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【韓国】に関するニュースを集めたページです。

浅田真央の「最大のライバル」として注目されたキム・ヨナ(Getty Images)
“浅田真央のライバル”キム・ヨナ 現在は韓国財界注目の「女性経営者」に
 浅田真央の「最大のライバル」として日本でも注目された元女子フィギュアスケート選手のキム・ヨナ(31)。母国・韓国では“国民の妹”と呼ばれ、空前のフィギュアスケートブームをもたらした。だが、現役時代は浅田とのライバル関係がメディアを賑わし、引退後はソチ五輪の順位が不服だとして韓国スケート連盟が国際スケート連盟を提訴するなど(後に棄却)、国を巻き込む騒動の“渦中の人物”となってきた。 そんな彼女は今、経営者としての道を歩み始めているという。韓国スポーツ団体関係者はこう語る。「ヨナはプロスケーターとしてアイスショーなどに出演するかたわら、母親が運営するマネージメント会社の理事に名を連ねています。将来的にはヨナがこのビジネスを引き継ぐとされています。 今はスポーツブランドのイメージモデルを務めたりCMに出演しているヨナの知名度を活かして、スポーツ選手とマネージメント契約を結んでいるといい、2021年の東京五輪にも出場した韓国水泳界のホープであるファン・ソンウ選手(18)のマネージメントもしている。ヨナも会社の評判をさらに上げるためにボランティア活動などに積極的に参加しています。 すでに韓国財界からも一目置かれているといい、ヨナの会社と組みたいと言っているスポーツ団体も多い。今、ヨナは母親の隣で経営を学んでいるところだそうです」「国民の妹」から「国民の女社長」へ。※週刊ポスト2022年1月14・21日号
2022.01.11 07:00
週刊ポスト
脱北を企てる人々が多くなっていることが金政権の頭痛の種に
金与正氏が軍後方支援総司令官に任命 正恩氏後継者の地位固める
 北朝鮮の金正恩朝鮮労働党総書記の妹である金与正党副部長が、朝鮮人民軍の兵站などの総後勤部門を総括する人民軍最高司令部後方支援総司令官に任命されていたことが明らかになった。すでに、与正氏は朝鮮半島の南北問題と外交問題全般の責任者に就いているのに加え、近く開催の党中央委員会で党内序列が上がり、党中枢の党政治局員に昇進する可能性が強まっている。 今後は党と軍、外交という極めて重要な部門を任されることで、実質的な金正恩氏の後継者としての地位に就くとの観測も出ている。米政府系報道機関「ラヂオ・フリー・アジア(RFA)」が報じた。 北朝鮮国営の朝鮮中央通信は20121年12月18日、金正恩・与正きょうだいの父、金正日総書記の死去から10年となったことを受け、前日の17日に開かれた中央追悼大会出席の幹部として8人の党政治局委員に続いて与正氏の名前を挙げた。 与正氏が政治局候補委員よりも先に紹介されたため、政治局の委員または候補委員に選出されたとの見方が強まっている。 与正氏は昨年まで組織指導部第1副部長兼政治局候補委員だったが、2021年1月の党大会で宣伝扇動部副部長、中央委員会委員に降格。しかし、最高指導者の妹として対韓・対米などの外交業務全般を取りまとめながら対外メッセージを発信し、影響力を誇示してきた。 これを裏付けるように、与正氏は今年9月の最高人民会議(国会に相当)で8人の国務委員の1人に選出されている。 韓国の情報機関、国家情報院は、与正氏の2021年の公開活動の回数が34回と2020年の17回に比べ急増し、外交業務を担当しながら非公開で地方を訪れ、住民生活の動向を把握し、正恩氏に報告していることを明らかにした。 このようななか、RFAはこのほど、金正恩総書記が2021年10月中旬、与正氏を人民軍最高司令部後方支援総司令官に任命していたと報じた。 金総書記は軍最高幹部と懇談した際、一部の部隊幹部が食糧などの兵站物資を横領しており、地方部隊を中心に物資が不足し、栄養障害で戦闘などに参加できない兵士が多いと軍の実情を訴えられた。金総書記は「不正を糺すために、信頼すべき人物が必要だ。これまで軍とは関係が薄かった与正に後方支援総司令官を任せて、問題を解決してもらおう」と述べて、与正氏の軍幹部登用を命令したという。 韓国の国会情報委員会は、与正氏が国務委員会委員などに任命されたことについて、与正氏に金総書記の妹という地位にふさわしい公式の肩書が与えられたとしたうえで、軍を含む外交・安全保障を統括していると説明している。
2021.12.31 07:00
NEWSポストセブン
宮城大弥は奥川らと同級生
大躍進のオリックス宮城大弥 2年前の悔しい夏から同世代の出世頭へ
 2021年のプロ野球は、「新世代の台頭」が目立つシーズンでもあった。 高校時代から世代ナンバーワンと見られていた選手の期待通りの成長もあれば、同世代のなかでの評価を“逆転”させて飛躍を遂げた選手もいる。ノンフィクションライター・柳川悠二氏がレポートする。 * * * 今季、オリックスで大車輪の活躍(13勝4敗)をみせ、パ・リーグの新人王に輝いたのが宮城大弥だ。そしてそのオリックスを破り20年ぶりの日本一となった東京ヤクルトで、9勝4敗という立派な成績を残した奥川恭伸。さらに5月に1軍初登板を果たし、クライマックスシリーズ第1ステージでは初戦のマウンドにも上がった千葉ロッテの佐々木朗希――。 2001年に生まれた三者に共通するのは、それぞれドラフト1位で指名されたこと、そしてU-18侍ジャパンの一員としてW杯を戦った仲間だという点だ。 まだコロナの心配が微塵もなかった2019年9月、彼らの姿は韓国・機張(キジャン)にあった。W杯の決勝進出に向けて大一番となる韓国戦に向かうバスの中で、ヘッドコーチを務めていた仲井宗基氏(八戸学院光星監督)は、高らかに先発投手を告げた。 「日本の宝! 佐々木朗希!!」 その一言に、バスの中は大いに沸いた。佐々木はこの大一番が侍戦士として初めての公式戦登板だった。 だが、佐々木は初回に19球を投げただけで右手の人差し指にできたマメがつぶれ、ユニフォームに血をにじませながら、失意の降板となった。韓国戦に敗れた日本は、悲願の世界一どころか三位決定戦にも進出できず韓国を後にする。 同年の春に163キロを記録し、日本中の注目を集めた“令和の怪物”は、岩手大会でも“投げない怪物”だった。中学時代の仲間と共に進んだ大船渡は決勝まで勝ち上がるも、準決勝からの連投となる佐々木の肉体と将来を第一に考えた同校の國保陽平監督の決断によって登板を回避。打者としても出場はせず、敗戦をベンチで見届けた。 高校生としては前人未踏だったMAX163キロの剛速球は諸刃の剣であり、成長段階にある身体への負担、代償といったものは誰も計り知れない。「日本の宝」の将来を案じた大人たちは、怪物を登板させないことで佐々木を故障から守り、佐々木はプロの世界に進むことができたのである。この悔しさを上の舞台で晴らして そして、191センチと長身の佐々木に対し、2019年の侍戦士の中でも、最も小柄な選手が沖縄・興南高校の宮城だった。高校最後の夏、宮城は沖縄大会決勝で延長13回を投げ抜いたが、最後は押し出しの四球を与えて敗戦。この日に投げた球数は229球にのぼった。 韓国の地では、登板もままならない佐々木らに代わってフル回転し、打つほうでも8打数3安打と活躍した。試合中は息子のプレーを見守る父・享さんの姿もあった。8人兄弟の父である享さんは興南高校の寮監を務めて息子をサポートした。「息子はひとり、興南の敗戦の責任を背負っていたし、背負わされてもいた。それが私には我慢ならなかった。この悔しさは上の舞台で晴らしてほしい」 佐々木と奥川に、西純矢、及川雅貴(共に阪神)を加えた4人は、この年の「高校四天王」と呼ばれていた。彼らと比べれば171センチと小柄な宮城は、注目度でも劣っていた。オリックスからの指名も、1位とはいえ「外れ外れ1位」。高校時代に心に秘めた反骨の心が、プロ入り2年目で13勝を挙げるという快進撃を支えてきた。 当時、星稜(石川)のエースだった奥川もまた、悔しい夏を過ごした。選抜では相手校のサイン盗み疑惑が勃発し、敗戦後に林和成監督は相手のロッカールームに直行し、猛抗議。大会後、監督は学校から2か月の指導禁止処分が下り、奥川と星稜にとってはゴタゴタの末にたどり着いた最後の甲子園だった。 聖地では5試合に登板し、決勝を含めた投球数は計512球を数えた。圧巻だったのは、3回戦の智弁和歌山戦。タイブレークにもつれた14回までに23三振を奪い、勝利後は安堵の気持ちからか大粒の涙を落とした。しかし、決勝では一球に泣いた。履正社の井上広大(現阪神)にバックスクリーンに運ばれ、北陸勢として史上初の深紅の優勝旗には手が届かなかった。  その2週間後、奥川は見事な世界デビューを果たす。W杯ではスーパーラウンドのカナダ戦に先発し、7回を103球で投げきり、18個もの三振を奪った。 奥川はプロ入りを見据えてこんなビジョンを描いていた。「まだまだ自分の力には満足していません。思いっきり腕を振ったボールをしっかりコントロールできるようになっていきたい」 今改めて振り返ってみても、三者三様の夏を過ごした彼らは、韓国の地に集い、一敗地にまみれた経験を糧として、2年の時を経るなかで原石に磨きをかけ、強烈な輝きを放つまでに成長したのだ。 同期の出世頭である宮城のオリックス、奥川の東京ヤクルトはそれぞれリーグを制し、佐々木のいる千葉ロッテもCSに進出した。彼らの中から球界を代表するエースが誕生する日はきっと近い。
