番組出演のきっかけはスカウトだった

なぜ日本に?


 1998年、『ここがヘンだよ日本人』に出たのはスカウトされたから。29歳で自費留学生として来日し、最初は日本語学校に通い、1997年からは上智大学大学院で日本や中国と比較して、ベナンの初等教育の普及の問題点を研究していました。

 お金がなくて大変だったから、印刷工場や中国語の先生、引っ越し業者と1日3つのアルバイトをかけもちしていました。中国語の先生をしていたのは、来日前、北京の大学院に国費で留学していたから。僕、日本語、中国語のほか、フランス語、英語、それから母語のフォン語、アフリカのヨルバ語も話せるよ。

 あるとき、給料日に高円寺のラーメン屋に入って1人で味噌ラーメンを食べようとしたとき、外国人が店に入ってきた。その人が僕の隣に座って、「どこから来たの?」と話しかけてきて、「明日テレビの仕事に来て」とスカウトされました。6時間で1万2000円くれるって。詳しい話も聞かずに「やります!」と即答したよ(笑) それが『ここがヘンだよ日本人』だったわけ。

 日本に来て有名人になるなんて思いもしなかったから、番組に出た影響の大きさに驚いた。ほかにもいろんな番組に出た。舛添要一さん、猪瀬直樹さん、曙さん……有名な人とたくさん共演した。懐かしい。おかげで人生が変わって、今の僕がありますよ。

『ここがヘンだよ日本人』は、日本にしかできない番組。欧米だったら、外国人に自分の国を批判されたりする番組、絶対に許されないと思う。そんな番組を作ったら、戦争になるね! 外国人の言うことになんて耳を貸さない。日本人だから面白がったり、耳を傾けたりするんですよ。僕にはその価値がよくわかっています。

 最近、日本も欧米のように弱肉強食の社会になってきていると感じる。それは残念。食文化、行動様式、着物……自分の国の文化は自分たちで守らないといけないよ。だけど、日本の文化は人間性と愛情に基づいている。

 そして、世界中で一番安心して暮らせる国。それが日本です。これは事実。日本人が自分の国の価値を一番わかってないんじゃない?

(後編に続く)

取材・文/中野裕子(ジャーナリスト)

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