小池百合子一覧/4ページ
【小池百合子】に関するニュースを集めたページです。

倉田真由美氏が分析 小池百合子と蓮舫、辻元、稲田との違い
ベストセラーとなっている『女帝 小池百合子』はそう問いかけているが、厳しい目を持つ女性たちに小池百合子都知事(67)の「真実の姿」はどう映っているのだろうか。漫画家の倉田真由美氏(48)が分析する。 * * * 4年前の都知事選、古い体質の都政に拒否反応があった私は、それに対決する小池百合子さんを強く支持していました。あの時の“風”に乗ってしまった典型的なタイプでした。多くの人が風に乗せられましたが、小池さんが何をしたのかというと結局、一歩も動いてなかった。 今は新型コロナ対策という風に乗っていますが、いまさら小池さんを応援するようなスタンスにはなれません。 でも、小池さんが圧倒的に衆目を引くのは確かです。その理由は喋り方なのか、声なのか、言葉選びなのかわかりませんが、明らかにテレビ映えします。風を見抜くことがお上手で、その発信力でさらに風を強くできる。 私自身は小池百合子を好きか嫌いかといわれると「嫌い」のほうになりますが、「凄い人」だとは思っています。女が成功するにはこういうやり方もあるんだ、といういいサンプルとして。 女性が成功するにはいくつかの方法がありますが、例えば男勝りで男の世界に入っていく人。蓮舫さんや辻元清美さんのようなパンツスーツを着た人はまさにそのタイプですが、男勝りは男性に反感を買いやすく、あまり成功しないんです。 小池さんはそのタイプではない。華やかなファッションだし、ばっちりメイクで髪もしっかり整えて、女として身ぎれいにしている。ただし、稲田朋美さんの巻き髪や網タイツのように過剰なまでに女を出しているわけでもない。 小池さんのように華はあるけれどセクシーさは除外する、性的な雰囲気は出さないけれど、女を捨ててはいない。このバランスは本当にお上手。 私にとって小池さんは絶対に近づきたくはないタイプなんです。風を読みすぎているからか、小池さんという人が何を考えているのかがよく分からない。宣伝ショーを見ているような空虚さを感じてしまうから、同じクラスにいてもきっと話しかけないでしょう。※週刊ポスト2020年7月10・17日号
2020.07.03 16:00
週刊ポスト

都知事選 売名目的で出馬する「泡沫候補」が増えた背景
7月5日投開票の東京都知事選は、小池百合子氏(67)の“圧勝再選ムード”でつまらない──そう決めつけていないだろうか。実は、新聞やテレビが「主要5候補」としか報じない裏では、史上最多となる22人が名乗りをあげている。その“あまりに個性的な選挙活動”に、ノンフィクションライターの柳川悠二氏が密着した。(文中敬称略) * * * 令和2年の都知事選には、過去最多となる22人が立候補している。現職の小池に、野党3党の支援を受ける元日弁連会長・宇都宮健児(73)、れいわ新撰組代表の山本太郎(45)、元熊本県副知事の小野泰輔(46)にホリエモン新党公認の立花孝志(52・NHKから国民を守る党党首)を加えた5人が大手メディアが「主要候補」とする候補者だ。 一方、国政選挙や大都市の首長選挙の無名候補者は大手メディアから「泡沫候補」と扱われ、活動が紹介されることは限定的だ。 今回も“へそくり”から供託金やポスター代を用立てた薬剤師の長澤育弘(34)や、自身が立ち上げた国民主権党党首にしてユーチューバーの平塚正幸(38)、2016年の都知事選・政見放送で“放送禁止ワード”を連呼して一部に鮮烈な印象を残した後藤輝樹(37)、政治団体「スーパークレイジー君」代表の西本誠(33)などが立候補している。 こうした無名の候補が注目されるようになったのは、この10年ほどだろう。 各地の選挙に出馬した羽柴秀吉こと三上誠三氏は2015年に死去し、コスプレでスマイルダンスを踊る泡沫候補の代表格、マック赤坂は港区議となったことで“表舞台”から姿を消した。思い返すと、羽柴もマックも、どこか哀愁が漂い、その挙動には可愛げが、愛くるしさがあった。 だが、今回の取材では、明らかな変質が感じられた。30代の若い候補者が多く、そして、多くがYouTubeにチャンネルを持っていた。自身も出馬した立花氏はこんな見立てを披露する。「政見放送がYouTubeなり、SNSに誘導するためのツールとなる。たった300万円の供託金で、NHKで6分の政見放送が2回、民放でも1回放送してくれる。安く見積もって1億円近い宣伝効果。だから売名や商売、布教目的で出馬する人が増えるんです」 とりわけ今回の都知事選では、多くの候補者に当選以外の魂胆が色濃く窺えた。“泡沫候補”が一種のステータスになってはいまいか。令和最初の都知事選に、改めてそう考えさせられた。【都知事選の候補者一覧(届け出順。敬称、肩書き、所属政党は略)】山本太郎、小池百合子、七海ひろこ、宇都宮健児、桜井誠、込山洋、小野泰輔、竹本秀之、西本誠、関口安弘、押越清悦、服部修、立花孝志、斉藤健一郎、後藤輝樹、沢しおん、市川浩司、石井均、長澤育弘、牛尾和恵、平塚正幸、内藤久遠※週刊ポスト2020年7月10・17日号
2020.07.03 07:00
週刊ポスト

小池百合子氏に「常に笑顔だが目が笑ってないように見える」評
救世主か?“怪物”か?──。ベストセラーとなっている『女帝 小池百合子』はそう問いかけているが、厳しい目を持つ女性たち小池百合子都知事(67)の「真実の姿」はどう映っているのだろうか。経済ジャーナリストの荻原博子氏(66)が分析する。 * * * 小池さんの政治家としての手腕は、新型コロナ対策でも発揮されました。給付金についても早いタイミングから口にしていて、「スーパーに行くのは3日に1回程度」と具体的な指示を出す。生活を担う主婦、都民、国民が欲しているもの、情報をよく分かっている。 安倍総理との差でいえば、見ている方向が違うということ。小池さんは明らかに皆の顔を見る。そして何が望まれているのかということを掴もうとする。政治家としては、安倍政権の中枢にいる人たちとは大違いです。 ただ、私から見た小池さんのイメージは、仮に私が小池さんと友達になろうとしても、彼女は友達になろうとしない。誰とも友達になんてならないんじゃないかって感じる女性なんです。 以前、テレビ朝日の番組で、ある評論家が小池さんを非難するような軽口を叩きました。そしたら番組の終わりで、小池さんはその評論家に駆け寄り、「先生、勉強になりました」と握手したんです。その評論家の方はその後「小池さんはいいね」と小池贔屓(びいき)に転じました。同性から見ても、まさに人たらし。でも、人たらしは他人を信用しない。だから彼女は友達を作れないのでしょう。 小池さんには発信力、行動力、決断力があって、何より度胸がある。そのぶん、小池さんは甘い人間ではない。いつもスマイルですが、目が笑っていないように見えるのです。 安倍政権が「お友達内閣」と揶揄されたように、なあなあの政治が行なわれてはいけない。だから小池さんのように友達なんていらないというような甘くない人が、政治家に増えるといいと私は思っています。たとえ、友達にはなれなくとも。※週刊ポスト2020年7月10・17日号