2021.12.27 16:00
NEWSポストセブン
トップアイドルの兵役はどうなる(写真/GettyImages)
BTSは行くつもりでも、韓国政府が「兵役免除」を諦めきれない背景
 K-POPの枠を飛び出し、世界の音楽チャートを席巻している韓国発の男性アイドルグループBTS。韓国国内では、彼らの兵役免除を巡る議論が続いている。「兵役免除」といっても、基礎軍事訓練とされる4週間の新兵訓練は必ず受けることになるので、全くの免除というわけではない。政府内で議論が続いているのは、国益への寄与度が高い大衆文化芸術家が芸術・体育要員として、自身の特技分野で一定時間(500時間超)の奉仕活動をすればよい「代替服務」をさせるという兵役法改正を認めるか否かという点についてだ。 BTSのファンはARMYと呼ばれるが、韓国のARMYたちはBTSの兵役について「行くなら行けばいい。私たちは待てばいい」とする声が目立つ。Twitterでは「大韓民国の男性として生まれた以上、兵役の義務を避けることができないのが現実だ。昨日、ジョングクがBTS= ARMYと言ったように、防弾が言ったことだけを私は支持します」「国が(BTSのために)やってくれることはなく、ご飯をスプーンの上に乗せるだけで、私たちの防弾(BTS)は黙々とできることをする。防弾は私たちARMYが守る。寂しくないように、悲しくないように」と、メンバーの気持ちを尊重したいという投稿が溢れている。 BTSのメンバー自身もこれまでに、インタビューなどで兵役について度々触れてきた。2020年11月にはメンバー最年長のジンが次のように話している。「大韓民国の青年として兵役は当然の問題だと思います。いつも申し上げているように、国からの招集があればいつでも応じる。時期になって招集があるならいつでも応じる予定です。メンバーたちともよく話しますが、兵役には皆が応じる予定です」 メンバーやファンが兵役を当然の義務として受け止める発言をしているのに対して、むしろ韓国政府が煮え切らない態度に見える。韓国エンタメライター・田名部知子氏は韓国政府の立場について次のように説明する。「韓国政府はBTSがもたらす経済効果をどうしても意識せざるを得ないのでしょう。2020年に米ビルボード100で1位となった『Dynamite』の経済効果は1兆7000億ウォン(約1660億円)という試算が出ているほど、BTSによる影響は大きい。今の人気が維持されれば、デビュー(2013年)から2023年までの10年間で経済効果は56兆ウォン(約5兆4000億円)にのぼると試算されています」 そうしたBTS人気の恩恵に与りたい一方で、韓国政府は「人口急減」という無視できない問題にも直面している。「出生率の低下で兵役資源が不足している状況もあり、兵役の公正性は20代の男性にとって特に敏感な問題になっています。国防部も兵役法改正案の議論に関連して、慎重に検討する必要があるという立場を明らかにしている。今や世界から注目される存在となったBTSの兵役問題を中途半端に扱うことは許されず、2022年3月の大統領選挙の争点に浮上する可能性もあります」(前出・田名部氏) 入隊はBTS人気にどのような影響を与えるのか。「一般的に韓国では、除隊後のアイドルはかつての勢いを失うとされています。兵役後も入隊前と同じ人気を誇るグループは皆無と言っていいでしょう。しかし、かつてここまでワールドワイドに活躍したアーティストは韓国にいなかったので、兵役に関しても前例はありません。予測困難と言えます」(前出・田名部氏)
2021.12.26 11:00
NEWSポストセブン
ヤックン長男の薬丸翔 作品の本質を表現する「演劇人」の名演
ヤックン長男の薬丸翔 作品の本質を表現する「演劇人」の名演
 現在公開中の岡田将生(32才)が主演を務める映画『聖地X』。「ホラー映画」と謳われているものの、SNSなどの口コミでは「不気味だけど笑える」「クセになる面白さ」といった声が多く、コメディ要素も散りばめられた作品に仕上がっている。そんななか、強烈なインパクトで注目を集めているのが、薬丸裕英(55才)と石川秀美(55才)を両親に持つ薬丸翔(31才)だ。薬丸の名演について、映画や演劇に詳しいライターの折田侑駿さんが解説する。 * * * 本作は、劇作家で演出家の前川知大(47才)率いる劇団・イキウメの代表作の1つを実写映画化したもの。映画『SR サイタマノラッパー』シリーズや『AI崩壊』、『シュシュシュの娘』などを手掛けた入江悠(42才)が監督を務め、韓国のとある呪われた土地を舞台に、次々と巻き起こる奇怪な物語をホラーテイストで描き出している。 物語のあらすじはこうだ。父親が遺した別荘のある韓国に渡り、悠々自適な生活を満喫していた小説家志望の輝夫(岡田将生)の元へ、東京での結婚生活に嫌気がさした妹の要が転がり込んできて、共同生活が始まる。そんなある日、要は日本に残してきた夫・滋の姿を韓国の商店街で見かける。後を追っていくと、辿り着いたのは不気味な佇まいの飲食店。すると、誰もいないはずの店奥から記憶があやふやな滋が姿を現すのだった。 演劇版の舞台は日本だったが、映画版では韓国へと設定を移し、個性的な俳優陣が演技合戦を繰り広げることで、素晴らしい仕上がりとなっている。岡田将生は“親の遺産で暮らす小説家志望の青年”というアクの強い人物に扮し、観客のナビゲーター的な役割も担当。気ままな生活を妹の要に侵され、やがて怪異に巻き込まれていく狼狽ぶりは見事だ。要役を演じた川口春奈(26才)も、物語の“きっかけ作り”という重要な役どころを担っていた。甲斐性なしの夫からひどい仕打ちを受け、怒り心頭で韓国へとやって来た要の怒りの強さが、物語の恐怖の一端である“どこかおかしな滋”の出現を促す。そして、物語のキーパーソンである要の夫・滋役を演じているのが、薬丸翔だ。 薬丸が演じる滋とは、救いようのないダメ男である。本作は、主演の岡田やヒロインの川口だけでなく、緒形直人(54才)や真木よう子(39才)、渋川清彦(47才)といったベテラン揃いで構成されているが、その中でも薬丸の存在は一際目を引く。不貞を悪びれることなく薄ら笑いを浮かべる姿や騒々しく彼女にすがる姿など、振る舞いの一つひとつが強烈なインパクトなのだ。滋という、絶えず変化し続けることが求められる不安定な役どころを、薬丸は申し分なく演じていたと思う。  薬丸といえば、かつて岡田と共演したドラマ『生徒諸君!』(テレビ朝日系)をはじめ、映像作品への出演作も多々あり、キャリアは決して短くはないものの、今作で彼の存在を認識した人も多かったようだ。近年は舞台を主軸に活動している印象があるが、作品のキーパーソンという大役に抜擢された本作には、彼が演劇の世界で培ってきたものが確実に活きているように感じた。本作での薬丸は、他の共演者と比べても圧倒的に“上手い”のだ。 これまでにも彼は、イキウメ作品に参加している。作・演出を手がける前川が描くのはいつも、“日常と隣り合わせにある恐怖(あるいは謎)”。稽古場では、出演者同士のディスカッションが行われ、前川の志向するものを皆で共有することが求められるだろう。『聖地X』も、映画版とはいえこれまでイキウメ作品に関わってきた薬丸だからこそ、誰よりも作品の“本質”の近いところに達しているように感じた。 例えば、歯の浮くようなセリフの言い回しや、泣き笑いのような表情には、内面と外面とのズレを表現する彼の力量が見て取れた。役の立ち位置や脚本への理解をはじめ、誰よりも作品の核心部分に触れている薬丸だからこそ、本作での名演が実現しているのではないかと思う。演技の良し悪しやレベルは、観客の感覚や好みで決まるものだと思うが、本作における薬丸の演技は、誰よりも優れていたと断言できるほど素晴らしいものだった。「演劇人」と呼ぶにふさわしい存在の薬丸翔。今後、本作を観たクリエイターたちからのラブコールが止まらなくなるのではないかと思わずにはいられない。【折田侑駿】文筆家。1990年生まれ。映画や演劇、俳優、文学、服飾、酒場など幅広くカバーし、映画の劇場パンフレットに多数寄稿のほか、映画トーク番組「活弁シネマ倶楽部」ではMCを務めている。
