「第三者を入れて事実関係を確認してもらいたい」と述べたスポーツ庁の室伏広治長官(時事)
スポーツ庁は「ホームページに公表してはどうですか」と伝える
第2の疑問は、こうしてぎこちなく明らかにされた「評価報告」は、所管省庁であるスポーツ庁の要請を満たしたものなのかという点だ。
そもそも筆者の最初の特報の後の5月20日、スポーツ庁の室伏広治長官は「第三者を入れて事実関係を確認してもらいたい」と述べている。調査に及び腰だった協会が重い腰を上げざるを得なくなったのも、この発言を無視はできないからだ。
改めてスポーツ庁に問い合わせると、競技スポーツ課の担当者は、「報告書は、協会から8月4日に受け取り説明を受けました」と答えた上で、こんな微妙な言い方をした。
「内容については、調査を依頼した協会に問い合わせてください。スポーツ庁はコメントする立場にはありません」
提出を受けたのが8月4日というのがミソだ。筆者が関係者への取材をもとに「スポーツ庁が求めた第三者調査を“秘密裏に実施”との関係者証言も」と題する記事を出した、その翌日だからである。
スポーツ庁によれば、報告書に記された協会への提出の日付は7月14日だというから、協会は、法律事務所から受け取ったあと、役所に報告するまで半月も寝かせていたのだ。せっかくアリバイをつくったのに、先に書かれてはたまらないと慌てたのだろうか。
だが、それでもきちんと調べたのなら協会は堂々と会見して発表すればよいはずなのに、そうはしない真意は何か。それが第3の疑念だ。
先のスポーツ庁の担当者は、こうも述べた。
「報告に来られた際、『協会として問題がないとお考えならば、きちんと説明をして、ホームページに公表してはどうですか』という助言はしました。ただ、協会側は『8日の壮行会に来た記者に説明します』と言っていました。考えを変えてもらう権限はありません」