台湾有事を巡る高市早苗首相の発言から緊張感が高まり続けている(時事通信フォト)
12月6日夕方、沖縄本島南東の公海上空が緊迫した。中国軍のJ15戦闘機が、航空自衛隊のF15自衛隊機に複数回レーダー照射を行ったからだ。
7日未明には小泉進次郎防衛相が記者団に経緯を説明した上で、レーダー照射に強い懸念を表明。高市首相も同日夕方に囲み取材で「安全な飛行に必要な範囲を超える危険な行為で極めて残念だ」と批判した。
中国は8日に「関係海空域での活動は国際法に合致している」「(日本サイドが)中国の軍事活動を妨害し『レーダー問題』として騒ぎ立てている」などと応戦。9日には中国国営中央テレビ系メディアの「玉淵譚天」が、中国海軍が自衛隊に対して訓練の事前通知を行ったやりとりとする音声を公開したが、小泉防衛相は「危険回避のための十分な情報はなかった」などと厳しく批判した。
日中関係はどこまで悪化していくのだろうか──。
台湾有事を巡る高市早苗首相の発言から、緊張感が高まり続けている2国間。ある防衛族の与党重鎮は「中国側に開戦の口実を与えてしまった」と嘆いた。
高市氏の答弁は中国の猛反発を誘い、中国政府が日本への渡航自粛要請を発出し、2年ぶりに再開された水産物の輸入はわずか2週間でストップ。中国が国際市場で優位に立つレアアース(希土類)の輸出規制など、さらなる経済圧力に踏み切るかどうかに注目が集まっているが、前出の与党重鎮をはじめとする防衛族議員らは“さらに深刻なシナリオ”を警戒している。
米国のシンクタンク「CSIS(戦略国際問題研究所)」が想定する「台湾有事」の開戦シナリオがそれだ。一部の防衛族議員らが「現実味を帯びだしている」と漏らしている。
