3本の“スティック”(イラスト/佐野文二郎)
放送作家、タレント、演芸評論家、そして立川流の「立川藤志楼」として高座にもあがる高田文夫氏が『週刊ポスト』で連載するエッセイ「笑刊ポスト」。今回は、スティック(棒演技)コレクションについて。
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「学歴詐称」も「伊東市長」にもなっていない私から、ごく個人的なお願いです。ここらで中押しをしておかないと私もいつまでもふざけてられないのです。『月刊Takadaまるごと一冊高田文夫』、そして調子に乗って『月刊Takada2 もう一冊!高田文夫』と出版したのですが「2」の伸びが私思うに少し遅いような気がするのです。オールドメディアファンの皆様なら勘がいいからすぐにお分かりでしょう。そうです。早い話、もっと買ってくれという話です。ことと次第では来年「3」が出せるか出せないかの瀬戸際のトットちゃんです。
お願いその2。恒例となりました「オール日芸寄席」(いつも私と志らく、白鳥、一之輔、時々テツ&トモ)。春に宮藤官九郎を連れて仙台で公演したところ大好評。今回はいよいよ爆笑問題の太田光を連れて金沢公演です。主催者がなにやら大きなホールを押さえちゃったらしくまだチケットは売るほどあるそうです。10月8日(水)6時30分、金沢歌劇座です。前売り方法は自分で調べてネ。ごめん。
ナイツの塙が出演していた刑事ドラマを見て翌日会うなり「見たよ。すごいな。流れるような棒読み」。いやな相手に見られたと思った塙、数か月後負けず嫌いなもんだから棒読み、棒立ちの素人ばかりを集めて“劇団スティック(棒)”を立ちあげた。すでに公演は3回行なわれている。言い出しっ屁の責任上、一応観賞はしているが、単調で台詞に切れや抑揚がない。なのに座長は明日を見つめている。
どこへ行くスティックと思っていたらこの春、深夜ドラマに出た太田光、中華屋のおやじという難しい役どころを与えられていたが、いかんせん中華鍋の振り方が棒。あれじゃ満遍なく野菜に火は届かない。私は心の中で「棒が2本たまったな」と思った。
そんな時「大根役者とは違うんですか」ときかれたので「違う。大根は棒のように下手ではなくそこそこうまい。何故大根役者というか、“大根”は煮ても焼いても生でも大丈夫。腹に当たらない。だから“当たらない役者”の事を大根。まぁ人気がない人だな」と教えてやった。
そこへ有吉弘行が私のところへ来て「今週の『べらぼう』に出ます。まぁこれからは芸居の時代だなと思って。演劇一本で行っちゃいますよ」。見た。3本目。棒3本。
私は陰で“スティックコレクター”と呼ばれるようになった。あと2本探して5人にして“フィンガー5”に対抗して“スティック5”でも作ろうかしらん。
※週刊ポスト2025年10月3日号