2021.12.25 07:00
NEWSポストセブン
bts
世界に広がるBTSファン「ARMY」 中国では習近平政権が“弾圧”か
 今、世界で最も注目を集める韓国発のアイドルグループBTS(防弾少年団)。アメリカのビルボードメインシングルチャート「ホット100」で「Butter」が9週連続首位を飾り、2021年首位最長記録を更新するなど、K-POPの枠組みを軽々と飛び越えて、世界中でそのパフォーマンスは高く評価されている。ただ唯一、世界一の人口を誇る中国でだけ、BTSを巡る複雑な事情があるようだ。 ARMYと呼ばれるBTSのファンたちは今や世界中どこにでもおり、中国の ARMYたちも熱心にファン活動を行なっている。それについて、中国の習近平政権が警戒感を強めているとみられている。  2021年9月に、中国のARMYたちがBTSメンバーのJIMINの誕生日に合わせて、オンラインで大金を集め、JIMINの顔写真やお祝いメッセージがラッピングされた航空機を飛ばしたところ、ARMYたちの中国版・ツイッター「微博(ウェイボー)」のアカウントが停止に追い込まれたのだ。 微博側は「不合理なスター追従行為を断固反対し、厳正に処理する」とコメント。SNSの取り締まりに乗り出し、「有害情報40万件あまり、違反アカウント2万あまり、スレ主6500あまり、スレッド3000あまりを解散させた」という。微博が中国共産党政府の統制下にあることは知られているが、そこでBTSを支持するARMYたちがターゲットとなったのだ。 現在、BTSのウェイボー公式アカウントのリプ欄では、ARMYたちがBTSの地下鉄広告を喜んだりする声などは削除されていると見られ、代わりに「ファンはクソだな。金のあるやつはアルバムを買い、金のないやつは国籍を捨ててやがる(6.6万いいね)」「ファンのアホどもは国籍を捨ててくれ。推し活で自分の国籍も忘れてしまったようだ(4.7万いいね)」「こいつらはまだ若いから、アメリカに原爆を落とされたことがないんだな。一発食らったらいいよ(4.4万いいね)」などのコメントが並んでいる。 中国問題に詳しいジャーナリスト・西谷格氏は、中国政府が背後にいるとみられる厳しい“粛正”についてこう分析する。 「BTSの言葉やファッションが中国の若者全体に影響を与えるようになっては危険なので、影響力を未然に削いでおく必要があると考えたのではないでしょうか。中国政府は、自分たちがコントロールできない存在に影響力を持たれることを嫌悪しているのだと考えられます。禁止まではしないが、BTSが中国の若者に対して影響力を持ちすぎないよう、ほどほどの人気に抑えておく必要があると判断したのではないか」 中国におけるBTSの活動を制御しようとする動きはこれが初めてではない。2021年2月にBTSの所属事務所ビッグヒットエンターテインメントが、決算報告書を発表した際に使用していた地図で、中国が自国領と主張する領域(南チベット)を「インド領」として扱っていたことが分かるやいなや、共産党機関紙・人民日報系「環球時報」の英字版グローバル・タイムズが「事務所が炎上」と取り上げた。 最近ではBTSやARMYたちへの取り締まりだけではなく、「韓国文化」そのものを否定するような動きも出てきている。2021年9月2日に中国政府は、芸能番組や芸能界に対する通知を発表。そこには、「娘炮 (ニャンパオ)など奇形的な審美意識を断固廃絶する」「金持ち自慢や享楽的な内容、プライベートに関する噂話、ネガティブな話題の加熱、低俗なインフルエンサーなどを断固拒否する」「スター育成番組やアイドル投票、アイドルのランキング化、グッズ購入による投票の禁止」などとあった。「ニャンパオ」とは、韓国発とされるメイクやファッションが華やかな“中性的イケメン”のことを指す。「中国でもメイクやファッションなどで“韓流”が広がっているなか、若者たちが韓国に憧れや強い好意を抱くことを警戒したと言えます。特に、習近平政権は表現の自由や文化芸術を制限する流れを志向しているので、韓流が広まり過ぎるのは面白くないのだと考えられます」(西谷氏) 米中関係の緊張状態も影響していると西谷氏は指摘する。「中国は格差縮小を目指す『共同富裕』を掲げており、ただでさえ芸能界に対する締め付けが厳しくなっているが、米中対立のなかで韓国はアメリカ側の陣営にある。韓国とはこれまでも、高高度防衛ミサイル・THAAD配備などで関係が緊張することがあり、韓国のアイドルが自国で影響力を持つのは、決して望ましいことではないのでしょう」 国連のスピーチでは、未来を担う若者たちに「僕らは変化に怯えるよりはウェルカムと言いながら前に進んでいく、”ウェルカムジェネレーション”だ」と語ったBTS。中国からウェルカムされる日は来るのか。
2021.12.21 11:00
NEWSポストセブン
文在寅政権(写真/EPA=時事)
韓国・文大統領「外交的ボイコットせず」政権末期で中国すり寄り鮮明
 韓国の文在寅大統領は12月13日、中国の人権問題を理由とした北京冬季五輪への「外交的ボイコット」について、「韓国政府は検討していない」と表明した。アメリカが政府代表団を派遣しないことを決定したことに追随する形で、オーストラリア、イギリス、カナダが次々と外交的ボイコットを表明。日本も閣僚の派遣を見送る方針であることが伝えられる中、韓国はアメリカの同盟国でありながら、他国とは一線を画し中国に協力する道を選んだことになる。 文氏は外交的ボイコットをしない理由について「米国をはじめとするどの国からも、(ボイコットに)参加を求められたことはない」と述べた上で、「経済的な側面では中国との関係もとても重要だ」と語った。発言の真意について、韓国人ジャーナリストが分析する。「文政権の支持率は新型コロナの感染拡大や景気の悪化で30%台と低迷を続けており、来年3月の大統領選を前に早くも“レームダック(死に体)状態”となっています。しかし、歴代の韓国大統領が退任後にスキャンダルに見舞われる悲惨の歴史を辿ってきたことを考えると、文氏としては強い後ろ盾を得た上で任期を終えたい。 そこで頼ったのが中国です。韓国最大の貿易相手国である中国は、2016年に米軍の最新鋭迎撃システム『高高度防衛ミサイル(THAAD)』の韓国配備に絡み、韓国の製品や娯楽作品などを中国市場から排除する事実上の経済制裁を科してきましたが、自らの任期中にこれを解きたいという気持ちが文氏にはあった。北京五輪の外交的ボイコットについて、あえて“検討すらしない”と表明したのは、経済制裁を解いて欲しいという中国への猛烈なアピールでしょう」 この表明に、中国外交部の汪文斌副報道局長は「オリンピック精神に符合し、中韓友好の表れだ。中国は、これを積極的に評価する」と手放しで称賛。それに前後し、中国では経済制裁以来止まっていた韓国映画の公開が6年ぶりに始まった。北京五輪を支持する姿勢をみせていることへの見返りとみられている。「韓国政府は外交的ボイコット拒否を表明した同日、TPP(環太平洋戦略的経済連携協定)への加盟申請の手続きを開始すると表明しました。これも、中国がTPPに加盟申請したことに追随した動きです。もはや文氏にとっては、アメリカや日本よりも中国との関係が最優先ということなのでしょう」(同前) このまま文氏が任期満了まで突き進むと、どれだけの親中国家となった状態で次期政権に引き継がれるのか。日本としては注視が必要だ。
2021.12.19 07:00
NEWSポストセブン
最年長メンバーのジン(左から3番目)が来年末までに入隊予定(写真/共同通信社)
どうなる?BTSの「兵役問題」 韓国では芸能人優遇が反感を買うことも
