「盗人にも三分の理」

「三・一独立運動」とは、次のようなものであった。

〈三・一独立運動
さんいちどくりつうんどう
1919年3月1日を期して始められた朝鮮近代史上最大の反日独立運動。南・北朝鮮では今日でもこの日を記念日として重視している。第1次世界大戦以後、民族運動や革命運動が世界的な高まりを示したが、朝鮮でも独立を達成しようとする動きが一段と活発になった。1918年秋、中国東北部、シベリア方面に移住していた朝鮮人は、ロシアの革命派に協力して日本のシベリア出兵軍と戦っていた。同じころ、アメリカや上海で活動していた安昌浩、呂運亨、金奎植らのグループは、パリ講和会議に朝鮮人代表を派遣し、朝鮮独立の必要性を国際世論に訴えるため奔走していた。(中略)1月22日に死去した前国王高宗は日本のさしがねで毒殺されたという噂がとびかい、2月8日には在日留学生が東京で独立宣言書を発表するにおよんで、独立運動促進の気運が急速に盛り上がった。最終的な運動方針は2月の末になって決められた。(1)ソウルのパゴダ公園で独立を宣言し、朝鮮全土で独立宣言書を配布すること、(2)日本政府および貴族院・衆議院あてに朝鮮併合は無意味であり即刻独立を認めるべきであるという通告文を送り、アメリカ大統領ウィルソンと講和会議各国委員には朝鮮独立を支援するよう請願書を送ること、がその要点であった。〉
(『世界大百科事典』平凡社刊 項目執筆者馬渕貞利)

 まずは「アメリカ大統領ウィルソンと講和会議各国委員には朝鮮独立を支援するよう請願書を送る」という朝鮮独立派の行動にご注目願いたい。つまり、「日本よ、あなたたちは人種差別撤廃とか立派なことを主張しているが、それならばわれわれに対する支配もやめるべきだ」。そして、「ウィルソン大統領、あなたは民族自決権を大幅に認めるべきだという意見の持ち主ではありませんか。日本に対する接し方は矛盾していませんか?」ということである。心ある日本人は、「痛いところを突かれたな」と思ったかもしれない。ちなみに、その後の経過は次のようになる。

〈3月1日、運動はまずソウル、平壌、大邱、開城などの主要都市で始められた。ソウルではパゴダ公園に集まった学生たちが正午の鐘を合図に行動を開始した。彼らは独立宣言書の朗読を終えると太極旗(大韓帝国時代の国旗)をうちふり〈独立万歳〉を高唱しながら街頭に出た。これはたちまち数万の群衆が参加する大規模なデモとなった。それ以後各地の運動は大衆の集まりやすい市のたつ日に合わせて行われ、3月中ごろからは朝鮮全土が反日独立運動のるつぼと化した。(中略)日本の支配層はこの運動を徹底的に弾圧した。憲兵・警察のほかに正規軍をも投入した鎮圧作戦によって、水原の堤岩里事件(4月15日29名虐殺、近辺の死者は1000名を越した)、天安事件(4月1日並川市場でデモ隊20名射殺、〈朝鮮のジャンヌ・ダルク〉柳寛順が逮捕され獄死)、定州事件(3月8日デモ隊、市民120名余を無差別殺戮、民族代表李昇薫らの家宅破壊さる)などが相ついで引き起こされた(以下略)〉
(引用前掲書)

 要するに、日本は朝鮮独立派の要求を断固として認めず武力を用いて弾圧したわけだが、では日本側がその行動を正しいと考えた理由はどこにあったのだろうか? 例によって左翼歴史学者は歴史の真実を追究するより日本を貶めることが目的だから、独立運動はすべて正義でありそれを弾圧した日本が一〇〇パーセント悪いという方向に話を持っていこうとする。

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