今年も来年度用のカレンダーを作成した漫才協会(イラスト/佐野文二郎)
放送作家、タレント、演芸評論家、そして立川流の「立川藤志楼」として高座にもあがる高田文夫氏が『週刊ポスト』で連載するエッセイ「笑刊ポスト」。今回は、漫才協会2026年カレンダーについて。
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来年の事を言うと鬼と漫才協会が笑う。ナイツ塙会長が率いる略して「漫協」。今年も来年度用のカレンダーを大して売れないのに作った。たしか東洋館で買えば1000円。企画は「新宿カウボーイ・かねきよ」(面白いんだけど、売れない)。デザインは「母心・関」(歌舞伎漫才を古くから。国宝前である)。芸人達が作ったほぼ手作り暦。今年のテーマは「漫協の名言集」。全部載せると営業妨害になるのでピックアップ篇を。そのくらいの良識は持っている(なんたって私の肩書きは“漫才協会外部理事”である)。大した力は持っていない。
各漫才師の前に名言のようなものが書いてある。例えばナイツ「師匠・内海桂子の名言。言葉で絵を描きなさい」。ウーン分かったような分からないような。
おせつときょうた「宮田陽先輩の言葉。阿部寛を見ていたら役者なんて目指さなかったよ。秋田には居なかったんだよ」。誰だって阿部寛を見たら人前には出られないだろう。
U字工事「去年M-1を見ていたはたけんじ師匠。今年のM-1は小粒だったなあ」。ギャハハ、令和ロマンを知らない。
シューマッハ「衣裳忘れて東洋館であせっていた時にはたけんじ。向こうに死んだ師匠のスーツが沢山あるから好きに使っていいよ」。
エルシャラカーニ。「ごった返してる雷門でおぼん。おぉ、今日は外国人が多いな。カラスのものまねでもしとくか。カーッ」。
笑組「塙が漫才新人大賞で優勝した時。凄く嬉しいですッ。来年これに出なくて済むんで!」。
ピンの中津川弦「20年も前のことを想い出した内海桂子師匠。こないだねぇ!!」20年前の話がついこないだ。若いって素晴しい。
父と娘でやる漫才、完熟フレッシュ「芸人達に向けて娘が放つ。芸人で売れないのは罪なんだよ! だから売れない芸人はみんな犯罪者なんだよ!」。その通り。スポーツならハッキリ実力差が出ちゃうけど人の気をひく人気商売、芸人でも作家でも売れなきゃカスなのだ。基本的に他人の心がつかめないんだから……。
火事という大変な目にあった林家ペー・パー子。少しでも何とかしようと林家たい平の音頭でチャリティ企画「がんばれ! ペー・パー子有志応援団の集い」。10月20日(月)東洋館。米助、松村邦洋、木久蔵、たい平、ペー他。11月4日(火)大井町きゅりあん大ホール。1000人入る大きい所。岩崎宏美、戸田恵子、テリー伊藤、木久扇、好楽、市馬、たい平、ペー他。足をお運び下さい。
※週刊ポスト2025年10月31日号