 男性7人組の韓国の人気グループ・BTSを巡る「兵役問題」が、同国の世論を揺るがせている。11月にはアジア勢初となる「アメリカン・ミュージック・アワード」の最高賞を受賞するなど、国家への貢献度の高さから「兵役免除」も検討されているという。韓国在住の芸能ライター、キム・サンジュン氏が語る。「“韓国男性の義務を果たすべき”という声と“兵役免除するべき”という意見で世論は割れています。ただし、兵役免除の対象は“オリンピックでメダルを取った選手”などに限られており、現状では大衆文化には適用されていません」 それを受け、11月に韓国国会では大衆文化芸術の貢献者にまで、兵役免除の対象を拡大するか審議をしたが、保留となった。このままだと最年長メンバーのジン(29)が来年末までに入隊し、18~22か月間服務することになるが、ファンからは「いじめや暴力に遭うのでは」といった心配の声も上がっている。 芸能人は韓国軍でどういう職務に就くのか。「軍隊のいじめや暴力は昔より減っているとはいえ、完全になくなったわけではありません。ただし芸能人は優遇され、通常の訓練はほとんど受けずに軍が対外的なPRのために行なうミュージカルへの出演やその練習などが主な職務になります。そのため彼らは『ミュージカル兵士』と呼ばれるのですが、通常は陸軍で18か月間の訓練期間が3か月ほどに短縮されるなど、相当楽だと言われます」(キム氏) 2019年には数組の人気K-POPグループのメンバーが軍のミュージカル『帰還 あの日の約束』に出演したが、頭を丸刈りにするでもなく、アイドル時代と変わらない姿を見せ話題となった。「上官にタメ口だったり、休暇期間が一般人より長いといった芸能人への優遇が問題になり、同世代の男性からの反感も少なくありません。一方、ドラマ『愛の不時着』の主演俳優ヒョンビンが自ら志願して海兵隊でハードな訓練に耐え、『愛国心に溢れた男だ』と、その後の芸能生活にプラスになったケースもあります」(キム氏) どちらにせよ、芸の肥やしになるようだ。※週刊ポスト2021年12月24日号
2021.12.16 07:00
週刊ポスト
デビュー即人気のINI 背景にオーディション番組での「成長プロセス」
デビュー即人気のINI 背景にオーディション番組での「成長プロセス」
『第63回輝く!日本レコード大賞』(TBS系、12月30日放送)で、「最優秀新人賞」の候補となる新人賞を受賞したグローバルボーイズグループ・INI。11月に発売されたデビューシングル『A』がオリコンデイリーチャートで初登場1位を獲得するなど、大きな注目を集める彼らだが、その背景にあるのが近年盛り上がりを見せる“韓国発オーディション番組”の存在だ。 INIは今年4月からGYAO!で配信スタートした公開オーディション番組『PRODUCE 101 JAPAN SEASON2』を通じて結成。同番組は韓国で社会現象を巻き起こしているオーディション番組『PRODUCE 101』の日本版で、計101人の練習生の中から視聴者による投票で11人のデビューメンバーを決定するという、視聴者参加型のサバイバルオーディション番組となっている。 11月3日にシングル『A』でデビューを果たすと、初週売り上げが歴代5位となる50万枚以上を記録。とりわけ若い世代から人気を集め、女子中高生向けのマーケティング支援などを手がけるAMFが11月末に発表した「JC・JK流行語大賞2021」では“ヒト部門”の第1位を獲得した。 同じく「JC・JK流行語大賞2021」の“モノ部門”では、韓国発のガールズグループオーディション番組『Girls Planet 999』が第1位にランクイン。同番組からは9人組グローバルガールズグループ・Kep1erが生まれ、2022年1月3日にデビューを控えている。グループの魅力もさることながら、オーディション番組そのものの盛り上がりが窺える結果だと言えるだろう。 INIの人気を後押ししているオーディション番組の流行について、エンタメ事情に詳しいライターのふくだりょうこ氏は「完成に近づいていく姿を見ることで、推しに対する愛着も強くなる」と分析する。「オーディション番組出身だと、去年はNiziU、今年はINI、BE:FIRSTの活躍ぶりが目立ちます。選考方法はオーディションによってさまざまです。PRODUCE 101 JAPANのように、視聴者参加型のものもあれば、プロデューサーやトレーナーのみで採点するものもあります。 視聴者参加型は、長い選考過程であればあるほど、投票するという形で一緒に戦っている気持ちにも自然となりますし、成長していく姿を見ているからこそ、応援する気持ちも強くなっていくのではないでしょうか。ステージに立つ姿だけではなく、本人の素の部分、喜びや悲しみ、葛藤を、番組を通じてシェアすることで、見ている人と気持ちが近くなる。完成された姿ではなく、完成に近づいていく姿を見ることで、推しに対する愛着も強くなっている部分もあるはずです」(ふくだりょうこ氏) さらにふくだ氏によれば、昨年から今年にかけて、コロナ禍で様々な制限がもたらされたことも、オーディション番組の活況に繋がっているようだ。「もう一点は、コロナ禍も影響しているのではないか、と思います。行動を制限されることが多く、鬱屈した思いが溜まっていく中、夢に向かって努力を重ねている彼らの姿はひとつの光です。そんな彼らの姿に励まされた時間は、視聴者にとってもかけがえのない時間です。だからこそ、また来年以降はオーディション番組に対するファンの反応は変わってくるかもしれません」(同前) 今後コロナ禍がどのタイミングで収束するのかは現状ではわからないにせよ、収束後も視聴者の心を掴むことができるかどうかが、オーディション番組の将来を占う鍵となりそうだ。それは好スタートを切ったINIの活動とも無関係ではないだろう。◆取材・文/細田成嗣(HEW)
2021.12.14 16:00
NEWSポストセブン
「近年の男性化粧品はかなり細分化されてきた」と話すマンダムの西村社長
「男には男のメイクがある」 マンダム社長が語る若者の美意識と時代背景
 コロナ禍で訪日外国人の需要が蒸発した化粧品業界。一方、オンライン会議の普及で新たな身だしなみニーズが生まれ、若年男性の間でコスメブームも続いている。そんな中、男性化粧品メーカーの老舗、マンダムでは、どんな一手で市場を深耕していくのか──。今年4月にトップに就任した西村健社長(39)に話を聞いた。――外出自粛が続いて化粧品需要が落ちた一方、テレワークの普及でオンライン会議が増え、新たな身だしなみ需要も出てきました。西村:コロナ禍前は、ほとんどの男性は鏡越しに自分の髪や顔を大雑把に見る程度だったと思います。ところが、オンライン会議が普及したことで、パソコンやスマホの画面越しに映る顔のシワやシミ、ニキビなどが気になってケアする人が増え、新たなスキンケアマーケットが出てきました。女性向けもヘアケアやトリートメント関連の商品が伸びています。 もう1つ、男性向けの除毛クリームやボディヘアトリマーも成長していますね。昨年と一昨年を比較すると、除毛商品の売上げは1.7倍ほどになりました。 当社では2000年から除毛関連商品を細く長くやっています。流行の最先端をいくような男性は以前から除毛クリームを使っていらっしゃるので、このジャンルはコロナ禍とは関係なく伸びています。メンズサロンに行く方も増え、総じて清潔感への意識が高い若年男性が増えています。――男性のヘアスタイリングやスキンケアなどへの意識は、この10年、20年単位で見ると、やはりずいぶん変わりましたか?西村:私はいま39歳ですが、自分が学生の頃は、時代としてスタイリングの使用率は高く、鏡の前で試行錯誤したりしていました。しかしスキンケアは浸透していなく、せいぜい洗顔料を使う程度でした。逆にいまの若い男性は、スキンケア意識は高まっている一方で、スタイリングに関してはカット技術の向上やナチュラル志向もあり、昔ほど使うことにワクワク感やデビュー感ってそんなにないと思うんです。SNS時代で変化した男性の「モテたい」ニーズ――マンダムといえば、古くは1970年代にテレビCMで起用した、俳優のチャールズ・ブロンソンが発した台詞、「う~ん、マンダム」で一世を風靡しました。西村:当時はどちらかといえば男くさい、ワイルド系の商品イメージでしたが、その後、テレビCMで松田優作さんや本木雅弘さん、木村拓哉さんなどにご出演いただき、時代を経るごとにシンボリックな人も変わってきていて、最近では“中性的な”タレントさんたちの人気が高くなっていきました。 韓国のK-POPが流行るようになったことも時代を映していますね。つれて、男性化粧品もかつてはヘアスタイルやデオドラント関連のケア商品だけだったものが、近年はかなり細分化されています。 そこに至った要因の1つは、デジタル社会が浸透したことでプロでない一般の方でも、SNSに投稿した写真の精度やレベルが高くなったことがあると思います。 デジカメでなくとも、いまはスマホでも高画素で高精細な写真が撮れるので、人から“見られる”という機会が、かつてに比べて格段に多くなりました。そのため、自分の清潔感や身だしなみに気を遣う方が増えているのでしょう。――見られる対象も昔なら異性で、異性からモテたいために、おしゃれをしたり身だしなみに気を配るという動機だったのが、最近は少し違うようですね。西村:異性からモテたいという意識はいまも昔も根源的にはあるでしょう。ただ、同性からの好感や清潔感を得たいという欲求が、いまの若い男性には、より強くあると思います。異性にモテたいという気持ち以上に、周囲の仲間と馴染んでいたいという意識といってもいいですね。 昔、特にインターネットがまだなかった時代は、学校の部活動であれ遊びに行くのであれ、仲間や友人たちとの交流はほとんどがリアルの場でした。 