2020.07.02 16:00
週刊ポスト

スーパークレイジー君・西本誠氏がN国・立花孝志氏の激励に涙
7月5日投開票の東京都知事選は、小池百合子氏の“圧勝再選ムード”でつまらない──そう決めつけていないだろうか。実は、新聞やテレビが「主要5候補」としか報じない裏では、史上最多となる22人が名乗りをあげている。その“あまりに個性的な選挙活動”に、ノンフィクションライターの柳川悠二氏が密着した。(文中敬称略) 令和2年の都知事選には、過去最多となる22人が立候補している。現職の小池に、野党3党の支援を受ける元日弁連会長・宇都宮健児(73)、れいわ新撰組代表の山本太郎(45)、元熊本県副知事の小野泰輔(46)にこの立花を加えた5人が大手メディアが「主要候補」とする候補者だ。 その他、国政選挙や大都市の首長選挙の無名候補者は大手メディアから「泡沫候補」と扱われ、活動が紹介されることは限定的だ。 2016年の都知事選において、NHKの政見放送で“放送禁止ワード”を連呼し、一部に鮮烈な印象を残した後藤輝樹(37)は今回も出馬した。個人演説会の参加者は9人(うち5人が取材目的)。 麦わら帽子姿の後藤が会場に現れると、エキセントリックな印象はなく、今年に入って一日で体得したという“レイキ(霊気)ヒーリング”を希望者に施していく。前回の政見放送の意図を尋ねた。「発言を注目してもらいたいから。(家族が観たらどう思うか?)気にしたらやってられませんよ。僕の職業は後藤輝樹。108の職種があります」 つまりは煩悩のまま生きているということか。 選挙カーに改造したベンツ・Sクラスから「アンパンマンマーチ」を大爆音で流していたのが、政治団体「スーパークレイジー君」代表の西本誠(33)だ。 金髪を「七三」にわけた彼は、白の特攻服に身を包んで入れ墨を隠していた。逮捕歴があることに加え、8人兄弟はみな腹違いだと西本は打ち明けた。 宮崎出身だという彼の選挙ポスターには、「どげんかせんといかん」と、一世を風靡した先人のキャッチフレーズが。そして、「(投票に無関心の)600万人の代表が僕です」と訴えかけていた。 同じ日に池袋駅東口で演説していた立花孝志(52、NHKから国民を守る党党首)が西本の言葉に共感して演説に加わり、思わぬ激励に西本が涙する場面も生まれた。【都知事選の候補者一覧(届け出順。敬称、肩書き、所属政党は略)】山本太郎、小池百合子、七海ひろこ、宇都宮健児、桜井誠、込山洋、小野泰輔、竹本秀之、西本誠、関口安弘、押越清悦、服部修、立花孝志、斉藤健一郎、後藤輝樹、沢しおん、市川浩司、石井均、長澤育弘、牛尾和恵、平塚正幸、内藤久遠※週刊ポスト2020年7月10・17日号
2020.07.02 07:00
週刊ポスト

小池百合子氏の発信力は認めるがなぜか鼻につくと下重暁子氏
救世主か?“怪物”か?──。ベストセラーとなっている『女帝 小池百合子』はそう問いかけているが、厳しい目を持つ女性たちに小池百合子都知事(67)の「真実の姿」はどう映っているのだろうか。作家の下重暁子氏(84)が分析する。 * * * 小池百合子さんが学生時代を過ごしたエジプトのカイロに、私は半年住んでいたことがあります。 あれは1977年のことでしたが、カイロで小池百合子さんのご家族が日本料理店を経営していて日本人がよく利用していたと聞きました。そこの娘さんがカイロ大学に通っていたと話題になっていたようです。日本人というのが珍しく、さらに女性だということで印象に残ったのでしょう。それが小池さんでした。 その後、政治家となられた姿を見るようになりましたが、キャスター経験もあるからか発信力があって、これは才能なのかもしれません。 小池さんの言葉にカタカナが多すぎるという批判を耳にしますが、彼女の外来語の使い方は「都市が封鎖されている、いわゆるロックダウンをされている」と言葉を添えるから気にならない。むしろ私は上手だと思います。言葉遣いも的確で、人の気持ちを掴むのがうまい。勘がいいのでしょう。 政治家は言葉で勝負するものです。それなのに言葉が人に伝わるような政治家はあまりいません。小池さんは心を込めているのかどうかは分かりませんが、発言が心に残ります。多くの政治家はこれに学んだほうがいいとさえ思っています。 ですが──。小池さんには、どうしてももったいないところがあります。 彼女の立ち居振る舞いには「自分が、自分が」という部分が垣間見えるのです。もちろん政治家ですから目立たなきゃならないわけで、目立つこと自体が悪いとは思いません。 ただ、どうも“鼻につく”のです。これはご本人がやりたい政策を訴えるというよりも、自分を目立たせたいという部分が感じられるからじゃないでしょうか。 私自身、女がトップになることは大賛成ですが、小池さんの場合、女を売り、媚を売っている部分がやはり鼻につく。そこに野心が見えすぎるからでしょうか。野心というものは、表に出すものではなく、黙って内側に力をためて、訓練して蓄えれば自然と表に出てきて、成果をもたらすものだと思っています。「希望の党」の時は、まさに彼女の野心が悪いほうに出たのでしょう。都知事になり、都議選でも勝利し、将来の首相というのが見えてきた。そうして成果を急ぎ過ぎた結果、失敗したのだと思います。 都知事に当選した時が、ある意味彼女のピークだったと思います。イメージ戦略が好循環となり、都民の支持を得られた。ところが、その成功を過信し、国政進出に動いた。小池さんが首相になりたいということに国民が気づいた時、彼女を見る目が変わったのです。 首相というのは取りに行くポストですが、首相の座を狙っていることが見えちゃダメなのです。 残念なことに、せっかく才能があるのに、肝心な時に野心が見えすぎてしまうのが小池さんなのでしょう。※週刊ポスト2020年7月10・17日号
2020.07.01 16:00
週刊ポスト

都知事選候補たち コロナに対する「ただの風邪」等主張の真意
