髪を短く整えていたときのほうが定期的なメンテナンスの回数が多かった(写真提供/イメージマート)
「一時期、自分を遊んでる風に見せたいオジサンがみんなあの髪型でした(笑)。似合ってる?とか、芸術家に見える?とか、いかつすぎるかな?とか聞かれて、その度に笑いをこらえていたというのが本当のところでしたよ」
男からするとワイルドで男らしくも感じる「マンバンヘア」だが、このように女性ウケは決してよくない。ではなぜ、男たちは「マンバンヘア」を目指すのか? 当事者に聞くと、単なる「かっこつけ」ではない、中高年男性ならではの事情があった。
「トップが薄くなってきちゃってね(笑)。サイドを刈り上げて、トップの髪をできるだけ伸ばして、こうやって結んでしまえば、薄毛がわからない。以前は、薄毛を何とかごまかすためにセットに長く時間をかけていましたが、これは楽。しかも”いかつい”のが悪くない」
と満足そうに話すのは、マンバンスタイルに変えてから「自信がみなぎるようになった」という千葉県在住の会社員(50代)。薄毛がごまかせ、さらに”いかつく”見えるマンバンヘアに変えてからというもの「若者からも舐められなくなった」と自信たっぷり。ただ、妻や娘からは不評のようだ。
「年甲斐もない、恥ずかしいといわれ、帽子をかぶらないと一緒に外出してくれません。そこまで嫌うかなと思いつつ、私としては気に入っているので、やめたくはないですよ」(千葉県在住の会社員)
埼玉県在住の会社経営者の男性(40代)も、昨年の夏ころから「マンバンヘア」スタイルを実践している。やはり「薄毛」解消と、見た目のワイルドさに惹かれてのことだったという。
「薄くなった頭頂部に、サイドの長い毛を持って行ってハゲを隠す。ボリュームも出るしセットも要らない。あと、やっぱりかっこいいよね(笑)、男らしいじゃん」(会社経営者の男性)
男性の横でじっと話を聞いていた妻(40代)があきれたように言う。
「何が変って、その年でいかつい、男らしい髪型にしたいって思っているところ。今さらイメチェンしたいの? もてたいの? て思っちゃう。男の人は満足かもしれませんけど、横にいる女性からすると、気持ち悪いしみっともないし、恥ずかしい」(会社経営者の妻)
「隠す」や「いかつい」のキーワードにフォーカスしてしまったが、多くの男性が実践するマンバンヘアには、やはり男性共通のメリットも確かに存在する。前出の美容師がいう。
「おじさんは短髪にすべき、と言いますが、実は短髪を綺麗に維持するのも手間と金がかかる。少しの伸びや乱れが、長髪より目立つのです。マンバンヘアですと、伸びやすく目立ちやすいサイドはバリカンでセルフカットしてトップは伸ばしっぱなしでOK。手入れも楽だし、金もかからないのです。ただ、本人がいくら気に入っていても見た目の印象が強すぎる。周囲に反対されるなどして短期間のうちに普通の髪型に戻す、という人がほとんどです」(美容師)
アラフォー筆者の周囲でも、静かに広がる「マンバンスタイル」。流行というより、時代や年齢に翻弄される男が絶対に通る道、なのかもしれない。