いまは、デジタル上で友人とつながってはいますけど、たとえばSNSでフォロワーや「いいね!」がたくさんついていたとしても、それは形があるようなないような、どこか曖昧なものじゃないですか。他人から認められる、あるいは一目置かれるとか、そういう状態を、より物理的に欲しているところはあるのかなという気がしています。情報過多でインフルエンサーの「検索疲れ」も――若年男性の間では、ヘアスタイリング剤はもちろん、スキンケアもかなり当たり前になってきていますか。西村:4年ほど前までは、高校生~20代前半の社会人のスキンケア商品の使用率は20%程度だったのですが、現在はだいたい35%くらいの方が使っているというデータがあります。――スキンケアからさらに一歩進んで、メーキャップに入っていく男性も増えているようですが。西村:いまや色つきのリップクリームは結構当たり前で、血色のいい唇で人に見てもらいたいという意識がありますね。 ただ、彼らが日々接しているSNSには膨大な情報が洪水のように流れています。そこで自分好みのインフルエンサーを検索して探すわけですが、情報過多でついつい目移りしてしまい、ある種の検索疲れ、比較疲れみたいなもところも見受けられます。 化粧品、あるいはファッション分野もそうですが、一定程度のセオリーや理屈があって、消費者はそうした情報をいわば「左脳」で処理するわけですが、一方で、人には誰しも直感的に「右脳」で楽しみたいという欲求もあって、それも大事な要素だと思っています。――そういう意味では今年10月から、マンダムでは「ギャツビー ザ デザイナー」という新ラインのシリーズ商品を投入し、ストリートカジュアル系、ストリートモード系、韓流系に分けて、個性の違うヘアスタイリストを3人、共同開発・監修で起用しています。西村:お三方とも非常に影響力のある方々ですが、それぞれでフォロワーを持っておられるし、ギャツビーブランドから出すメーキャップ商品という括りで言っても、ブランドの世界観がきちんとありますので、おしゃれや身だしなみを1つの世界観として楽しんでもらう提案をさせていただきました。 当社は、時代時代の若い男性に化粧品という分野から常に寄り添ってきたメーカーですので、これまで蓄積してきた知見が数多くあります。 ですから今回の新ラインのシリーズも、女性向けのメーキャップ商品をフォー・メンとして出すようは発想法ではなく、女性向けの商品よりも容器の太さや形状を持ちやすくするようにしたり、鞄の中がゴチャゴチャしないよう、アイブロウのペンシルとマスカラを「2in1」の商品設計にしたりと、「男には男のメイクがある」という点はかなりこだわって作り込みました。 使い勝手の良し悪しはすごく大事な要素だと思いますし、使ってみて楽しい要素も重要。テクニカルな商品を出す時は特にそうですね。男性の美容トレンドを先取りする「韓流アイドル」――メーキャップをする男性は、顔の中でどこを一番気にするのでしょう?西村:たとえば、メイクで小顔に見せたいというよりは、鼻筋をスッとさせて精悍に見せるとか。メイクで顔の陰影がくっきりすると、男性は女性よりも骨格がしっかりしているので、陰影を際立たせることでシャープに見せることができるのです。――韓国では、アイドルをはじめメーキャップをしている男性有名人が多いと思いますが、韓国発で日本に入ってくるような美容トレンドもありますか。西村:それは女性も男性もあると思います。男性向けは化粧品のアイテム数も多くはないのでそれほど目立ってはいませんが、たとえば当社のワックス商品のいくつかは、韓流系を好むヘアスタイルに適した商品があります。 韓国の美容トレンドは日本でも浸透してきていますし、昔のように東アジアのトレンドは日本から発信、みたいなシンプルな話ではなくなってきています。――韓国では美容整形なども日常風景ですしね。西村:あくまでも私見ですが、確かに会社の昼休み時間を使って整形外科に行き、その足でまたオフィスに帰ってくるといったことが日常的にあるようですからね。昔に比べると、化粧品分野も韓国メーカーは少し強くなってきたと感じています。――韓国以外のアジア、あるいは欧米のコスメ事情はどうでしょう。西村:アメリカ人は髪質的にクセっ毛で細い人が多く、ジェル1つとってもいかにグロッシーに見せるかとか、整髪的な意味合いよりも魅せるほうに振っていたりしますね。ヨーロッパなら、フランスに代表されるようにフレグランスへのこだわりがあったりとか、国によっておしゃれのポイントが少しずつ違います。 一方で、東アジアや北東アジアの人たち、特に北東アジアの人は、もともと持っている体臭自体が弱いですから、割とヘアスタイリングとかメイクに凝って化粧品を使う人が多いかもしれません。見た目を気にする40代以上のミドル層―― マンダムでは40代以上のミドル世代に向けては、「ルシード」という商品シリーズがあります。ちょいワルオヤジとはいかないまでも、中年男性でもおしゃれや身だしなみに気を遣う人も少なくありません。西村:たとえばコンシーラーを使用することで、ミドル男性の顔肌の見た目を即時的に変え、印象を変えることができますので、「ルシード」のニーズも底堅く、堅調に推移しています。――今後、40代以上の層に向けた商品では、化粧品というよりヘルスケアに近いような領域に打って出る可能性もありますか。西村:日本の事業だけを考えれば今後も少子化が進んでいきますし、人生100年時代と言われる中、40代以上のミドル層の市場もまだまだ魅力的です。 長く社会で活躍していくには人からの見られ方にも気を配り、気持ち晴れやかに生きたいと考える人も多いと思いますから、われわれもエイジングに対してどうアプローチしていくか、といった観点も今後大事になってきますね。インバウンド需要で遅れた「ビジネスモデル変革」――競合他社との差別化ポイントは、価格戦略的な面も含めてどんな点に重点を置いていますか?西村:商品の値付けに関しては、当社の創業者が、良品廉価ではなく「優良廉価」を普及させたいと言っておりまして、競合云々より、生活者がこの商品の価値をきちんと納得してお求めいただけるようにということでずっとやってきています。 お客様から「ギャツビーブランドだから買いたいけど、この値段じゃちょっと高いよね」と思われない価格と価値でご提供し続けていくことが大事だと考えています。 もちろん機能もさることながら、化粧品を使った時の自分の心の変わりよう、前向きになれる気持ちなども含めて楽しんでもらえることが重要だと思っています。そうした情緒的な価値もきちんと訴求し続けていく考えです。 当社の強みは、創業から90年以上男性化粧品を中心にやってきた知見や研究成果の蓄積によって、男性の身だしなみのことを知り尽くしていることにありますから、そこの深掘りには自信があります。――ところで今年4月に社長に就任され、前社長から一気に30歳強若返ったわけですが、父親でもある元延会長と、世代交代についてはどんな話し合いをしてきましたか。西村:私がスペイン留学から日本に戻ってきたのが2017年なのですが、その頃からいずれはという感触はありました。化粧品業界はコロナ禍前まで、インバウンド(訪日外国人)需要で活況だったわけですが、その分、ビジネスモデルの変革やデジタルの深化などは、インバウンド需要が伸びていたので後回しになりがちでした。 社内にもそういう課題への意識は強くあって、そこへの意識は会長も持たれていたのですが、今年70歳という年齢もあり、変革への思いはあっても、ジェネレーション的に実行していくところまでは難しい部分がありました。 しかもコロナ禍によって変革が前倒しで必要になってきて、化粧品業界もようやく底打ちしつつあるという中で、会長には「しんどい時代だけど、これ以上下がっていくこともないので、思い切ってやりなさい」と言われました。私自身、変革を大胆にやっていくには世の中が大きく変わっていく、いまがそのタイミングであると考えたわけです。30代と50代で広がる「ジェネレーションギャップ」――今後の男性化粧品市場はどのように変わっていくと思いますか?西村:最近は若い方々があまりテレビを観ませんし、先ほども言いましたが必要な情報はスマホを介してSNSを見て得る傾向が強まっています。 私がまだ高校生だった20年以上前は、化粧品はドラッグストアで買うのが一般的な時代でしたが、いまはEコマースであったり、ロフトさんで発売している「ギャツビー ザ デザイナー」のように、積極的に情報収集したりトライしたりする人たちは、従来とはちょっと違った販路からの購入を志向する傾向があります。 マンダムは従来、マスマーケティングが得意でずっとそれをやってきたのですが、そこからなかなか変われない部分もあったのは事実なので、今後もデジタルや多様化した嗜好への対応など、新しいアプローチも積極的に仕掛けていきたいですね。 