7月5日投開票の東京都知事選は、小池百合子氏の“圧勝再選ムード”でつまらない──そう決めつけていないだろうか。実は、新聞やテレビが「主要5候補」としか報じない裏では、史上最多となる22人が名乗りをあげている。その“あまりに個性的な選挙活動”に、ノンフィクションライターの柳川悠二氏が密着した。(文中敬称略) 令和2年の都知事選には、過去最多となる22人が立候補している。現職の小池に、野党3党の支援を受ける元日弁連会長・宇都宮健児(73)、れいわ新撰組代表の山本太郎(45)、元熊本県副知事の小野泰輔(46)に、ホリエモン新党公認でNHKから国民を守る党党首の立花孝志(52)を加えた5人が大手メディアが「主要候補」とする候補者だ。 候補者の中でも、とりわけシュールな選挙戦を展開するのが、自身が立ち上げた国民主権党党首にしてユーチューバーの平塚正幸(38)だ。 選挙戦最初の土曜日、人出が増えた新宿南口に平塚の選挙カーは現れた。事前に録音した「新型コロナウイルスはただの風邪です」という主張を、到着からおよそ1時間弱、延々と流し続けた。 平塚の陣営が誰もマスクをせず、「ただの風邪」と言い切っていることに、「そんなわけないだろう」と反発する聴衆もいた。そして、わざわざ車の前に来て両手を広げ、首を横に振る外国人の姿も。 カオスに陥った新宿駅南口を、当の本人は2階テラスから見下ろし、撮影した動画をさっそくツイッターにアップロードしていた。いつまで経っても演説が始まらないため、じれた私は車内に戻った平塚を直撃した。「(新型コロナは)季節性のインフルエンザと比べても感染者数は少ない。嘘を流すメディアこそ病原体です。新型コロナウイルスで死んだ人は知り合いにいないし、亡くなった方の平均は75歳ですよね。申し訳ないけど、もともと死に近かった人しか亡くなっていない」 平塚の最後の言葉に、背筋がゾッとした。「この様子をYouTubeで流していいですか?」と逆質問をしてきた。選挙活動につながるなら何でもありである。 4年前の都知事選で立花孝志を上回る11万票以上を獲得した日本第一党党首の桜井誠(48)だが、国政政党の推薦等はなく、“主要候補”とは扱われない。 コロナ問題で中国からの入国規制など水際対策の遅れの責任を巡って、「小池百合子はまず都民に謝罪すべき。安倍晋三にも同じことが言いたい」と主張する。「武漢肺炎対策」として街頭演説を一切中止。ウェブ上の演説で「公平に取り上げない既存メディアに期待はしない」などの主張を続ける。【都知事選の候補者一覧(届け出順。敬称、肩書き、所属政党は略)】山本太郎、小池百合子、七海ひろこ、宇都宮健児、桜井誠、込山洋、小野泰輔、竹本秀之、西本誠、関口安弘、押越清悦、服部修、立花孝志、斉藤健一郎、後藤輝樹、沢しおん、市川浩司、石井均、長澤育弘、牛尾和恵、平塚正幸、内藤久遠※週刊ポスト2020年7月10・17日号
2020.07.01 07:00
週刊ポスト

都知事選候補者 薬剤師・長澤氏と元朝日社員・竹本氏の主張
7月5日投開票の東京都知事選は、小池百合子氏の“圧勝再選ムード”でつまらない──そう決めつけていないだろうか。実は、新聞やテレビが「主要5候補」としか報じない裏では、史上最多となる22人が名乗りをあげている。その“あまりに個性的な選挙活動”に、ノンフィクションライターの柳川悠二氏が密着した。(文中敬称略)◆「伝えたいことは、えーっと…」 令和2年の都知事選には、過去最多となる22人が立候補している。現職の小池に、野党3党の支援を受ける元日弁連会長・宇都宮健児(73)、れいわ新撰組代表の山本太郎(45)、元熊本県副知事の小野泰輔(46)にこの立花を加えた5人が大手メディアが「主要候補」とする候補者だ。 立候補者の中には、街頭演説などの選挙活動をしない者もいる。 薬剤師の長澤育弘(34)は“へそくり”から供託金300万円(有効投票総数の10分の1を得られなければ没収)やポスター代を用立てた。「家族は呆れています。私は処方箋なしで薬を売る零売という業態が医療費の削減につながるということを政見放送でアピールしたかった。主要5候補の人たちに次ぐくらいの注目を集められれば、私の目的は達成だと思います」「1位じゃなければダメ」な選挙戦で、いわば“6位落選狙い”を公言するのである。 元朝日新聞社員で、山口県在住の竹本秀之(64)は、新宿のホテルに選挙事務所を構えていた。クリーニングが間に合っていないのか、ヨレヨレのワイシャツを着て、ズボンのチャックも半開き。「僕が訴えたいのは言論の自由。自分の言いたいことを選挙で言う。それが目的です」 ならば主張をぜひ聞いてみたい。「うーん……。過去10年、サイバー攻撃を受け続けながら、なんとか生きているってことかなあ」【都知事選の候補者一覧(届け出順。敬称、肩書き、所属政党は略)】山本太郎、小池百合子、七海ひろこ、宇都宮健児、桜井誠、込山洋、小野泰輔、竹本秀之、西本誠、関口安弘、押越清悦、服部修、立花孝志、斉藤健一郎、後藤輝樹、沢しおん、市川浩司、石井均、長澤育弘、牛尾和恵、平塚正幸、内藤久遠※週刊ポスト2020年7月10・17日号
2020.06.30 16:00
週刊ポスト

「小池百合子」とは日本の女たちの「復讐」のアイコンか
再選を目指す都知事選(7月5日投開票)に向けて余裕綽々の小池百合子氏(67)。男性からは「気に食わない」、女性からも「いけ好かない」という声が上がりはするが、なぜか支持率は高いまま。長く女性リーダーが生まれなかったこの国で、なぜ彼女は“女帝”として君臨できるのか。新刊『女と男 なぜわかりあえないのか』(文春新書)を上梓した作家の橘玲氏が、性差論から読み解く。(文中敬称略) * * * 小池百合子という政治家を、ここでは「女と男」の生得的なちがいから読み解いてみたい。このように書くと、すぐに「そんなちがいなどない。性差別だ」と怒られそうだが、視点を変えることで新たに見えてくるものもあるだろう。 安倍政権が「女性が輝く社会」を掲げてずいぶんたつが、その間、日本の男女の社会的性差の指標であるジェンダーギャップ指数はどんどん下がりつづけ、2020年にはとうとう153か国中121位と世界最底辺になってしまった。なぜこんな無惨なことになるかというと、「経済(115位)」と「政治(144位)」の順位がおそろしく低いからだ。 ところが(男の)政治家や企業経営者は、「女性差別」との批判に色をなして反論する。自分たちは平等に扱っているが、選挙に立候補したり、管理職や役員になろうとする女性の人材がいないのだという。 仮にこの主張が正しいとすると、世界で活躍する女性たちに比べて、「日本の女は能力もやる気もない」ということになる(差別がないとすればほかに説明のしようがない)。