自民党総裁選では東京・秋葉原駅で総裁選候補者5名による街頭演説会を実施。下馬票を覆し、高市氏が新総裁に就任した(2025年9月撮影:小川裕夫)
“対決より解決”を標榜していたが
普段から、国民は “対決より解決”を標榜し、自公政権と対峙してきた。それが国民の支持率を上げた要因ではあるが、党が違えば掲げる政策に違いがあることは当然だ。それも承知で解決に取り組むと言い続けたから、国民は支持を広げたのではなかったか。
現状、国民が単独で政権与党になる可能性は低く、政権与党になるなら多党で連立を組むしか術はない。立憲が首班指名で譲歩したように国民も立憲や維新とヒザを突き合わせて政策をすり合わせる必要があった。擦り合わせるだけの時間的な余裕がないことや基本理念が大事なことには首肯するが、”対決より解決”を標榜してきた同党が複数の政党と連立を組んで与党を目指す段階になって、”解決より対決”路線に豹変してしまうことは不思議としか言いようがない。
みすみす首相の座を逃した玉木氏は、その後も言を左右にした。公明党と近づいたり、はたまた維新に恨み節をブツけたりとブレまくった行動を続ける。すべてが終わった後で、それらをSNSに投稿しても同情はしてもらえない。むしろ、世間から冷笑されるだけだろう。
ただ、高市内閣が少数与党である事実は動かしようがなく、それゆえに高市内閣は船出から困難が予想される。自民党と維新を合わせても衆参で過半数はないので、維新の吉村洋文代表は国民も閣外協力に加わるように呼びかけたが、今のところ玉木氏は国民の連立与党入りを拒否している。
こうした玉木氏のブレまくった言動が、地道に積み上げてきた支持を急速に失わせたことだけは間違いない。とはいえ、永田町の風向きが、半日で大きく変わることは珍しくない。今後の趨勢によっては、国民が連立に加わることも十分にあり得るし、再び玉木首相待望論が浮上する可能性もある。
主にネットで人気を高めてきた玉木氏が汚名を返上するためには、ネット世論に惑わされない強い信念が求められる。今の玉木氏にとって、それは簡単なことではないだろうが、挽回に期待したい
