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高田文夫氏が「実はずっと好きなんだよ」と白状した来生たかおの50周年コンサートへ 「どんなに苦い思いをした時も来生の歌は心をいつも二枚目にしてくれる」

ずっと好きだった来生たかお(イラスト/佐野文二郎)

ずっと好きだった来生たかお(イラスト/佐野文二郎)

 放送作家、タレント、演芸評論家、そして立川流の「立川藤志楼」として高座にもあがる高田文夫氏が『週刊ポスト』で連載するエッセイ「笑刊ポスト」。今回は、ずっと好きだった来生たかおの50周年コンサートについて。

 * * *
「実は俺ずっと来生たかおが好きなんだよ」

 あまり言ってなかった事実であるが、ラジオでチラリ白状すると周りもびっくり私もびっくり。

 数日後「これ」と差し出されたものは「来生たかお」の「コンプリート シングルコレクション」。5枚組のボックス。おまけになんとサインと「TO高田文夫」とある。クゥ~ッ50年間ありがとう。多忙すぎてつらい時やら悲しい時、いつも原稿部屋には来生たかおが流れていた。

『マイ・ラグジュアリー・ナイト』『気分は逆光線』『Goodbye Day』『シルエット・ロマンス』『セカンド・ラブ』。青春期も中年期もいま後期高齢期も来生たかおの歌と最強の姉・来生えつこの常にこじゃれた詞が流れている。どんなに苦い思いをした時も来生の歌は心をいつも二枚目にしてくれる。来生姉弟の歌ばかり聞いていた時、周りから「聞き過ぎたかお」と呼ばれた「聞き過ぎふみお」である。

 そして……ジャーン11月26日、来生たかおの50周年コンサート(渋谷NHKホール)、行ってきましたよ。若い頃は何回かライブも行った事はあるのだが、こうして生でタップリ聞くのは何十年ぶりだろうか。

 入って来るお客を見ているとみな70を行ったり来たりといった御年配。大していい事もなかった人生だなと思ってる旦那と大した男をつかまえられなかったわと思ってる奥方と。お互いつかまりながら入ってくる。それでも来生の歌を聞けばロマンチックだったあの頃が鮮明によみがえってくる。

 バンドをバックにスタンドマイクで、ストリングスをバックにそしてピアノを弾いて……もう、うっとりである。なんかこの場所は心地良いなと思ったら、このNHKの道路一本むこう(富ヶ谷)で私は「オギャーッ」と産まれたのだ。なんかなつかしい気分でもあった。

 歌と歌のあいだにボソッボソッと喋る。これがまた心地良い。「ひばりさんの話」やら「坂本龍一のこと」「忌野清志郎のこと」。想えばみなもういない。語ることで生き返るのだ。たむけのトークかな。

 一番拍手が大きかったのは「いまちょっと姉のえつこも休んでますけど、すぐに私が書かせます」と言った瞬間「ウワ~ッ」と大拍手。みな事情をよく知ってるのだ。これだけの才能あふるる姉と弟なんてこの世にいない。

 アンコールでピアノの前に座った来生は「それではきいて下さい。まだ“夢の途中”です」。何だか……オレもしっかりしなくちゃなと思った。

※週刊ポスト2025年12月19日号

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