佐々木さんは2019年に青ヶ島に戻ってきたという(本人インスタグラムより)
人となりを知っているから、クレームがない
青ヶ島での主な仕事は、役場や学校などの公的な仕事に加えて、建設などのインフラ事業、農業や沿岸漁業、宿泊業、観光業などがある。また、地場産業では、独自酵母で仕込む芋焼酎『青酎(あおちゅう)』や、火山地熱を熱源にし、海水を低温で結晶化させてつくる『ひんぎゃの塩』の生産も盛んだ。
「移住者のメインの仕事は公務員が多いですね。島外の人向けでは、民宿の募集が出ることもありますが、繁忙期に合わせたスポット募集に限られます。
青ヶ島は兼業が盛んで、漁業や農業だけで生計を立てている人は少数派だと思います。宿泊業や配達業などの仕事を組み合わせる人が多いですね。私自身も、民宿の手伝いや移住コーディネートに加えて、船が来た日は配送の仕事をするなど、天候や季節に合わせて柔軟に働いています」
青ヶ島は人口規模こそ小さいが、ひとりが複数の役割を担うことで、天候や需要の変化にしなやかに対応できる。多様な職種を組み合わせることで、少人数でも地域の機能が回る体制が保たれている。人口が少ないからこその働きやすさもあるという。
「小さい島なので、誰がどう頑張っているかが見えやすい。運送の仕事では各家庭に配送するので、日ごろの働きぶりや人となりも伝わります。だから、連絡船の運航に左右されて配達が遅れても、文句をいう人はいません。クレームや再配達も今までないですね」