西花道の溜席に姿を見せた着物美人。ブルーの着物姿だ
最後まで目が離せない
15日間の通し券を持っているというマス席の男性も「今場所は面白い」と言う。
「もともと、お目当ての一番が終わると早めに席を立つ人は少なくない。横綱が強すぎた時代は勝つだろうと確信しているし、上位が弱い時代は優勝争いに関係ないので興味がなくなる。それが今場所は、両横綱が優勝争いを引っ張ってはいるものの、脆さもある。そのうえ若手力士に意外性があるので最後まで目が離せない」
場内整理員も観客の変化を認める。
「外国からのツアー客は国技館の雰囲気を楽しめばいいということなのか、三役が土俵に上がる頃にはガイドが帰り支度をさせます。ところが、終盤の客席の異常な盛り上がりに、結びの一番まで観戦させるケースがほとんど。修学旅行の団体も同様でしたが、引率の先生が観たいのか今場所は最後まで観戦されています」
結びの一番まで見た後に、土俵上で結びの一番の勝者に代わって行なう弓取り式が終わるまで着席して観る人が多いという。
12日目の豊昇龍対安青錦の結びの一番のように、横綱が敗れると観客が興奮し、座布団が飛び交う事態になる。座布団が舞う光景は相撲の名物にも見えるが、土俵周りに座っていると恐怖すら感じるという。前出の着物美人も「頭を抱えてうずくまっていました」と話していたが、協会関係者はこう言う。
「座布団の投げ入れは禁止行為になっているが、やはり興奮すると他のお客さんにつられて投げてしまう。座布団が舞うのは年1回の地方場所の方が多く、国技館のお客さんは相撲観戦に慣れているのか少ないと思います。それでも座布団が舞ったということは、衝撃的な一番だったということなんでしょう」
千秋楽までどのような展開になるのか。着物美人は千秋楽も観戦に訪れるという。