ピザもそうだが人の食べ物は熊にとって圧倒的に美味で、覚えると何度も求めてくるという

ピザもそうだが人の食べ物は熊にとって圧倒的に美味で、覚えると何度も求めてくるという

観光客の接近で「モンスターベア」が誕生

 2009年9月、初心者向けの登山コースとして普段から多くの人出がある乗鞍岳(岐阜と長野の県境)にツキノワグマが現れ、次々と観光客を襲う事件が起きた。

 山の中腹からバスターミナルを目がけて駆け降りてきた熊は、まったく人間を恐れるそぶりを見せず、車のクラクションを鳴らし続けてもいっさい怯まない。空腹でもないのに、ただただ人を襲い続けた。そのような行動は、一般的にいわれてきた熊の生態とまったく異なる。長年、多くの観光客と野生熊の接近が続いた結果、過去の常識が通用しないモンスターベアが誕生してしまったわけである。これも地勢的に熊と人間が関わる機会の多い日本ならではの特殊事情といえるだろう。

 この乗鞍岳の事件では、死者こそ出なかったものの、杖で撃退しようとした観光客は熊が振るった前脚の一撃で顔面の半分を潰され、片目がボロりと地面に落ちたという。発表された被害人数は重傷3人、軽傷7人ということだったが、救急車を使わず自家用車などで病院へ向かった負傷者も多数いたようで、被害の全容は判然としない。

 こうした特異な事件が、今後は山間だけでなく、都市部でも広がることが危惧される。現在、山地から100メートル以上離れた土地で熊被害が多数発生していることから、熊の生態の変質はもはや疑いようがない。これは日本人が受け入れざるを得ない事実となっているのだ。

 2023年5月には、札幌市の森林で熊に遭遇したユーチューバーが持参のピザを投げ出し、それを食べて味をしめた熊がたびたび人里近くに現れるようになった一件もあった。

 温暖化の影響で冬眠期間が短縮したせいか、これまで熊を見かけなかった時期の活動も報告されている。自治体が熊の駆除に乗り出せば、「熊愛護」の観点から多くの批判の声が集まるが、昔ながらの自然保護や動物愛護の精神では、もはやアーバン熊に対処できなくなったと心得なければならない。いったん人里に降りることを覚えた熊は、駆除せずに捕獲という手段を用いて山へ返したところで、またすぐに人里に戻ってくるという。

取材・文/早川満

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