いま、どの業界でもジェネレーションギャップがすごく大きくなっていると思うんです。昔の50歳と30歳のギャップと、いまの50歳と30歳のギャップを比較してみると、明らかにいまのほうが差は広がっていますし、われわれは「ギャツビー」をはじめ若い人たちに向けた商品も多いですから、若年代の悩みを商品面から解消してもらえるようなマーケティングにも力を入れていきます。――最後に、西村社長ご自身は毎朝、スタイリングやスキンケアにどのくらいの時間を割かれているのでしょうか?西村:私は朝、結構時間がかかるほうでしてね。家を出る1時間半前ぐらいに起きますが、なんだかんだで30分ぐらいは鏡の前にいるかもしれません(笑い)。クセっ毛ということもあって短髪スタイルで通していますので、髪型を整えるのは短時間で済みますが、髭が結構濃いほうなので髭剃りで整えるのに時間を割き、ごく控えめにメイクをすることもあります。【プロフィール】西村健(にしむら・けん)/1982年5月生まれ。早稲田大学卒業後、2008年4月マンダム入社。マンダムシンガポール出向、人事部、欧州駐在でMBAを取得後、2017年に執行役員就任(経営戦略担当)。2018年常務執行役員(マーケティング統括、広報部、新規ビジネス開発)を経て、2021年4月代表取締役社長執行役員に就任し、現在に至る。●聞き手/河野圭祐(経済ジャーナリスト)●撮影/内海裕之
2021.12.12 07:00
NEWSポストセブン
企業業績悪化、商品値上げ、消費減退…「悪い円安」が日本経済を襲う
企業業績悪化、商品値上げ、消費減退…「悪い円安」が日本経済を襲う
 原油価格の高騰もあって、ガソリン代や日用品が値上がりしている。賃金が上がらないなかで、物価が上昇すれば生活は苦しくなる一方だが、はたして、今後の日本経済はどうなるのか。経営コンサルタントの大前研一氏が解説する。 * * * 本稿執筆時点で、外国為替市場の円相場は1ドル=113円台後半の円安ドル高で推移している。日経平均株価は3万円を割り込んだままで、日本国債の値下がりも進み、日本は円安・株安・債券安の「トリプル安」に見舞われている。 その一方で、新型コロナウイルスのワクチン接種が進んで世界的に経済活動が再開したため、原油の需要が急拡大して原油価格が高騰し、欧米ではインフレ傾向が強い。日本も円安が重なってエネルギー価格や原材料などの輸入品価格が上昇し、インフレになる可能性が高まっている。 周知の通り、日本銀行は2013年1月から2%の物価上昇率目標を実現するために大規模な金融緩和を続けているわけだが、これから怖いのは欧米との相対的な金利差でさらに円安が進み、インフレに歯止めがかからなくなることだ。 しかも、アメリカのFRB(連邦準備制度理事会)が量的緩和の規模を縮小して2022年からゼロ金利を解除(利上げ)する方針を明らかにした。アメリカの金利上昇は世界的な金利上昇につながるので、日本も利上げに踏み切らざるを得なくなるだろう。 金利上昇は、過去最高の1992兆円(2021年6月末時点)に膨らんでいる個人金融資産を消費に出動させるためには追い風となる。しかし、世界の資金が米ドルに還流してアメリカのインフレが加速すれば、日本も国内需給とは関係なく、アメリカに誘発されたインフレになる。それがコントロール不能な状況に陥ったら、国債を大量に抱え込んでいる日銀がインプロージョン(内部爆発)を起こしてジ・エンドだ。その時は、公的年金積立金の50%を国内の債券と株式で運用しているGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)も道連れである。 そもそも安倍晋三政権の経済政策「アベノミクス」とそれに呼応した日銀の黒田東彦総裁による異次元金融緩和の「アベクロバズーカ」は、円安とインフレを誘導するためだった。つまり、円安で輸出産業が潤えば賃金が上がり、景気が良くなるという論理だった。 しかし、アベノミクスのスタートから9年が経過しても、そうはなっていない。結果的に今は原材料の輸入コスト高による企業の業績悪化、商品の値上がり、家計へのシワ寄せ、消費減退など、円安のメリットよりデメリットのほうが大きい「悪い円安」になっている。 しかも、日本の賃金は20年以上にわたってほとんど上がっていない。厚生労働省の「賃金構造基本統計調査」によると、日本の一般労働者の2020年の平均月給は30万7700円で、2001年からわずか1900円増えたにすぎない。 また、OECD(経済協力開発機構)の調査では、2020年の購買力平価ベースの平均年収は、日本が35か国中22位の3万8515ドル、韓国が19位の4万1960ドル、OECD平均が4万9165ドル、1位のアメリカが6万9392ドルである。日本の平均年収は、韓国より約40万円、OECD平均より約120万円、アメリカより約350万円も低くなってしまったのだ。 安倍元首相は、在任中にアベノミクスの成果を強調して「今世紀に入って最も高い水準の賃上げを実現している」と繰り返し喧伝していた。それに対して私は本連載で賃金の国際比較を示して何度も反論してきたが、結局、安倍元首相は自らの非を認めていない。岸田文雄首相も基本的にアベノミクスを継承する方針だから、結果は同じだろう。現在の円安は日本の国力が衰えていることの象徴である。【プロフィール】大前研一(おおまえ・けんいち)/1943年生まれ。マッキンゼー・アンド・カンパニー日本支社長、本社ディレクター等を経て、1994年退社。現在、ビジネス・ブレークスルー代表取締役会長、ビジネス・ブレークスルー大学学長などを務める。最新刊は『世界の潮流2021~22』(プレジデント社)。ほかに小学館新書『新・仕事力 「テレワーク時代」に差がつく働き方』等、著書多数。※週刊ポスト2021年12月17日号
2021.12.08 16:15
マネーポストWEB
主人公を演じたイ・ジョンジェ、モデル出身のチョン・ホヨン、主人公の幼なじみ役のパク・ヘス(AFP=時事)
賛否分かれる『イカゲーム』、「平等の哲学」を描ければ傑作になる
 9月に世界同時配信されるや爆発的人気となり、これまで世界94か国で1億4000万世帯が視聴したとされる韓国ドラマ『イカゲーム』(Netflix)。先行作品との類似ポイントが数々指摘されながら、なぜこれほどまでにヒットしたのか。映像業界に造詣の深い小説家の榎本憲男氏が、賛否両論渦巻く『イカゲーム』の核心をわかりやすく解説する。(以下は作品のストーリーに関する記述が含まれます。未見の方はご注意ください) * * * Netflixで配信されている韓国ドラマ『イカゲーム』は、目を引くような大スターがメインキャストに配役されていないにもかかわらず、世界的に大ヒットしている。この作品の特異性について書いてみたい。 まず、ここまでの規模のヒットは、エンターテインメント性がないと達成できない。大ヒットは多くの人が純粋にこの作品を楽しんだことを意味する。なので、本作品を評価する者は、まずこの作品のエンターテイメント性を讃える。「面白い!」と。 ただ、このような賞賛の影に、本作品が日本のある種のコンテンツに似ていることを指摘し、その勢いで「独創性に欠け、たいしたことがない」と評価する人がいる。では、『イカゲーム』は日本のコンテンツを模倣しているのだろうか? 「している」と僕は思う。しかし、そのことが本作品の評価を損なうことになるのかというと、「ならない」というのが僕の鑑定である。 日本のコンテンツのどの作品にどこが似ているのかを示すよりも、『イカゲーム』の物語設定をまず説明しよう。『イカゲーム』では、登場人物はほとんど全員“食い詰め者”である。彼ならびに彼女らは離島に集められ、大金の獲得を目指して、子供っぽいゲームを戦う。勝ち進めばどんどん大金獲得に近づくが、負ければその時点でゲームオーバーとなり、射殺される。このハッタリの効いた設定が、日本の一部のコンテンツと似ているというわけである。 このようなハードエッジな状況設定をし、それを原動力にストーリーを力強く押し進めていく作品をハリウッドでは「ハイコンセプト」と呼ぶ。そして、この「ハイコンセプト」という言葉はハリウッドのスタジオのエスタブリッシュメントが使うのと、辛口の評論家筋が使う場合は、若干ニュアンスが異なる。  “ハイコンセプト止まり”なのか? 前者が用いるときは、切れ味鋭いナイスな企画という意味になるが、後者の場合は、いくぶん揶揄というか侮蔑的なニュアンスが含まれる。つまりは、あられもない手法で鑑賞者の気を引くことには熱心だが、どこか物足りない、薄っぺらさが透けて見える作品というような評価が含まれている。