これは新たな「自虐史観」であり性差別そのものだ このことを強調したうえで議論を先に進めるならば、男女平等が当たり前の欧米でも、「男と女では競争に対する生得的なちがいがあるのではないか」との議論が起きている。 子育て経験者なら誰もが同意するだろうが、男の子は集団で戦争ごっこを好み、女の子はペアで人形遊びを好む。なぜ子どもの頃からこうした性差が生じるのか。「そんなのはすべて男性中心主義の洗脳だ」という話を脇に置いておけば、もっとも説得力があるのは、「進化の過程でリスクへの異なる適応が発達した」との説だ。 子どもを産み育てるには両親が揃っていたほうが有利だろうが、どちらか一方の選択なら母親になる。妊娠中は流産のおそれがあるし、乳児は母乳を与えられなければ生き延びられない。それを考えれば、女性がリスクを避けるように進化したと考えるのは筋が通っている。 一方、男はどうかというと、人間社会はゴリラのようなかんぜんな一夫多妻ではないものの、ハーレムや大奥を持ち出すまでもなく、社会的な地位が高ければより多くの若くて魅力的な女を獲得できることは間違いない。だとしたら男は、リスクを負って“天下取り”を狙うよう進化したはずだ。 獰猛な権力者に挑めば殺されるかもしれないが、だからといって、生涯「非モテ」のまま安全に暮らしていたのでは子孫を残すことができない。私たちはみな、過酷な競争に勝ち残った男たちの末裔なのだ。 この理屈が正しいとすると、競争社会では必然的に、リスクを好む男が有利になり、リスクを避ける女は不利になる。政治家や官僚、企業のトップなど、社会を動かす「重要人物」の大半が男なのは進化論的に正当な理由があるのだ──。◆だが勝てそうなら冒険する こうした主張に反発するひとは多いだろうが、これには生化学的な傍証もある。性ホルモンのテストステロンは競争に関係し、アルファオス(ボスザル)はテストステロンの濃度が高く、トップの座から追い落とされるとテストステロン値が下がる。研究者が人為的にサルの地位を上げると、それだけでテストステロンが増えたとの報告もある。 テストステロンは睾丸や副腎から産生され、女性は生理周期によって分泌量が変わるものの、成人男性のテストステロン濃度は女性の数十倍から100倍にも達する。高テストステロンの男は、集団同士では徒党を組んで戦い、集団内では地位をめぐって競争するように(進化の過程で)「設計」されているのだ。「ガラスの天井」への反論として、欧米でもこうした主張は保守派に強く支持され、大きな声ではいわないものの、科学者のなかにも同調者は多い。「男は野心に駆り立てられ、女は競争を嫌う」というのは、どこまで正しいのだろうか。アメリカの地方議員への大規模な意識調査でそれを調べた興味深い研究がある。 それによると、男の候補者の特徴は、誰が考えても当選できそうもない(本人もそう思っている)ときでもチャレンジすることだ。このハイリスク志向が日本でも当てはまることは、今回の都知事選の泡沫候補(失礼)が男ばかりなのをみてもわかるだろう。 意外だったのは女の候補者の野心で、最初はきわめて低いものの、主観的な当選可能性が高くなるにつれて急速に大きくなっていく。データでは、主観的な当選確率が20%を超えると女の野心は男を上回るのだ。 ここからわかるのは、女は競争に消極的なのではなく、「勝率を冷静に計算している」らしいことだ。競争には負けるリスクがあり、多くの時間、金、感情を投資するほど失うものも多くなる。このリスクを女の方が正確に判断できるから、「損することがわかっている」勝負を嫌い、成功の見込みが高いときに冒険的になるのではないか。◆だから小池は賭けに出る 小池都知事の政治遍歴を見ると、細川護煕氏に誘われて日本新党から参議院選に立候補(1992年)した際、比例区2位の当選圏内に自分の名前を記載させている。その後、新進党、自由党、保守党を経て自民党に入党、小泉内閣で環境大臣として初入閣すると、2005年の郵政選挙(衆院選)では、自ら望んで「刺客」として東京10区に国替えし、自民党の有力議員を落選させた。2016年の東京都知事選立候補を含め、いずれも政治家として大きな賭けだが、勝率はつねに20%以上あったのではないだろうか。──希望の党では失速したが、失敗しても都知事の地位は傷つかないようにしていた。 日本はいまだ「前近代的」な男社会だが、そんななかで強烈なリーダーシップを発揮する小池都知事はどのように見られているのだろうか。 ここで参考になるのは、日本よりはるかに男尊女卑なインドの西ベンガル州で行なわれたクオータ制(議席割り当て)の社会実験だ。ランダムに選んだ村に「議会の3分の1は女性でなければならない」「議長は女性でなければならない」というルールを課し、これまでと変わらない男性議員ばかりの村と比較した。 その結果はというと、残念なことに、女性が社会進出しても男性の偏見はまったく変化しなかった。しかし同時に、女性の議長を体験した村では、ひとびとは女が指導者として無能だとは思わなくなった。男性有権者は女性の演説をあいかわらず低く評価したが、以前よりもずっと女性候補に投票するようになったのだ。 ここからわかるのは、男が気にするのは家庭や職場での自分の地位・既得権を守ることで、実害がないのなら、無能な男より有能な女のリーダーを好む(性別より能力を優先する)ということだ。「あんな女が上司だったら最悪だな」といいながら、「都知事ならべつにいいか。自分には関係ないし」というのが世のサラリーマンの本音ではないだろうか。──小池都知事もこのことに気づいていて、だからこそ「保守」の看板を掲げ、男社会の既得権を侵すつもりがないというメッセージを送っているのだろう。 女性有権者も同じで、「女を武器に男をたらしこんで権力をつかんだ」と批判されても、「ああいうタイプが友だちだったらイヤよね」といいながら、「日本の男社会でのし上がるには『女帝』になるくらいじゃなきゃ」と逆に人気が上がるのではないだろうか。 日本の女たちは、これまで旧態依然の組織でセクハラやパワハラの理不尽な扱いに耐えてきた。そんな体験をしてきた身からすれば、小池都知事が都庁幹部の男たちにかしずかれ、男社会の権化である自民党の有力者や都議会の「おっさん」たちと互角に渡り合うのを見るのは痛快だろう。 そのように考えれば、「小池百合子」とは、日本の女たちの「復讐」のアイコンなのかもしれない。【プロフィール】たちばな・あきら/1959年生まれ。作家。『言ってはいけない 残酷すぎる真実』『上級国民/下級国民』などベストセラー多数。最新作は『女と男 なぜわかりあえないのか』。※週刊ポスト2020年7月10・17日号
