ドラックストア
深刻化する人手不足の現場で、スポットワーカーの存在感がますます高まっている。業界最大手「タイミー」の累計登録ワーカー数は、1000万人を突破。登録事業者数(企業数)は15万9000事業者、登録事業所(拠点数)は、33万5000事業所に上る(いずれも2024年12月時点)。
スポットワークという働き方は、労働者がスキマ時間を活用できるだけでなく、企業側にとっても人材を手軽に確保ができる手段として、頼りになる存在になりつつある。
そうした中、タイミーの利用に否定的な現場もあるようだ。
かつては経営コンサルタントとして独立し、約10年にわたり活躍するも休業。現在は生活のために“還暦タイミーさん”として、数々の仕事をこなす須来間唄人(すきま・ばいと)氏が、その実態を明かす。
須来間氏の著書『還暦タイミーさん奮戦記──60代、スキマバイトで生きてみる』(花伝社)から、タイミーに否定的な従業員をお届けする。(同書より一部抜粋して再構成)【全2回の第2回。第1回を読む】
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24時間営業のドラッグストアWの仕事に就いた。深夜0時から朝9時まで。
現地に15分前に着き、事務所でQRコードを読み込む。広い店内には女性スタッフと若い外国人の男性スタッフがいた。
「夜勤スタッフがもうすぐ出勤しますので、タイミーさんはこちらで待機して下さい」
ぼくを事務所に案内してくれた女性スタッフはそう言い残して店のレジに戻った。
23時55分頃、夜勤スタッフ・Aさんが出勤してきた。ぼくは、「タイミーから働きに来ました」と挨拶した。
「じゃあ、仕事始めておいて。俺は、0時5分から勤務だから」
とAさんが言う。
「今日初めてなんで、何をすればよいでしょうか」
ぼくはドラッグストアの品出し業務をするのは初めてだったので、Aさんが言う「仕事を始めておいて」が何を指すのかわからなかった。
