テツとクマが死闘を繰り広げたとみられる血飛沫が飛び散っていた
「テツの背中にはクマの爪がいくつか刺さり、穴が空いたようになっていて流血していました。引っ掻かれたというより刺さったという感じでした。運よく命に別条はなく、今ではこのように落ち着いています。
全く吠えたり怒ったりしない穏やかな犬なので、あんなクマと戦えたことに『やっぱりテツって強いんだな』と心強い気持ちです。そして家族を守るために戦ってくれたのだろうと思うと、感謝の気持ちでいっぱいです」
高橋さん宅を襲撃したクマの行方はその後もわかっていない。
「この地域ではこれまでクマが出たと言う前例は全くなかったんです。周囲には、ペットを飼われている方もいます。ペットたちの多くはクマに対抗なんてできないでしょう。自宅にクマが出るというのは、本当に恐ろしいことです」
実際にクマと対峙した経験を経て、今の日本の状況についてどう考えているのだろうか。
「もちろんクマの命も大事ですが、人間と動物の住み分けのバランスが崩れている以上、何か行政が手を打つべきだとは思いますね。鈴や爆竹といったよく行われるクマ除け対策も、クマ自体が慣れてきているのかと思いますし……」
高橋さんの自宅の敷地内には、当時の出来事を想起させる今も消えない血痕が複数残っていた。