2020.06.30 11:00
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都知事選候補 立花氏は「私の当選ない」、込山氏は元妻に借金
7月5日投開票の東京都知事選は、小池百合子氏の“圧勝再選ムード”でつまらない──そう決めつけていないだろうか。実は、新聞やテレビが「主要5候補」としか報じない裏では、史上最多となる22人が名乗りをあげている。その“あまりに個性的な選挙活動”に、ノンフィクションライターの柳川悠二氏が密着した。(文中敬称略)◆「私の当選はない」 ムンムンとする梅雨空の下、スーツにネクタイ姿で、なんとも暑苦しい東京都知事選を展開する候補者がいた。ホリエモン新党公認の立花孝志(52、NHKから国民を守る党党首)だ。池袋駅の東口に巨大選挙カーを横付けし、声を張り上げ続けた。「(環境大臣時代の2005年に)クールビズを提唱した小池(百合子)さんに対抗するために、私はスーツにネクタイで戦います! 『ウィズコロナ』も私は(小池より早い)4月の段階から提唱していた。小池さんはもう67歳。コロナとウィズしたら重症化してしまいます。引退してもらうしかない」 令和2年の都知事選には、過去最多となる22人が立候補している。現職の小池に、野党3党の支援を受ける元日弁連会長・宇都宮健児(73)、れいわ新撰組代表の山本太郎(45)、元熊本県副知事の小野泰輔(46)にこの立花を加えた5人が大手メディアが「主要候補」とする候補者だ。 立花は「(自身の)当選はない」と断言した。「今回はホリエモン新党の認知度を高めコアな支持者を作るのが目的です」 国政選挙や大都市の首長選挙の無名候補者は大手メディアから「泡沫候補」と扱われ、活動が紹介されることは限定的だ。立花は「N国」を立ち上げ、昨年の参院選(比例区)で当選した。わずか3か月で辞職したが、扱いは“主要候補”に格上げとなった。 泡沫候補といえば、コスプレでスマイルダンスを踊る選挙活動のマック赤坂が代表格だ。都知事選に出馬すること、実に4回。だが、マックは2019年に港区議選に当選したため都知事選は“2007年以来の不出馬”となった。 その後継者として今回の選挙に出馬したのが込山洋(46)だ。師匠と違い、いたって“正統派”の選挙戦を展開、3日目には早くも声が枯れていた。「世の中を変えるきっかけを作りたいんです。すべての都民を平等に愛することができる人間がトップに立つ器だと思う」 都知事選の供託金は300万円(有効投票総数の10分の1を得られなければ没収)。それを用意するのが出馬への第一歩だ。 込山はもともと九州で探偵や飲食店コンサルティングをしていたが、事業が傾き一家離散。妻とは離婚し、単身で上京して渋谷・ハチ公前の喫煙所の掃除をしていたところ、マックから運転手にスカウトされた。マックを「命の恩人」という。「今回の出馬にあたってマックさんからは『金は出さない。自分でやれ』と言われています。だからスマイル党公認ではなく、推薦に……。供託金は、元妻に150万円を借りて準備しました。『これ以上、巻き込まないで』と言われています」【都知事選の候補者一覧(届け出順。敬称、肩書き、所属政党は略)】山本太郎、小池百合子、七海ひろこ、宇都宮健児、桜井誠、込山洋、小野泰輔、竹本秀之、西本誠、関口安弘、押越清悦、服部修、立花孝志、斉藤健一郎、後藤輝樹、沢しおん、市川浩司、石井均、長澤育弘、牛尾和恵、平塚正幸、内藤久遠※週刊ポスト2020年7月10・17日号
2020.06.30 07:00
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週刊ポスト 2020年7月10・17日号目次
週刊ポスト 2020年7月10・17日号目次コロナに紛れて日本上陸「危ない中国食品」リスト 特集◆小池百合子はなぜ男からも女からも嫌われるのに“女帝”なのか?◆女たちが抱く女帝ユリコの「ざんねんな感じ」 下重暁子・荻原博子・倉田真由美・三浦瑠麗◆石原さとみの唇が!?「ドラマ撮影再開」の大混乱◆口コミサイトで“最低評価”の店&宿に行ってみた ネットの書き込みはどこまでアテになるのか──実際に食べて、泊まって確かめた!◆“毒舌女王”金与正「北朝鮮の西太后」秘・履歴書 夫はいるのか? 何をしてきたのか? 正恩の後継者なのか?◆都知事選“泡沫候補”に密着「俺たちが“6位落選”を狙うわけ」◆プロ野球2020「6つの大異変」をとことん楽しむ!◆新型コロナ支援で全世帯に3万円!「日本一の富豪村」の謎◆大反響第7弾╱医療費のカラクリ 在宅医療のお金『安くなる手続き』を知っておく◆テレワークで給料&ボーナスが下がった会社&上がった会社 ◆「創価学会の離反」に「神社本庁の分裂」ほか 宗教団体の「さよなら安倍」◆新聞&テレビの「世論調査」を調査する 政権批判の毎日は支持率27%、総理が“推奨”の読売は42%…ワイド◆株主総会「緊急事態!」を誌上中継◆清原和博 桑田真澄との因縁◆渋野日向子 原英莉花はいいけれど… ◆手越祐也 昭恵夫人と「弁当宅配」◆ボルトン暴露本グラビア◆いま買うべき最強の家電45◆日本テレビ「グループアイドル」戦略の呪縛◆川島なお美 55万人が買った写真◆90年代が生んだナイスバディ四天王◆3万円で行く「私の夏旅」最高プラン◆知っていれば自慢できる N700Sここが変わった!◆川口春奈 国民的女優の白肌◆なをん。しゅはまはるみ カメラを止めないで!◆古河由衣 あなたの愛人になりたい◆染谷有香 Honey Trap連載・コラム◆中川淳一郎「ネットのバカ 現実のバカ」【小説】◆平岡陽明「道をたずねる」【コラム】◆須藤靖貴「万事塞翁が競馬」 ◆広瀬和生「落語の目利き」◆堀井六郎「昭和歌謡といつまでも」◆秋本鉄次「パツキン命」◆戌井昭人「なにか落ちてる」◆春日太一「役者は言葉でできている」◆大竹聡「酒でも呑むか」◆鎌田實「ジタバタしない」◆綾小路きみまろ「夫婦のゲキジョー」◆大前研一「『ビジネス新大陸』の歩き方」◆高田文夫「笑刊ポスト」【ノンフィクション】◆井沢元彦「逆説の日本史」◆河崎秋子「羊飼い終了記念日」最終回【コミック】◆やく・みつる「マナ板紳士録」◆とみさわ千夏「ラッキーな瞬間」【情報・娯楽】◆恋愛カウンセラー・マキの貞操ファイル◆ポスト・ブック・レビュー◆医心伝身◆ポストパズル◆プレゼント◆法律相談◆椎名誠とわしらは怪しい雑魚釣り隊◆ビートたけし「21世紀毒談」新連載 山下裕二×壇蜜 美術館へ行こう!
