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《『あんぱん』いよいよ最終回》千代子役・戸田菜穂が語る“兄弟取っ組み合いシーン”の秘話「彼らの言葉を聞いて湧き上がった気持ちをそのまま表現しました」

千代子役を演じた戸田菜穂(写真提供/NHK)

千代子役を演じた戸田菜穂(写真提供/NHK)

 最終回が目前に迫ったNHK朝ドラ『あんぱん』。放送開始以来、作品の人気を支えてきたのが主人公2人を取り巻く個性豊かなキャラクターたちだ。嵩(北村匠海)と千尋(中沢元紀)の兄弟を、夫の寛先生(竹野内豊)とともに育てる千代子役を演じた戸田菜穂が、撮影中の秘話を明かした。

 * * *
『あんぱん』出演のお話が来た時は大変嬉しく、気合いを入れて撮影に挑みました。

 私が演じた柳井千代子は、嵩(北村匠海)と千尋(中沢元紀)の幼い兄弟を預かり、夫の寛先生(竹野内豊)とともに育てる女性でした。 

 大変なシーンもたくさんありましたが、それぞれ絶対に良いシーンにしたいと全力を注ぎました。

 竹野内さんは寛を愛情深く、松嶋菜々子さんは登美子を凛と演じ、のぶ役の今田美桜さんと北村さんも思いやりあふれた素敵な夫婦でした。

 おかげさまで大きな反響をいただき、みなさんの心に千代子の気持ちが届いたのだと、とても嬉しく思います。

 千代子はすごく情感があって、優しくて、強い女性だと思います。幼い頃に母親と別れた兄弟に、心から愛情を注いで、感性豊かな嵩を育てた。

 嵩が子供の頃、兄弟の産みの親である登美子に会うために家からいなくなった場面でも、寛さんの「信じて待とう」の言葉に黙って従い、帰宅した嵩をしっかりと抱き締めていました。

 そのように子供を信じている様は、本当の親以上に愛情深い感じがしてなりません。

 やなせたかしさんの著作には、「子供の頃、伯父さんと伯母さんは平等に接してくれたけど、自分としてはちょっと引け目を感じていた」といった内容が書かれていました。

 嵩が子供の頃から持っていた、寛・千代子夫妻への複雑な心境のニュアンスも感じられるように、とにかく分け隔てなく、嵩・千尋に接するよう意識して演じました。

 印象的だったのは、兄弟が感情を爆発させて取っ組み合いの大喧嘩をするシーン。

「兄貴はおふくろ(登美子)の言いなりになっている」「伯父さんと伯母さんの顔色をうかがって、優等生になって」など、2人の本音を知ってしまい、千代子にしてみれば「やっぱり気を遣っていたんだ」と感じショックですよね。

 このシーンでは、彼らの言葉を聞いて湧き上がった気持ちをそのまま表現するようにしました。

 撮影が終わり、高知のやなせ先生ご夫妻のお墓にお参りした時、墓碑にやなせ先生自筆の詩が刻まれているのを読み、また感動しました。

〈……一本の朴ノ木にぼくはなりたい/季節には/はにかみがちに/白い花を咲かせて/風の中でゆれていたい〉

 なんて無欲で、人の幸せのために生きた方なのかと。私はこんなに優しい方の育ての母・千代子を演じることができて、本当に幸せでした。

 やなせ先生の思いを大切にしたくて、私も朴ノ木の苗木を買い、今、大切に育てています。

【プロフィール】
戸田菜穂(とだ・なほ)/1974年生まれ、広島県出身。主な出演作に映画『ロストケア』『そして、バトンは渡された』、連続テレビ小説『なつぞら』など。2026年秋に映画『遥かな町へ』が公開予定。

※週刊ポスト2025年10月3日号

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