兵庫県宝塚市で親族4人がボーガンで殺傷された事件で、裁判員裁判の初公判が開かれた神戸地裁の法廷(時事通信)

「やっと始まったな」

 事件の様子が語られる。被告人の話すトーンは全く変わらない。

弁護人「矢を装填するとき何を考えたのですか」
被告人「『的を見て、狙ったら撃つ』ですね」

弁護人「撃ったあとの感情は」
被告人「やっと始まったって感じですね」

 祖母を殺害後、まったく躊躇することなく、弟にも手をかける。叔母に電話をしたら、予想外に早く家に来ることに焦ったという。しかし、その心境を聞かれると「まぁ、殺す要領は変わらないんで、そのまま叔母も殺しちゃおうという感じでしたね」と答える。

 叔母への追加攻撃も考えたというが、ヘルメットやその他体勢などを加味し、無理だと断念したという。決して、心理的なためらいなどを口にすることはなかった。

 恨みを募らせていた母の襲撃の前は「絶対殺す」という強い気持ちがあったという。そして母への犯行も完遂した。

 逮捕されたときの気持ちとして「(自分が死刑になるための計画が)やっと始まったな」という思いで、現在にいたるまで事件を起こした後悔はないという。

 体調は今も改善せず、自分の死を望む気持ちが強いという被告人。「このまま早く死刑になって、くらいたい気持ちです」などと語る。仮に死刑が宣告されても、自分の死にたい気持ちは変わらないという。

 家に残されていた3人の遺体のそばには塩が置かれていた。理由を聞かれると「結界を張って、死亡した本人が霊媒的に僕に取り憑いてくるのを阻止するためです」と答える。

 この日の最後まで、死亡した3名への後悔の念を語ることはなかった被告人。凶行の動機を、社会はどのように受け止め、感じるべきなのだろうか。

(了。第1回から読む

◆取材・文/普通(裁判ライター)

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