シールデビューした田村淳
シール交換の再ブームが話題だ。今回のブームは、少女やかつて少女だった女性たちによるリバイバルだけでなく、中年以上の男性も加わっている。臨床心理士の岡村美奈さんが、なぜ老若男女がアナログなシール交換に夢中になっているのかについて分析する。
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平成女児の間で流行ったシール交換が再び大流行している。交換されているなかでも人気なのはボンボンドロップシール。知らない人なら新しい飴玉かと思うだろうネーミングには可愛さやワクワク感が詰まっていた。
透明感がありながらキラキラした色とりどりのシールは、ツヤツヤで可愛くてコロっとしたジェムのよう、ぷっくりとした感触はグミみたいでずっと触っていたくなるような独特の触感を持っている。人気のシールはファンシーショップや文具店で売り切れが続き、オンライン販売でも入手困難なほど。ブームを作っているのは子どもだけでなく、平成時代にシール交換を楽しんでいた世代。それだけでなく親子やカップル、男性の間でもシールを集めたり、交換を楽しんだりする人が増えているらしい。それはなぜか。
シール集めや交換の楽しさに目覚める男性は、友達や恋人、子供などに誘われてシール集めを始めることが多いらしい。お笑い芸人の田村淳さんが、自身のインスタグラムで公開した”シール帳”デビュー。娘さんたちから手ほどきを受けているというシール帳には、可愛いボンボンドロップシールが沢山貼られていた。子どもにとって、親に何かを教えられる機会は貴重だ。自分が少し偉くなったような、大人になった気分が味わえるし、得意な気持ちになれる。親と一緒に楽しむことができれば、自分の趣味を理解して認めてもらえるし自尊心が高まるだろう。何より親への心理的距離も近くなる。
いつの時代でも女児や女性は可愛いものが好きだ。平成当時はまだ女の子は女の子らしく、男の子は男の子らしくという考え方が大半だったから、いくら可愛いと思ってもシール集めをする男児は少なかっただろうし、男児をシール集めに誘う女児もあまりいなかったと思う。しかし今は性別にかかわらず、可愛いものは可愛いといえる時代。だから誘う方も誘われる方も気楽に声をかけられるし、趣味や娯楽、スポーツなど様々なことに対して性別による区別がなくなってきた。
