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NHK『映像の世紀』が解き明かした第二次世界大戦の真実 高精細カラー化されたプロパガンダ映像に映る国民の本音、老いて弱りゆく独裁者の姿

ドイツのニュルンベルクで開催されたナチ党大会でのヒトラー。1939年9月1日、ナチ・ドイツがポーランドに侵攻し、第二次世界大戦が勃発した(C)NHK

 NHKのドキュメンタリー番組『映像の世紀 高精細スペシャル ヨーロッパ2077日の地獄』3部作が7~8月に3週連続で放送され、第二次世界大戦の高精細なカラー化映像が大きな反響を呼んだ(現在NHKオンデマンドで配信中)。従来の画質の粗いモノクロ映像に比べて極めて鮮明で、様々な新たな発見があるからだ。

 たとえばナチ・ドイツの宣伝相・ゲッベルスが1943年2月に行なった「総力戦演説」──。

 その様子が収められたフィルムは、劣勢に立たされたドイツが、国民に戦争の継続を訴えるための“完璧なプロパガンダ映像”とされてきた。

 しかし、高精細化された映像を見ると、演説会場を埋め尽くしているのは選ばれた聴衆であるにもかかわらず、異様な熱気に戸惑う人の姿も映っていることがわかった。

 番組で放送されたのは、大戦中にドイツ、アメリカなど各国が映画用の35mmフィルムで撮影した50時間分の映像を、NHKが世界で初めて8Kなどに高精細化したもの(放送は2K=フルハイビジョンで行なわれた。8Kは2Kの16倍の画素数)。

 担当ディレクターの岩田真治氏が話す。

 「本来35mmフィルムで撮られた映像は非常に情報量が多いものです。しかし、従来は低い解像度でスキャンしていたため、画質が粗かった。今回8Kでスキャンしたところ、フィルムが本来持っているにもかかわらず今まで見えていなかったものが引き出せたのです」

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