2020.06.30 07:00
週刊ポスト

コロナに丸腰で感染者続出のブラック企業 現役社員がSOS
法の網や不備を悪用して長時間労働やサービス残業などを強制する企業を「ブラック企業」と呼ぶが、これからは、新型コロナウイルス対策をまったくしないことも要素として加わることになりそうだ。ライターの宮添優氏が、感染対策をまったくしないまま、コロナ禍で下がった営業成績を上げるよう、ピンチはチャンスとばかりに積極的に業務を継続する企業が、新たなクラスターとなる恐れについてレポートする。 * * * 6月24日、およそ1ヶ月半ぶりに「55人」という高水準の新型コロナウイルス新規感染者を出した東京都。25日は48人、26日も54人を超え、会見で小池百合子都知事は「第2波ではない」と明言したが、巷では警戒する声も上がっている。緊急事態宣言解除から1ヶ月が経過したところで、以前より指摘されていた「夜の街」関連の感染の他に、新たに「企業クラスター」ともいわれる企業内感染も発覚した。民放キー局の東京都庁担当記者がいう。「緊急事態宣言、東京都独自の東京アラートも解除され、街にはサラリーマンが戻りつつある。そんな状況の中で、企業クラスターが発生し多くの患者が出た、ということに当局は危機感を持っています」(民放キー局記者) どんなに万全と思われる予防策をとっていても、感染するときには感染してしまう。ある程度の諦観の上に見守るしかない……そう思っていた筆者のところに、驚くべき情報が寄せられた。「コロナが出て、みんなやっぱりって思っています。何の対策もなかったし、会社も通常以上に密状態。ホストクラブが槍玉に上がっていますが、ブラック企業はもっとひどい。今後感染者が何人出るか、社員は本当に生きた心地がしていません」 絶対匿名を条件に話をしてくれたのは、24日に従業員9人の感染が判明した、新宿区内に本社を置く人材派遣会社・X社の現役社員、持田優希さん(仮名・20代)。X社ではこれまでに7人の感染者が確認されており、合わせて16人が感染したことになる。「緊急事態宣言中、コロナが心配だから在宅勤務にしてほしいと、従業員は何度も上司にお願いをしました。でも上からの指示は真逆で、売り上げが落ちているからどんどん営業しろ、というものでした。発破をかけるためか、支社員は最寄りの営業拠点か、新宿の本店に集められ、ものすごい密な空間の中で仕事をさせられました。夜は飲み会も普通にあった。会社のコロナ対策? 消毒液すらありませんでした。とにかく売り上げを落とすな、それだけです」(X社の現役社員) 最近はどの事業所も、消毒液を常備して出入りの際には使用を促し、机と机の間にパーテーションをつくるか、席を離すなどするのが普通だろう。ところが、X社は消毒液などどこにもなく、オフィスはついたても無く座席が密集したまま。もちろん、リモートワークのための環境整備をしようともしない。それどころか、今年はどこも見送った歓送迎会や親睦のための飲み会も通常どおり行っていたというのだ。 実はこう話す本人も、保健所から「濃厚接触者」と見なされ、現在は自宅で待機している。ならば会社はある程度の対策を取り始めたのかというとそうではなく、そもそも保健所への報告にも虚偽がある可能性があり、濃厚接触者が今でも営業に出ているという。「社員間で、どの人が(新型コロナ)陽性だったという情報が共有されているのですが、陽性だった人と先週一緒に飲んでいた人が今日も働いているんです。医療機関に営業に回ることもある会社なので、そういった場所でウイルスをばらまくようなことになっていないか、不安で仕方がない」(X社の現役社員) 過去の感染者の行動履歴などから、もっとも感染しやすい環境のひとつに、酒が入った食事の席があることは、注意喚起や報道が繰り返された今なら多くの人が知るところだろう。ウイルスの前に特別は存在しない。すべての人が等しく危険にさらされ、自分が危険をばらまく可能性もある。だが、感染対策を訴えると、空気を読めないと上司も経営陣も黙殺するらしい。 さらに社内には、保健所が「検査を要する」とする濃厚接触者以外にも、感染している可能性がある人物がいる。そう説明する現役社員は、自身が「陽性」である可能性も踏まえた上で、次のように断言する、「新しい生活様式が求められる中、X社は対策を取るどころか、利益至上で社員だけでなくお客さんをも危険な目に合わせています。本当ならもっと早く声をあげるべきでしたし、私たちにも責任があります。ただ、もう我慢ができないということで、社内の有志がメディアに情報を提供し始めている。こういう会社があることを皆さんに知ってほしい、他にも同じような会社があるのなら、今すぐ改めてほしい、そんな思いです」(X社の現役社員) 筆者はこのX社に取材すべく電話したが「担当者は不在」の一点張り。ただし、筆者の元には前出の現役社員の他にも、複数の関係者の証言が寄せられている。全ての証言が本当だとしたら、我が国が腐心の末にやり遂げてきた「クラスター潰し」は全く意味を持たなくなる。そして、このようにコロナ対策をまったくせずクラスター化する職場が続発したら、どうなるのか。経営陣が私利私欲に走るだけの企業が他にもあるならば、第1波より凄まじい勢いの第2波が、あっという間に我が国を襲うことになるだろう。
2020.06.29 16:00
NEWSポストセブン

農業高校卒ライター「早大卒」と詐称した後の針のむしろ人生