ではなにが足りないのか? どこが薄っぺらいのか? 簡単に言ってしまえば、人間が描けていない、社会が描けていない、などという点が、減点されていると思われる。『イカゲーム』がハイコンセプトな作品であることはまちがいない。では、“ハイコンセプト止まり”の作品なのだろうか。つまり、『イカゲーム』がただ単に、奇抜な設定から面白いお話を転がしているだけの作品なのか(それのどこが悪いんだという議論は横に置く)。それとも、奇想天外な設定によってエンターテイメント性を確保しながらも、人間に、社会に、世界に迫ろうとしているのか。類似する日本コンテンツとの差はここにある。 僕はストーリーを重層的に捉えている。いちばん表層にあるのが、【1】運動の層である。とにかくここを激しく動かそうとするのが、ハイコンセプトな作品だ。エンターテインメント作品は【1】の層が充実していないと話にならない。 その下には【2】社会の層がある。登場人物が生きている社会はどのようなものなのかを描くことによって、僕らが生きている社会のさまざまな局面や問題をあぶり出す。通常、「社会派」と呼ばれるのはこの層が分厚い作品だと言える。 さらにその下には【3】哲学の層とでもいうべきものがある。もっと深く、本質的ななにかを問う層である。これについては後で述べる。 さて、『イカゲーム』はなにについて語っているのだろう。シリーズの中盤当たりで、ゲームを有利に進めるために内部情報を得ようとした参加者と、彼らに情報を漏洩した管理人が、このゲームの黒幕と思しきフロントマンに射殺されるシーンがある。その時、フロントマンは「お前たちはもっともかけがえのない平等というものを毀損した。だから許されない」(大意)と語る。この飛拍子もないゲームの裏に、平等への願望がこめられていると言うのである。どういう意味だろう?  失われた平等を求めて 現代社会においては、グローバルエリートとなった者と失業者となった者との間には、すさまじい格差が広がっており、もはや同じフィールドでゲームを戦っているとはいいがたい。しかし、幼少の頃はちがったはずだ。子供時代の遊びでは、金持ちの子供が貧乏人の子供に勝つとは限らない。勝つべきものが勝ち、負けるべきものが負ける、という平等(公平さ)がそこにはあった。『イカゲーム』の子供の遊びは、失われた平等(公平さ)を取り戻すための劇薬であるというのは、確かになるほどと思える。 平等(公平さ)への渇望は、主人公の状況にも反映されている。主人公の人生が進退極まったのは、会社からリストラされたことが発端だ。本作品の中盤、リストラを告げられた主人公が自動車工場にバリケードを築いて戦った過去が描かれる。このエピソードは、製造業が空洞化している韓国社会の断片であるとともに、主人公が会社の決定を不当だと思い、公正さを求めて戦ったが敗れたということでもあり、本作のテーマを浮き彫りにするものだ。 そして借金まみれになった主人公はギャンブル中毒になる。ギャンブルには個人の属性は関係ない。ギャンブルでものを言うのは、生まれや育ちではなく、その場かぎりの運だ。ギャンブルは、属性をはぎ取って、人間を丸裸にすることで平等や公平を復活させてくれるのだ。つまり公平さを求める者の敗者復活戦だ、と言えなくもない。そして、ギャンブルで稼いだなけなしの金も失った主人公は、起死回生の策としてこの狂気のゲームに参加するのである。また、主人公たちが離島で参加するゲームも、ほとんどが運に左右されるもので、ギャンブルに近い。ギャンブルでないとどうにもならない社会に生きているのである。 韓国は、先進諸国の中でも特に格差が甚だしい国として挙がることが多い。アカデミー賞作品賞を受賞した『パラサイト 半地下の家族』(ポン・ジュノ監督)もそのような社会的状況から生まれた作品だ(映画で見られたような、低所得者用の半地下の部屋は実在する)。そして『韓国社会の現在 超少子化、貧困、孤立化、デジタル化』(春木育美著 中公新書)によると、現実は映画よりも厳しい。 また、このような新自由主義がもたらした社会問題は韓国にとどまらず、先進諸国をじわじわと蝕んでいる。ならば、現状を打破するには、『イカゲーム』のような起爆剤を仕掛けるしかないという空気が国境を越えて蔓延することも不思議ではない。『イカゲーム』は、一見すると荒唐無稽なギミック満載の作品のように見えながらも、韓国現代社会の、ひいては先進諸国の公平さについて鋭く問う作品であると言える。このような【2】社会の層の分厚さが、各国で共感を呼んだと理解するのはさほど的外れではないだろう。  最大の強者は誰だ? さて、次は【3】哲学の層である。僕がシーズン1を見ながらもっとも注目していたのは、ゲームを仕掛けた側の正体とその動機だ。仕掛ける側の代表として登場しているフロントマンは、これらのゲームは平等さ(公平さ)を取り戻すためだと言う。ただしこのゲームで本当に平等さは取り戻せるのだろうか。 先程も述べたように、本作の中で競われるゲームは、ギャンブル的な要素が強い。しかし、ギャンブルは本当に公平なのだろうか。この作品のゲーム(ギャンブル)参加者が勝利して得るものは金だが、負けて失うものは命である。このような得るものと失うもののアンバランスこそ不平等ではないのか? ギャンブルでは最大の強者は胴元だ。実際、本作品の後半にはこのゲームを鑑賞する大富豪らが描かれる。彼らがゲームを鑑賞するVIPルームと、ゲーム参加者のバトルフィールドとの間には平等などありはしない。 そのような批判に答えるかのように、このVIPの中のひとりが、鑑賞者の立場を離れて自らゲームに参加する。それは平等への参加だと捉えることができる。なぜそんなことをするのだろう。あの爺さんには平等に戦って勝てた時代やフィールドがあったのかもしれない。 ビー玉のゲームの競技場となった下町を模したセットに入った時、「懐かしい」と爺さんは言う。彼は、セットのような庶民の家に生まれ、そこから這い上がって巨万の富を築いたのではないか。ならば、彼は劣勢から捲土重来を果たした勝者なのだろう、などと想像を掻き立てられる、そんな仕掛けがあることが『イカゲーム』の突出している点なのである。 僕がいまあげつらったような問題を、次のシーズンでどのように展開していくのかは非常に気になるところだ。もしも、「本当の平等とは? それは実現可能なのか?」にまで踏み込んで説得力を持ってドラマを展開できるのならば、【3】をも抉ることになり、大傑作となるだろう。ハイコンセプトな設定で物語を走らせ、エンターテイメント性を確保した上で、社会を問い、哲学的な設問にも斬り込む画期的な作品となることはまちがいない。 ただ、ストーリーメーカーのひとりとして思いを巡らせば、これはそうとう難度の高い仕事である。ただそのぶん、期待感も抑えきれないでいる。僕の予想を裏切って、すさまじい傑作が出現することを心待ちにしつつ、次のシーズンを待ちたい。【プロフィール】榎本憲男(えのもと・のりお)/1959年和歌山県生まれ。映画会社に勤務後、2010年退社。2011年『見えないほどの遠くの空を』で小説家デビュー。2015年『エアー2・0』を発表し、注目を集める。2018年異色の警察小説『巡査長 真行寺弘道』を刊行。シリーズ化されて、「ブルーロータス」「ワルキューレ」「エージェント」「インフォデミック」と続く。『DASPA 吉良大介』シリーズも注目を集めている。近刊に『相棒はJK』、2022年1月に真行寺シリーズのスピンオフ作品『マネーの魔術師 ハッカー黒木の告白』を刊行予定。  
2021.11.28 16:00
NEWSポストセブン
英科学誌『nature』掲載の論文より
「日本語の起源は中国東北部のキビ・アワ農家」 壮大な新説に注目
