航平さんと悟さん 長男「逮捕は父の執念」  高羽奈美子さんの二十七回忌法要を終え、取材に応じる長男航平さん(右)と夫悟さん=2日午前、名古屋市(共同通信)

航平さんと悟さん 長男「逮捕は父の執念」  高羽奈美子さんの二十七回忌法要を終え、取材に応じる長男航平さん(右)と夫悟さん=2日午前、名古屋市(共同通信)

 タイプ別から推測すると、大学時代に押しかけてきたという容疑者は当時、親しくなりたい型だったのかもしれない。これまでの証言から容疑者が社交的だったという話は聞こえてこない。当時、容疑者には心から相談できる友人がいたのだろうか。このタイプは「いずれ自分の気持ちを分かってくれる」という幻想や妄想的な信念を抱いていることが多く、ストーカー行為が長期化しやすいというが、その後、容疑者が高羽さんの所に押しかけたという証言は出ていない。高羽さんにとっては安福容疑者が自分のことを諦めたように見えただろうし、そこで終わったと思っていたはずだ。しかし安福容疑者にとってはそうではなかったのだろう。高羽さんへの執着心や妄想的な信念は心の中にくすぶっていたと思われる。

 容疑者の執着心や感情を揺さぶったのは、事件発生の5か月前に行われた高校の部活のOB会での再会だったと推測できる。高羽さんが容疑者に結婚して子供がいることを伝えると、安福容疑者も「私も結婚して仕事も家事もばりばりやっている。やりがいがある」と生き生きとした様子で話していたという。だがこの発言は本当だったのだろうか。同窓会などでは、同級生らに下に見られたくないなどと見栄を張るというのはよく聞く話だ。幸せでなくても幸福な家庭を築いているように見せたいし、うまくいかなくても仕事で活躍しているように思わせたいというのが人の心理だ。

 同窓会で高羽さんに会った時、容疑者の心の中には”もしかして”という期待に似た幻想が高まったのかもしれない。同窓会の前から会いたいという気持ちが募っていたことも考えられる。だが幸せな家庭の話を聞き、その幻想が裏切られたという感情が湧いた可能性もある。さらに幸せそうな高羽さんを前にした時、自分の境遇と比較しただろう。「やりがいがある」と言ったという容疑者だが、その言葉とは裏腹に夫との結婚生活や家庭において満たされず、考えていた幸福とは違ったのではないだろうか。幸せな日々を送っていたなら、その幸せを壊すような行為を自分から起こしはしないと思う。

 高羽さんの妻や子どもの存在を知れば、その姿を見たくなっただろう。被害者を自分の期待や幻想を打ち砕いた相手、享受できただろう幸せを奪った相手と思い込んだかもしれないし、高羽さんの幸せを壊したかったのかもしれない。恋愛感情と復讐心と怒りが混ざり合った感情を抑えることができなかったのか、抑えようとしなかったのか。容疑者は凶行に及んだ。

 動機などの解明はこれから始まるだろう。26年の時を経て、事件を起こした彼女の心の闇が明らかになることを願う。

情報提供を呼びかける被害者の夫・高羽悟さん(写真中央)

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安福久美子容疑者を乗せた警察車両(時事通信フォト)

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容疑者宅とされる一軒家。女はここで、人目を避けて生活していたのか

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