青ヶ島の連絡船(本人提供)
青ヶ島には集落がひとつにまとまり、生活拠点が近接している。顔が見える関係が築かれやすく、島民同士の交流も自然に生まれる環境のようだ。
「住民は全体的に若く30〜40代が多くて、業種を越えてみんなでスポーツをしたり、打ち上げで親交を深めたりします。情熱的でおもしろい人が多く、それぞれ、音楽や筋トレ、バレーボールといった好きな活動に打ち込んでいます。都内より、人との出会いや交流が多く感じるくらいです」
青ヶ島の大きな魅力のひとつが、海外の環境保護NGOによる「死ぬまでに見るべき絶景13」に選ばれた景観で、景色に惹かれて移住する人もいるそうだ。青ヶ島は、外側の大きなカルデラ「外輪山」の内側に、小さな火山体「内輪山」ができた二重構造の火山島だ。外輪山の最高所である大凸部(おおとんぶ)や、同じ高度帯にある尾山展望公園からの眺望は絶景として知られる。
「周りがほぼ360度、水平線で他の陸地が見えないのは、他にはない魅力ですね。本当に絶海の孤島にいるような景色が見られます。空と海の上に立っているような感覚ですね。断崖絶壁の角度的にも、『こういう角度で空や海を見たことがない』という声があります」
360度の水平線に抱かれた唯一無二の絶景と、濃密な人間関係。そして、都会とは異なる論理で回る経済──。前編では、青ヶ島の暮らしのリアルに迫った。記事後編では、佐々木さんが「新婚生活」や、島への移住事情について明かした。
取材・文/福永太郎(ライター)