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「血肉になっていく感じが好きでした」『あんぱん』でのぶの同僚記者・琴子を演じた鳴海唯が語る土佐弁の役作りと撮影の裏側

撮影秘話を明かした小田琴子役の鳴海唯(写真提供/NHK)

撮影秘話を明かした小田琴子役の鳴海唯(写真提供/NHK)

 いよいよ最終回が目前に迫ったNHK朝ドラ『あんぱん』。放送開始以来、作品の人気を支えてきたのが主人公2人を取り巻く個性豊かなキャラクターたちだ。高知新報に主人公・のぶ(今田美桜)と共に戦後初の女性記者として入社した小田琴子を演じた鳴海唯が撮影秘話を明かした。

 * * *
“はちきん”であり呑んべえである琴子という人物を通して、高知の女性の魅力を体現できればと思い役に臨みました。

『あんぱん』では、戦後、のぶや琴子、嵩が高知新報に入社して、退勤後に同僚らと飲む場面が出るまで、お酒を飲むシーンが少なかったんです。

 ただ高知県を舞台にした作品として、お酒がなくては語れない文化もあるのだ、と。そのパートを担う琴子は、噛めば噛むほど味がする魅力的なキャラクターです。

 また、琴子は嵩とのぶが長い時を経て結ばれる、大切なタイミングに2人と関わる人物でした。そうした役柄として、嵩とのぶに“愛のあるお節介”ができる、人間味あふれた人物になれればとの思いを持って演じました。

 加えて、土佐弁のように役作りで必要な要素があると、自然と役に向き合う時間が増えます。役や台詞が自分の内部にどんどん染み込み、血肉になっていく感じがとても好きでした。

 何より、キャスト、スタッフの皆さんが本当に素敵なチームでした。なかでも阿部サダヲさんが演じたヤムおんちゃんの台詞が印象的で、気付いたらメモするほど。戦争が始まることを示唆した「絶望の隣は、絶望の2丁目かもな」は、ヤムおんちゃんだからこその重みを感じました。

『あんぱん』を通して、逆転しない正義について考え、やなせたかしさんの人生観について深く学ぶことができました。

【プロフィール】
鳴海唯(なるみ・ゆい)/1998年生まれ、兵庫県出身。主な出演作品に連続テレビ小説『なつぞら』、大河ドラマ『どうする家康』など。10月3日より公開の映画『アフター・ザ・クエイク』出演予定。

※週刊ポスト2025年10月3日号

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