ボウガンが凶器に(写真/AFLO)
叔母のもとをクロスボウを持って訪れていた
被告人は今年になって、2度叔母の家を訪問したことがあるという。
1度目は玄関で「印鑑押してくれ」と言われた。書類を出すように伝えると、「(書類を)家に忘れた」と言い帰っていった。2度目も同じ用件で、今度は「書類に印鑑押すところがない」と伝えると、そのまま帰っていった。
この供述調書を聞き、どういった意図のものだろうと不思議に思った。しかし、その後の話に身震いする。
被告人はそのとき、三角形のケースを持っていた。叔母は楽器かと思い、何かと尋ねると、被告人は「これから大事になるものじゃ」と答えて帰っていったという。
これが事件で使われたクロスボウであった。この後、弁護側が読み上げた被告人の陳述内容によって、被告人が抱いていた一家への恨みや、殺人の様子が明らかになった——第2回記事で詳報する。
(第2回に続く)
◆取材・文/普通(裁判ライター)