奈良県では「奈良のシカ」への正しい接し方をたびたび呼びかけている(奈良県公式Xより)
街録を断られることが増えている
現在の事態に、特にテレビ報道の現場では強い懸念の声が上がっている。別の民放局のニュース番組ディレクターが実情を明かす。
「我々がSNS上でマスゴミと言われていることは知っていますが、特にこの数年、偏向報道されるから嫌だと断られたり、渡した名刺を晒されたりすることも増えた」(ニュース番組ディレクター)
実際に現場に出ても、市民の声を取材できない機会が急増しているという。
「夕方の情報番組向けの、例えば銀座や有楽町などでの街頭インタビュー(街録)ですら、テレビは嫌、協力しないという方が増えました。意見が二分されるネタ、それぞれ大声で主張し合う勢力が存在するようなネタで、SNS上で過度に注目されるようなテーマを扱う場合は、特に取材を慎重に行い、もっと丁寧に構成されるべきだった。現地の声を教えてくれた善意の協力者に対して人権侵害と言えるような被害が出ている以上、同じマスコミとしては申し訳ないという他ない」(ニュース番組ディレクター)
もちろん、捏造報道はありえない。だが、今回のように現地の声を複数、取材しても、気に入らないと考える人たちによる理不尽な大声で「炎上」させられてしまうことがある。だが、そのために過度に萎縮したり、取材に基づいた事実であっても、ハレーションを気にしてマスコミが報じない、ということが常態化することのほうが深刻な事態を招くことになる。SNSでの炎上を敬遠するために何もしないことを選んでしまったら、その被害は直接、私たち市民に及ぶことも忘れてはならない。