2020年6月、4人がクロスボウで撃たれた兵庫県宝塚市の現場付近を調べる捜査員(共同通信)

 被告人の「ヘルメットを外せ」の言葉に、何も考えず外そうとする。すると弟の身体がピクリと反応したことで我に返った。被告人に必死に命乞いをした。被告人に気付かれないよう通報しようと携帯を操作したが、バレて取られてしまう。

「お前は助けたる」、「後で救急車呼んだるから黙っとけ」、「ごめん、ヘルメットつけてたから一発で殺せなかった」などと被告人に言われた。その後、被告人は2階に上がり何か作業をしていた。

 外に逃げようとしたが、見つかった。「アイツ終わったら救急車呼んだるから動くな」と言われた。アイツとは、母のことだと思った。きっと被告人は母のことも撃つのだろうと思ったが、混乱してどうすべきかわからなかった。

 その後玄関が開いた。わずか10秒ほどで、ドスンと何かが床に倒れる音がした。被告人は倒れた足を持ち、リビングに引きずっていき、そこで矢が刺さった母を見た。

 母の口から空気が漏れた音がした。まだ生きているならば何とかしなければと思った。自分も首を撃たれていたが、不思議と痛みを感じた記憶はなく、母と弟を助けたい思いで意識を保っていた。

 母をリビングに連れて行くと、被告人はまた2階に上がっていった。逃げるなら今しかないと思い、ふと洗面台の鏡を見たら首に刺さった矢が貫通しているのを見た。手が動くことを確認して、靴も履かずに逃げて近所の人に助けを求めた。

 叔母は通院治療に最低3か月は必要とされる環椎骨折を負いながらも、命を繋ぎとめた。

 事件当日の様子が読み上げられたのは公判開始からわずか15分ほどだったが、あまりにも非現実的な内容に傍聴席も息を飲んだ。

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