体験取材を得意とする『女性セブン』の“オバ記者”ことライター・野原広子(63才)が、話題のトピックについて、自由な意見を綴る。今回のテーマは「わが学歴詐称の記」だ。最近は小池百合子東京都知事の「学歴詐称疑惑」が何度も取沙汰された。 * * * ここ1か月でいえば、いちばん人の口にのぼった四字熟語は、間違いなく「学歴詐称」。連日その名を聞かない日はない、あの女性を引き合いに出すつもりはないけれど、実は私、2年間だけ、わけあって学歴を詐称していた過去があるの。それも、言いも言ったり、「早稲田大学卒」。 ありえません。 私の卒業した茨城県の農業高校は、ペンを持つより草刈り鎌を持つ時間の方が長いところ。上京して住み込みの店員になった18才の私にとって「大学生」は、学校や誰彼に関係なく、全員憧れだったもの。 それが、ひょんなことからライターを志し、いくつかのラッキーをつなぎ合わせ、どうにかカッコウがついたのは30才前後。で、調子に乗って編集プロダクションを立ち上げたはいいけれど、もともとお金の計算は大の苦手。 どんぶり勘定のどんぶりは小さくなる一方でね。もうダメ、今月こそアウト、と40才を目前にしてどうにもならなくなったとき知り合ったのが、2才年上のブティック経営者・S子さんだったの。「家賃がきつい。事務所を解散したい」 ある日、彼女の店で弱音を吐くと、「じゃ、全部畳んでうちにおいでよ」と言う。彼女は東京の一等地、渋谷区にマンションを一棟持っていて、そこに格安の家賃でいいから引っ越してこないかと、夢のような提案よ。 S子さんの“好物”は学歴。誰かを紹介してくれるたびに、「彼女、ポン女卒。優秀よ~。お姉さんはお茶大だって。高学歴姉妹よね」などと、歌うように言うの。 その後で必ず私の最終学歴も聞いてくるのが困りもので、「農業高校卒」と本当のことを言うこともないか…そう思って、黙ったり、話を変えたりしていたわけ。 そんなこんなで2か月ほどたって、引っ越したその日のこと。私の大家さんになったS子さんは、積み上げた荷物を横目に見て、「引っ越し祝いをしてあげる」と食事をおごってくれた。その帰り道で、「ヒロコちゃん(オバ記者)、早稲田だよね?」とマジメな声で聞くんだわ。 思えば、「ライターって早稲田が多いんでしょ?」「いろいろだよ」「でも、ヒロコちゃんは早稲田って感じ」「まさか」──と、S子さんの口からそれまで何度も早稲田という大学名は出ていたのよね。 で、はぐらかし続けてきたものの、これから一つ屋根の下で暮らすんだし、私も覚悟を決めた。「私、早稲田、出てないよ」とキッパリと言ったわよ。 そしたらS子さん、何て言ったと思う?「あそこは中退の方がカッコいいもんねぇ。タモリも五木寛之もそう。さすがだわ~」 ここまで言われて、それでも「私は農業高校卒」と言えたら…。いや、3回生まれ変わっても、ムリだ。 結局、「あははは」と力なく笑って、私の学歴詐称続行が決定。 おかげで翌日からは、針のむしろ、なんてもんじゃないわよ。私の“早稲田中退”にすっかり気をよくした大家のS子さんは、なんだかんだと言っては早稲田関連の人を連れてくるの。「この人、昭和50年卒だって。2年先輩じゃない?」とか、「文学部だっけ。なら、この人、一緒よ」とか言って。 そのうち面倒になって、「私は中退だし、ほとんど学校には行っていないし、学生多いしね~」と、積極的に口から出まかせよ。そうしたらS子さん、今度は私の友人が遊びにきたときも顔を出して、「あら、早稲田の友達?」。 もう、勘弁してよと叫びたいような気持ちは、あれから20年以上たっても忘れられるものじゃない。 ひとたびウソをつくと、ウソがウソを生むしかなくなる苦しみ。どこから“早稲田”が飛んでくるかと思うと、気が気じゃない。いつもどこか緊張して暮らしている。 私はS子さんを避けるようになっていった。そして2年目に引っ越して、S子さんと離れた。だから想像しちゃうのよね。 もし、“詐称”が多くの人の周知の事実になって、長く続いたら…と。鉄仮面を貫くことを決めていても、硬い鎧を脱ぎ捨てたくなる夜もあるんじゃないか。 それより何より、“学歴詐称”をすると、青春を共にした人も、思い出も、みんなドブに捨てることになる。それをもったいないと思わないか。そこまでして得るものって何? アンデルセン童話の『赤い靴』は、赤い靴をはいた少女が呪いをかけられて死ぬまで踊り続けるお話だけど、どこか、うまくいきすぎた学歴詐称に似ているような気がするんだわ。『赤い靴』は、両足首を切断してもなお踊るというホラーのような最後を迎えるけど、学歴詐称の結末やいかに。 テレビを見ながら、連日、そんなことを思っている。※女性セブン2020年7月9日号
2020.06.25 16:00
女性セブン

小池百合子、吉村洋文知事 2人の首長に総理の資質はあるか
「一強総理」の重石が取れると、自民党では安倍首相のイエスマン、面従腹背でチャンスを狙っていた者、何度挑んでも勝てなかった政治家たちが“待ってました”と次の首相レースに名乗りを上げ始めた。そこには石破茂氏、岸田文雄氏、河野太郎氏らの名前が挙がる。 だが、果たして彼らはポストコロナの時代に必要なリーダーの資質を備えているのか。政治の裏表を知り尽くしたOB議員、政治学者、ベテラン記者が実名で「この政治家だけは次の総理にしてはいけない」と突きつける。 コロナ対策で「評価するリーダー」として首相や閣僚を上回る評価を集めている2人の知事の評価はどうか。◆“すべてが小知恵”小池百合子・東京都知事「都知事くらいが限界だ。環境大臣のときのクールビズとか着想は面白いんだけど全部小知恵なんだよ。水俣病問題解決のために私も特命で呼ばれていい案をまとめたが、実行できなかった。今回のコロナ対策も都知事としての立ち回りはそこそこできたが、小股すくいくらいなもの。総理としての四つ相撲ができる器ではない」(評論家・屋山太郎氏) 真の“女帝”への道は険しいか。◆“すぐにキレて攻撃的”吉村洋文・大阪府知事「今のような不安な時代には発信力のあるリーダーは受ける。しかし、それだけで総理としての力量、能力を測るべきではない。吉村氏に指摘すべきは“発火点”が低すぎること。すぐにキレ、相手を強く攻撃する。この手法が成り立つのは知事が大統領的な権限を持つからです。 議院内閣制の総理大臣はそうはいかない。チーム全体で政治を行ない、反対意見の相手にも攻撃ではなく話し合いで合意を図らなくてはならない。かつての小泉純一郎首相は発信力があったが、議院内閣制を十分理解して政治運営をしていた。そうした手法が吉村氏にはないため総理を任せたくないと考えます」(政治学者の岩井奉信・日本大学法学部教授)※週刊ポスト2020年7月3日号
2020.06.24 16:00
週刊ポスト

コミットメント、インバウンド…怪しいカタカナ語を言い換え
