自民党の「外国人材等に関する特別委員会」であいさつする山下貴司・元法相(中央奥)。2025年8月25日午後、東京・永田町の同党本部(時事通信フォト)
自民党は8月25日に「経営・管理ビザ 許可基準厳格化求める外国人材等特別委員会」を開いた。今年に入って選挙対策のように矢継ぎ早に厳格化、それでも選挙で連敗続き、国民からノーを突きつけられ続けている自民党としては外免切替同様、ようやく重い腰を上げた格好となった。
「一定の日本語能力を求めるべきだ」
「学位証書が偽造される恐れも考慮した学位要件について検討を」
「警察庁と綿密に情報共有をし、査証の更新前であっても、問題のある外国人は即座に査証を停止するべきだ」
との意見(「自由民主」9月9日号)が出されたが、すでに3月にも石破茂首相が「外国人も一定の要件を満たせば差別しない、そうした日本人の美徳を逆手にとって悪用することはあってはならない」と踏み込んだ発言をした。今さら感ばかりだが、これまでこんなずさんな制度を放置してきた責任は重大だ。
もちろん、すべての外国人、とくに中国人がそうでないのは当然だ。日本人の一部経営者だって昔からペーパーカンパニーを使った悪さに手を染めている。学歴に至っては自治体の長すら詐称して居座っている。
それでも、これまでの外免切替同様制度上の欠陥が明確にあり、それが目的外利用されることが常態化しているのなら制度は変えるべきだという当たり前の話をしている。決して排外とか差別でなく、あまりにずさんだった制度の話をしている。
ともかく問題だらけの「経営・管理ビザ」だったが10月中旬には厳格化する。資本金3000万円以上で1人以上の常勤職員の必須化と従業員の日本語能力要件、経営管理の経験3年以上、経営管理に関する修士相当の学歴、中小企業診断士による事業計画の確認とその提出が求められることになった。
いきなりハードルが上がって資本金6倍に経験と学歴も求める制度に変わることになるが、すべてが制度として実現するかはともかくとして、極端な制度改正をしなければならないほどに制度の悪用、とくに社会保険の「タダ乗り」が常態化するどころか病気を格安で治すために会社をとりあえず作る国、という扱いになってしまっているという実態がある。
東京近郊の県で日用雑貨や衣料品の輸出入と通販を夫婦で手掛ける中国人は今年に入り「これまでの制度で事業をしている外国人にも適用されるのでは」と心配していた。彼らはペーパーカンパニーではなく事業実態のある夫婦だが、そこまででなくとも在留資格更新では事業実態(いわゆる「狭義の相当性」)については、これまで以上に厳格化されることは間違いないだろう。
「日本は医療とか福祉が中国なんかと比べ物にならないくらいいい。自由だし楽しい。教育だってほとんど国や東京都がお金を出してくれる、いずれ長く病気の親や障害を持つ親戚の子も呼び寄せたいと思っていた」