ベテラン猟師の常識として、サケを捕食中のヒグマに近づくのは自殺行為に等しいとされる

ベテラン猟師の常識として、サケを捕食中のヒグマに近づくのは自殺行為に等しいとされる

サケの捕獲場へ不法侵入したところで野生の熊とバッティング

【標津町サケ密猟者殺害事件】
発生年月日:2008年9月17日
発生場所:北海道標津町
犠牲者数:死者1名
熊種:ヒグマ

 2008年の初秋のこと。そろそろ午後11時になろうかという真夜中に、2人の男性を乗せた一台の車が北海道標津町を流れる当幌川へ向かっていた。

 国道脇に車を停めると、一人がそこから茂みの中へ踏み入って、川岸へ向かう。行く先にはサケの捕獲場があった。2人はサケの密猟を企んでいて、そのための下見に訪れたのだった。

 男性が川へ向かってからしばらくすると、暗闇の中から悲鳴が上がり、続いて獣の唸り声が車内にまで聞こえてきた。車に残っていた男性が声のほうへ向かった。すると最初の男性が頭から血を流してうずくまっていた。

 2人はなんとか車まで戻り、近くの病院へ駆け込んだ。被害男性は顔面を粉砕骨折していた。頬にはヒグマの爪によるものと思われる傷が深く刻まれ、鼻から上唇にかけては皮膚がめくり取られて頭蓋までが見えていた。顔面以外の受傷はいくらかのかすり傷や打撲だけだったが、結局被害男性は出血多量により、日付をまたいだ頃に死亡が確認された。

 現場には、内臓だけを食べたらしいサケの死骸が散乱し、熊のものと思われる毛や足跡が残されていたという。

 おそらく被害男性は、熊がサケを捕食しているところに鉢合わせして、これに驚いた熊の攻撃を受けてしまったのだろう。

 当幌川は大量のサケが遡上することで知られていたが、事件の起きた場所は熊の目撃情報も多く聞かれていた。サケの遡上のピークの頃は、これを食べにやってくる熊と遭遇する危険がグンと増加するため、地元の人々はまずこの時期に川へ近寄ることがなかったという。

 被害男性も地元の住人であり、そうした熊の危険性は知っていただろうが、他に人が来ないからこそ逆に密猟をやりやすいとでも考えたのだろうか。

 熊も密猟者も、同様に人目を避けて夜半にやってきたところでバッティングしたとなると、なにやら自業自得と思われなくもない。

 なお男性を殺して逃げた熊は1か月ほどの探索の末に、現場から4キロほど離れた山林で見つかり、駆除されている。

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