えていたり、妹思いの面を持つなど、複雑な性格が与えられている。
一人称は「ワイ」または「ワシ」である。ここでは、コミック版から台詞を引用しておこう。
トウジ「えーか転校生! よう聞けよ/ワシの妹はなァ 今ケガして入院してんねんぞ!/オトンもオジーもお前のおる研究所勤めで看病するもんはワシしかおらん!」
(貞本義行『新世紀エヴァンゲリオン』【2】)
保科宗四郎──『怪獣8号』
次いで、近年ヒットしているこのマンガ作品を取り上げよう。
『怪獣8号』は松本直也氏によるSFアクションマンガで、ウェブコミック配信サイト『少年ジャンプ+』で2020年開始後、本書執筆時の現在も連載継続中である。
怪獣が度々襲来して人々を脅かしている架空の日本を舞台としている。主人公の日比野カフカは怪獣から日本を守る防衛隊員に憧れて訓練を重ねているが、実は謎の生物に寄生されて、みずから「怪獣8号」に変身するという能力を得てしまう。怪獣を殲滅する防衛隊員と、防衛隊に追われる怪獣8号という二つの矛盾する立場におかれて苦心するカフカの活躍が描かれる作品である。
この作品中での関西弁キャラは、防衛隊第3部隊副隊長(兼保科小隊長)の保科宗四郎である。華奢な体つき、おかっぱ頭、糸目が特徴的だが、怪獣討伐に関しては秀でた技量を持っており、特に刀の扱いに優れている。隊員からも信頼を置かれるリーダーである。作者のメモに、「アクションだけでなく、物語の真相に迫る探偵のような役割もこなしてくれる。作者的にかなり頼れるキャラ」とある。自称詞は「僕」。作者の松本直也は兵庫県出身ということで、あまり作りすぎない関西弁を話している。
保科「僕は今回選別試験の選考委員長を任されとる/第3部隊副隊長の保科や/二部ではこの演習場で怪獣を──…/討伐してもらう」
(中略)