マイケルと60分もの時間を共にしたデザイナーの佐々木和則さん
「その部屋にはマイケルがツアーで使っていた衣装が、一枚ずつ机の上に丁寧に並べてあったんです。それはマイケルが用意してくれていたんですが、マスク、手袋、靴、帽子、服など50点近くありました。撮影のために全ての衣装を持ってきてくれたんです。
これだけの衣装を全て撮影する必要があったので、一定期間その部屋で管理されていました。なので、撮影が終わった後も、その部屋に鍵をかけて、それを僕ら会社の人間ではなく、彼のスタイリストが鍵の管理をしていたんですよ。それだけ大切な衣装を全部持ってきてくれたわけです」
そして待つこと数十分、ついにスーパースターとの対面が叶った。
「めっちゃ猫背で入って来たんですよ、マイケル。しかもなで肩で(笑)。で、顔見たら、小っさっ! ってなって、でもメイクは完璧! それで、ニコニコしながら歩いていて、なんか一気に緊張がほぐれました」
──そこからずっとふたりきりだったんですか?
「実際は彼のスタイリストさんがいたんですが、かなり距離が離れていたので、会話はふたりだけのものでした。『もうゲーム買った?』『ああ、もう買ったよ』『ネバーランドへ持って帰るの?』『そうだね、楽しみだよ』という感じで、ゲームの会話から始めました。
そのまま、すぐに撮影に入ったんですが、とにかくいろんな表情を撮らないといけないので、まずは母音の『あいうえお』の表情をしてもらったんです。
マイケルの『あ』の口を開けている顔なんて普通では見られないですからね、興奮しながらも、こちらは撮影をそつなくやるしかないので、いちいち感動している場合ではないんですが……。あとは、歌っているときの叫び声の表情も欲しかったので、いろいろ要求しました。