芸能

『あんぱん』“豪ちゃん”役・細田佳央太が明かす河合優実への絶対的な信頼 「蘭子さんには前を向いて自分の幸せを第一にしてほしい。豪もきっとそう思ったはず」

『あんぱん』“豪ちゃん”役の細田佳央太(写真提供/NHK)

 いよいよ最終回が目前に迫ったNHK朝ドラ『あんぱん』。放送開始以来、作品の人気を支えてきたのが主人公2人を取り巻く個性豊かなキャラクターたちだ。主人公・朝田のぶ(今井美桜)の祖父・釜次(吉田鋼太郎)の弟子である「豪ちゃん」こと原豪役を務めた細田佳央太が、撮影での秘話を明かした。

 * * *
 豪は自分から言葉を発することはありませんが、朝田家のみなさんに常に寄り添う心を持っている人物です。

 最初はその人物像にプレッシャーを感じていました。セリフが少ない分、感情の変化を相手の言葉への反応で表現し、見せていかなければならない。

 1話15分という朝ドラの尺のなかでどこまで切り取ってもらえるか。そのうえで、退場する時には視聴者の印象に強く残らなければなりません。

 そういった難しさを含めて、豪に懸ける思いは強くありました。

 出征前にヤムさん(阿部サダヲ)と釣りをするシーンがクランクインだったため、そこで豪の全体的な方向性が決まった気がします。阿部さんとの芝居は安心でき、緊張せずに臨めましたし、とても印象深いシーンです。

 河合優実さんと共演するのは3回目だったこともあり、河合さんが演じる蘭子さんに絶対的な信頼を置いていました。お芝居について細かな点を詰めなくても、豪の蘭子さんへの思いは時間経過で自然と深くなっていった感覚があります。

 岩男さん(濱尾ノリタカ)が蘭子さんに結婚を申し込みに来たシーンは、豪の心臓はバクバクだったのでは(笑)。その後出勤する蘭子さんが作業場の横を通る時、監督から「石を叩く音で感情を表現してほしい」と言われ、豪の動揺を音で表現した場面が印象的です。

 そんな2人の思いが通じ合うシーンは、台本を読んだ時から感動的でした。羽多子さん(江口のりこ)から「豪ちゃん、蘭子をよろしゅうお願いします」という言葉を受けた時、初めて朝田家の一員になれた気がして、込み上げるものがありました。戦争をはじめ多くの苦難が描かれる物語のなかで、このシーンが輝いて見えていればいいなと思います。

 戦後、蘭子さんが八木さん(妻夫木聡)と距離が縮まるという展開は事前に聞いていました。戦争を乗り越えて生き抜いた人々が幸せになるのは当然の権利だと思います。

 豪のことを忘れないでいてくれることはとても嬉しいですが、それでも蘭子さんには前を向いて自分の幸せを第一にしてほしい。豪もきっとそう思ったはずです。

 初めての朝ドラが『あんぱん』であったこと、とても嬉しく思います。これほど多くの方から愛され、求められたキャラクターと出会えることも当たり前ではありません。

【プロフィール】
細田佳央太 (ほそだ・かなた)/2001年生まれ、東京都出身。主な出演作品に映画『町田くんの世界』『花束みたいな恋をした』、大河ドラマ『どうする家康』など。2025年冬NHK東野圭吾スペシャルドラマ『雪煙チェイス』にて主演を務める。

※週刊ポスト2025年10月3日号

関連キーワード

関連記事

トピックス

大谷と真美子さんを支える「絶対的味方」の存在とは
《ハワイ別荘・泥沼訴訟を深堀り》大谷翔平が真美子さんと娘をめぐって“許せなかった一線”…原告の日本人女性は「(大谷サイドが)不法に妨害した」と主張
NEWSポストセブン
須藤被告(左)と野崎さん(右)
《紀州のドン・ファンの遺言書》元妻が「約6億5000万円ゲット」の可能性…「ゴム手袋をつけて初夜」法廷で主張されていた野崎さんとの“異様な関係性”
NEWSポストセブン
神田正輝の卒業までに中丸の復帰は間に合うのか(右・Instagramより)
《神田正輝の番組卒業から1年》中丸雄一、『旅サラダ』降板発表前に見せた“不義理”に現場スタッフがおぼえた違和感
NEWSポストセブン
イギリス出身のボニー・ブルー(本人のインスタグラムより)
「タダで行為できます」騒動の金髪美女インフルエンサー(26)の“過激バスツアー”に批判殺到 大学フェミニスト協会は「企画に参加し、支持する全員に反対」
NEWSポストセブン
主人公・のぶ(今井美桜)の幼馴染・小川うさ子役を演じた志田彩良(写真提供/NHK)
【『あんぱん』秘話インタビュー】のぶの親友うさ子を演じた志田彩良が明かすヒロインオーディション「落ちた悔しさから泣いたのは初めて」
週刊ポスト
寮内の暴力事案は裁判沙汰に
《いまだ続く広陵野球部の暴力問題》加害生徒が被害生徒の保護者を名誉毀損で訴えた背景 同校は「対岸の火事」のような反応
週刊ポスト
どんな役柄でも見事に演じきることで定評がある芳根京子(2020年、映画『記憶屋』のイベント)
《ヘソ出し白Tで颯爽と》女優・芳根京子、乃木坂46のライブをお忍び鑑賞 ファンを虜にした「ライブ中の一幕」
NEWSポストセブン
俳優の松田翔太、妻でモデルの秋元梢(右/時事通信フォト)
《松田龍平、翔太兄弟夫婦がタイでバカンス目撃撮》秋元梢が甥っ子を優しく見守り…ファミリーが交流した「初のフォーショット」
NEWSポストセブン
佳子さまを撮影した動画がXで話題になっている(時事通信フォト)
《即完売》佳子さま、着用した2750円イヤリングのメーカーが当日の「トータルコーディネート」に感激
NEWSポストセブン
国連大学50周年記念式典に出席された天皇皇后両陛下(2025年9月18日、撮影/JMPA)
《国連大学50周年記念式典》皇后雅子さまが見せられたマスタードイエローの“サステナブルファッション” 沖縄ご訪問や園遊会でお召しの一着をお選びに 
NEWSポストセブン
林家ペーさんと林家パー子さんの自宅で火災が起きていることがわかった
《部屋はエアコンなしで扇風機が5台》「仏壇のろうそくに火をつけようとして燃え広がった」林家ぺー&パー子夫妻が火災が起きた自宅で“質素な暮らし”
NEWSポストセブン
1年ほど前に、会社役員を務める元夫と離婚していたことを明かした
《ロックシンガー・相川七瀬 年上夫との離婚明かす》個人事務所役員の年上夫との別居生活1年「家族でいるために」昨夏に自ら離婚届を提出
NEWSポストセブン