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【書評】『生成AIで爆速!ChatGPT仕事術』 ホワイトカラーが生き残るためのサバイバル書

『生成AIで爆速!ChatGPT仕事術』/鈴木眞里子・著

『生成AIで爆速!ChatGPT仕事術』/鈴木眞里子・著

【書評】『生成AIで爆速!ChatGPT仕事術』/鈴木眞里子・著/日経文庫ビジュアル/1100円
【評者】加谷珪一(経済評論家)

 日本ではあまり報道されていないのでピンと来ない人が多いかもしれないが、諸外国ではこれまでにない規模の人員削減が次々と行われている。その理由はAI導入による徹底した省力化である。

 AIが今後、多くの仕事を奪うことは漠然とイメージされてきたが、現実は想像を超えるペースで進んでいる。営業現場での資料作成やコールセンターにおける顧客対応、法務部門における契約書チェックや人事・労務管理など、これまで人間が対応していた業務の多くが自動化されており、これに伴ってホワイトカラーの人余りが顕著となっている。最先端を行く米国では、大学や大学院に進学するのではなく、あえてブルーカラーを目指す若者も現れ始めているという。

 こうした中、ホワイトカラーとして何とか生き残るためには、AIを使いこなす側に入ることが必須要件となる。本書はAI(ChatGPT)を使ってビジネスの日常業務を効率化するというコンセプトの書籍だが、少し大げさに言えば、ホワイトカラーが生き残るためのサバイバル書ともいえる。

 AI時代に必要なのはプログラミングといったいわゆるITスキルではない。AIは所詮AIであり、曖昧な指示からは陳腐な成果物しか出してこない。AIに的確に仕事を行わせるには、明快で論理的な指示を出すことが大事である。もっとわかりやすく言うと「いい感じで資料を作っておいて」としか部下に指示を出せない人はAI時代には確実に仕事を失う。

 AIに指示を出す命令文をプロンプトと呼ぶが、本書は「顧客ニーズに関するレポート作成」「セミナー構成案」「契約書のたたき台」「アンケート質問項目の列挙」など、60以上のプロンプト事例が見開きで展開されている。この事例集を見て戦慄を覚えない人は、よほどの高スキルか鈍感かのどちらかだろう。

※週刊ポスト2025年12月19日号

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