新型コロナの感染拡大や東京オリンピック・パラリンピックの延期により、首相や知事の会見を目にする機会が増えた。そこで感じるのが政治家の発言のわかりづらさ、伝わりづらさだ。特に、小池百合子東京都知事などは積極的に“カタカナ語”を使っているように見える。 しかし、カタカナ語も言い換えてみれば、案外たいしたことを言っていない、ということも多い。ここでは、その実例を挙げてみよう。(文面は昨今の政治家の発言をもとに作成) *レジュメにありますように、現在、アラート発動中につき、セーフティーネットの構築やドラスティックな改革を、プライオリティーを重視しながら行っていきたいと考えています。↓要約資料にあるように、現在、警報発動中のため、救済策の構築や思いきった改革を、優先順位を重視しながら行いたいと考えてます。 *新型コロナウイルスの収束後はインバウンドに依存しない施策を講じ、パブリックコメントを実施したりワークショップを随時開催します。↓新型コロナウイルスの収束後は訪日外国人観光客に依存しない政策を行い、みなさんの意見を募ったり研究集会を随時開催します。 *今後はダイバーシティーを推進するためのガイドラインを制定いたします。この議案は議会のコンセンサスを得られたため可決されました。↓今後は多様な働き方を推進するための指針を制定します。この議案は議会の合意を得られたため可決されました。 *コミットメントを確実に果たし、さまざまな課題の解決に向けてイニシアチブを発揮していきます。これによりウィンウィンの結果を得られると考えています。↓公約を確実に果たし、さまざまな課題の解決に向けて、主導権を発揮していきます。これにより双方の利益になると考えています。 *これからはコミュニティーのニーズを把握し、ビジョンを描く体制にシフトしていきます。また、ポテンシャルやモチベーションの高い職員を積極的に登用します。↓これからは地域社会の需要を把握し、展望を描く体制に切り替えていきます。また、潜在能力ややる気のある職員を積極的に登用します。※女性セブン2020年7月2日号
2020.06.20 07:00
女性セブン

『女帝 小池百合子』読み解く、彼女は本能的コミュ力高い?
空中ブランコや富士登山など、体験取材を得意とする『女性セブン』の“オバ記者”こと、ライターの野原広子(63才)が、話題のニュースを自由に語る。今回のテーマは「『女帝 小池百合子』を読んで、思ったこと」だ。 * * * 5月末に発売された『女帝 小池百合子』(石井妙子著、文藝春秋刊)の評判を聞いて、遅ればせながら読了した。 何せ、小池百合子氏の半生を、「百人を超える関係者の証言と3年半にわたる綿密な取材のもと描き切った」ノンフィクションで、衆議院議員に立候補したこともある貿易商の父のことや、子供時代の小池氏のことなど、私たちが知らないことがふんだんに書かれているのだ。 多くの著書があり、マスコミに頻出する彼女のことは“旧知のお姉さん”のような気になっていたのだけど、いくつかスッキリしない疑問もある。結婚歴があるというけど、どんな人と? エジプト・カイロ大学時代はどんな暮らし? 20代初めの小池氏と、カイロで約2年間、同居した女性(早川玲子さん・仮名)の出現が本書の目玉になっている。 10才ほど年下の小池氏と同居してすぐのことだ。《次々と訪問客がやってくる。皆、男性だった。小池はコケティッシュな振る舞いで彼らを翻弄し、魅了していた。大きな眼で上目遣いに見つめる。小首をかしげて、目をクルクルと動かす。独特の身体のしな。ダジャレの切り返し。 小池はカイロにいる日本人女性の中で、とびぬけて若かった》(《》内は『女帝 小池百合子』より) 私の友人に「人は20代をどう生きたかで、一生が決まる」と断言する女がいる。その人間の“性分”が表に出る20代から逃れられないと言うのだ。 たしかに、60才を過ぎたいまの自分を思うと、“20代の延長を生きている”と言っていいかもしれない。異国に駐在している日本人のアイドルだった小池氏は、一対一の関係より、大勢の中にいた方が居心地がよかったのかもしれないと思う。 カイロ大学に入る前に1年間通ったとされるカイロ・アメリカン大学についてはこんな記述がある。《そんなある日、帰宅すると小池の姿がなく、ダイニングテーブルの上に、めずらしくノートが広げてあった。早川さんは何気なく覗き込み、その、あまりにも拙いアラビア語を見て驚く。(中略)英語でいえば、「This is a pen.」にあたる文章が、ぎこちなく上下していた》 小池氏がカイロに渡った1971年頃、留学はまだ“選ばれた人”のものだったけど、その後1980年代になると、猫も杓子も留学。語学の勉強をするというのが、ちょっとしたトレンドになったのよね。 なんと、この私も20代のとき、イタリア語教室に半年通ったのだから笑っちゃう。で、わかったのは、私は語学に向かないということ。 1つの言語を自分のものにするのに近道はない。ひたすら膨大な数の単語を覚え、机にへばりついて文法の学習を続けるしかない。それはものすごく孤独な勉強よ。ポルトガル語の古文書を読める私の知人は、「留学先で大学の卒論を書けるレベルまでになったら、心か体か、どっちか壊す」と言うけど、その通りだと思う。生半可な気持ちで留学したところで、かなり早い段階でイヤになっちゃうのがオチ。 でも、身振り手振りで表現できて、人の顔色が読めるような人は本能的なコミュニケーション能力が高いから、ひたすら単語や文法を覚え込む前に、その場をなんとか乗り切れたりする。 私がそうだったけど、小池氏もそのタイプだったんじゃないかしら。論理・理論に欠けていても、相手とのやり取りや駆け引きでその場を乗り切る――小池氏はカイロ留学でその術を身につけ、今日に至っているように思う。 帰国した小池氏は1982年に初めての著書『振り袖、ピラミッドを登る』(講談社刊)を出版する。カイロから帰国して7年目。テレビに出るようになって4年目の出版だ。その本を手にした早川さんの言葉が印象的だ。《小池の言葉が急に思い出された。「私、日本に帰ったら本を書くつもり。でも、そこに早川さんのことは書かない。ごめんね。だって、バレちゃうからね」》 何がバレちゃうのかは同書に預けるが、その言葉通り、海外で多くの時間を過ごした早川さんの名前が小池氏から出たことは一度もない。私たちが知らない“小池劇場”の、未完の脚本ともいえる一冊でもある。※女性セブン2020年7月2日号
2020.06.20 07:00
女性セブン
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