「割り当てられた瞬間だけカメラを見て表情を作る意味があるのかなって疑問で」(後藤)
「マネージャーさんが現場で『もっと笑顔がほしい』と言われたこともあったようです。でも事務所から『後藤は逆にそれがいいんじゃないか』と個性として受け入れてもらえて、安心して活動ができた。みんな同じに見えるのが嫌だったというか、“絶対同じように見えなくてはいけない”と求められることに納得できなかったんです」
TikTokではCANDY TUNEの立花琴未との「倍々FIGHT!」のダンスコラボを果たし、AKB48のコンサートでは「LOVEマシーン」をメンバー全員とパフォーマンスするなど、“レジェンドアイドル”として現役アイドルと共演する機会も少なくない。一方で曲に合った表情管理に徹する精神はデビュー当初から変わらず、むしろその思いはより強くなっていると後藤は語る。
「最近のアイドルのキーワードに“かわいい”がありますよね。かわいいは正義というか。3曲あったら、どの曲でもかわいい印象が強く残る。でも、私としては3曲あったら、3つの印象に分けたい。曲ごとのテーマ性で見せ方は変えたいなと、いつも意識しています」
デビュー25周年を迎えた後藤を支える歌手としての信念は、モーニング娘。時代から生まれている。
(後編に続く)
【プロフィール】
後藤真希(ごとう・まき)/1985年9月23日生まれ。東京都出身。2024年に発売した写真集『flos』は重版を繰り返し、10刷となった。Xアカウントは【@gotomaki923】
取材・文/渡部美也
撮影/三瓶康友