 日本語の元となる言語を最初に話したのは、約9000年前に中国東北地方の西遼河(せいりょうが)流域に住んでいたキビ・アワ栽培の農耕民だった──ドイツなどの国際研究チームが英科学誌『ネイチャー』に発表した研究論文の内容だ。歴史作家の島崎晋氏は、「事実であれば、何とも壮大」と指摘する。一体どういうことか。 * * * 小室眞子さん、圭さん夫妻の出国が決まり、騒動にひと段落がついたかに思えた11月13日、まったく異なるジャンルのニュースがネット上をざわつかせた。〈日本語の原郷は「中国東北部の農耕民」 国際研究チームが発表〉──同日午後3時に配信された『毎日新聞』電子版の見出しである。また、これより前に配信された韓国紙『ハンギョレ』日本語版の見出しには次のようにあった。〈韓国語と日本語の起源、遊牧民ではなく遼河の農夫たちの言語〉。 どちらの記事も、国際的な権威をもつ学術誌『ネイチャー』に同月10日に掲載された論文「トランスユーラシア語族のルーツは農業にあった」をネタ元とするが、この論文タイトルを見ても、多くの日本人はチンプンカンプンに違いない。「トランスユーラシア語族」という専門用語からして、馴染みがない人がほとんどだろう。昭和生まれの人には、「ウラル・アルタイ語族」の「アルタイ語族」の言い換えと説明すればよいかもしれない。言語学上の専門用語である。 言語学のなかには、特定言語の起源を探求する比較言語という分野がある。ドイツを中心とする近代ヨーロッパで盛んになったが、ヨーロッパ発の学問である性格上、インド・ヨーロッパ語族(インドからヨーロッパの大半の地域に分布する語族)の調査・研究は著しく進展しながら、それ以外はおざなりの状態が続いた。東アジアで言うなら、日本や中国、韓国など出身の研究者層が質と量の両面である程度厚くなるまで待たねばならなかった。 その間に、インド・ヨーロッパ語族以外の枠組みの見直しも進んだ。ウラル語とアルタイ語を同系とする見方はおかしく、アルタイ語という命名もヨーロッパ中心の価値観が露骨だというので、「横切って」を意味するラテン語を借りて「トランスユーラシア語族」という名称が新たに創作された。   なぜ「横切って」なのか。それは同系に分類される日本語、韓国・朝鮮語、ツングース語(満州語など)、モンゴル語、チュルク語(トルコ系諸言語)の話し手が、東は日本列島・カムチャツカ半島から西は小アジア・バルカン半島南端まで、ユーラシア大陸を横断する形に広く分布していることに由来する。 トランスユーラシア語族の言語は、原則として主語、目的語、述語の順であること、接続詞と関係代名詞をもたず、修飾語が名詞の前に来ることなどを大きな特徴とし、同語族に分類される言語は98を数える。同語族自体が、いつ、どこで、どのような環境下で生まれたかについては、さしたる根拠もないまま、4000年前の中央アジアの遊牧民とする説が、定説のごとく受け止められてきた。 ときに新説が提示されることがあっても、それで議論が深まることも、定説が塗り替えられることもなかった。言語学と考古学、人骨から得られる遺伝子を元にした古遺伝学の3分野が別個の歩みを続け、互いの利点を活かしあう方法が見いだせずにいたからである。 ところが今回、ドイツのマックス・プランク人類史科学研究所を中心にした、中国、日本、韓国、ヨーロッパ、ニュージーランド、ロシア、米国など11の国・地域、35の研究機関により構成された国際チームが、長年の懸案を克服。11月10日付『ネイチャー』で、トランスユーラシア語族の起源に関する新説を公表したのだった。 端的に言えば、今から約9000年前、中国東北部を流れる西遼河一帯でキビ・アワの栽培を営んでいた農耕民の言語がトランスユーラシア語族の起源で、彼らの移住により東西へ拡散したというのが新説の骨子である。 従来の「牧畜仮説」に対し、今回の新説は「農耕仮説」と呼ぶべきもので、具体的な点はともあれ、世界的に見れば少数派である「目的語の次に述語がくる」文法の誕生と確立が、キビ・アワ栽培の普及と連動していたとする指摘は実に興味深い。  キビ・アワ栽培は同時期の黄河流域でも行なわれていたが、シナ・チベット語族(インドのカシミール、チベット、中国大陸、台湾、中央アジア、東南アジアにわたる地域に広く分布する語族)の祖が栽培していたのは西遼河のもとは別種で、その違いがあるがゆえに、両者はときに隣接・混住しながら、一方の言語が他方を完全に併呑するに至らなかった。これがすべて事実であれば、何とも壮大な展開である。 偏狭なナショナリズムの点から、多分に感情的異論が噴出することも予想されるが、現在の科学水準に照らして、今回の研究結果が確度の高いものであることは疑いなく、今後とも分野の枠を超えた共同作業で、日本語の起源をはじめ、トランスユーラシア語族全体の歩みがより具体的に判明することを期待したい。【プロフィール】しまざき・すすむ/1963年、東京生まれ。歴史作家。立教大学文学部史学科卒。旅行代理店勤務、歴史雑誌の編集を経て現在は作家として活動している。『ざんねんな日本史』(小学館新書)、『いっきにわかる! 世界史のミカタ』(辰巳出版)など著書多数。最新刊に『鎌倉殿と呪術 怨霊と怪異の幕府成立史』(ワニブックス)がある。 
2021.11.24 07:00
NEWSポストセブン
BTSに習近平はどう対応する(写真/Getty Images)
英雄となったBTS「日本人が大谷に熱狂するように韓国人はBTSを誇らしく思う」
 アジア発グループとしては、異例の世界的大ブレークをはたしたBTS。ビルボードで1位を獲得し、国連では3年連続でスピーチをした。なぜ、ここまで大きな存在になったのだろうか──。北海道大学大学院准教授の金成玟さんは、「BTSには世代を超えた価値がある」と話す。「ヒップホップ文化を受け継いだBTSは、世間の偏見に対抗しつつ自分のアイデンティティーを主張してきました。しかし彼らの大きな違いは、世界を敵と味方に分けるのではなく、むしろより多様なものに広げたところにあります。しかもアジア人男性であることは世界の音楽産業では絶対的に不利な条件。彼らは成長を重ねることで、その秩序に挑み続けた。そうした姿勢に共感した世界中の人たちが、年齢や国籍、宗教やジェンダーなどを超えていまのグローバルな現象を起こしているのではないでしょうか」(金さん) 事実、BTSが2020年6月に発した「私たちは人種差別に反対します。私たちは暴力を非難します」というメッセージには、90万件近いリツイートと210万件を超える「いいね」がついた。彼らが黒人差別に抗議する運動「Black Lives Matter」に100万ドルを寄付すると、アーミー(BTSのファン)も同額を集めて寄付した。 こうした社会的な動きも、ファンの門戸を広げるきっかけの1つだろう。韓国の音楽や文化に詳しいライターのDJ泡沫さんが説明する。「国連やビルボードの“お墨付き”を得たことで、『この子たちってすごいんだ』と中高年が興味を持ちやすくなりました。加えて、『Dynamite』の振り付けがキャッチーだったため、TikTokを見た低年齢層にも支持が広がり、老若男女が一気にファンになった。韓国ではBTSは単なるアイドルではなく、オリンピックの金メダリストのような英雄です」 英雄たちは韓国の国家そのものを動かす立場に立つ。作家の康熙奉さんはこう話す。「世界基準になることに執着する韓国人にとって、BTSは自尊心を高めてくれる存在です。日本人が大谷翔平選手の活躍に熱狂するのと同じような感覚で、韓国人はBTSを誇らしく思っている」 配信開始から4週間で世界1億4200万世帯が視聴し、Netflix史上最大のヒットとなっているドラマ『イカゲーム』の成功も、BTS抜きには語れないという。「“BTSを生んだ韓国が作った”という触れ込みが、韓国の映画やドラマを視聴してもらう手助けになっています。韓国は小さな国なので、海外で需要がなければ国が成り立たない。BTSがこれほどの世界的ブレークを果たしたのは想定以上ですが、世界に打って出ようという韓国人の野心と執念が成功につながったことは間違いない」(康さん) 韓国では18~28才の健康な男性は約20か月間の兵役に就く義務があるが、国家経済を牽引する立場となったBTSについて、兵役の特例措置も論じられている。 2020年12月には、最年長のJINが満28才になることを受け、文化体育観光省の推薦したポップアーティストの兵役開始を30才まで延期できる、通称「BTS法」と呼ばれる法案が国会で可決された。「アーミーや国民の中には、兵役を免除してほしいと望む声もあれば、特別扱いすることが彼らにとって負担になると心配する声もある。また、彼ら以外にもグローバルな影響力を持つアーティストが増えていることを考えると、より広い視野で社会的合意を得ることが大事でしょう。そのためにも、BTSだけの問題というより、大衆文化界全体の問題として扱う必要があると思います」(金さん) JINは来年30才になる。政治的側面でも、BTSがますます注目を集めることは間違いない。 誰も予測できないほどビッグな存在へと成長を続ける彼らには、この先、どんな展開が予想されるだろうか。「コロナ禍で世界の音楽産業がダメージを受ける一方、彼らの存在感がこれだけ目立っているのは、以前からプラットフォームを築きながらファンとコミュニケーションを重ね、積み上げてきた経験と信頼があるから。世界をよりよいものに変えていこうとするBTSとファンの人たちの強い意志があるかぎり、その音楽的、社会的影響力は拡大し続けるはず」(金さん) この言葉に呼応するかのように、タレントのYOU(57才)はラジオの中で、「BTSの笑顔を見ると、少しでもきれいな心で人に接しようって、すごく優しくなった」と語っている。 ダンサーのARATAさんは、エンターテインメントで世界をひとつにしてほしいと話す。「BTSには、いつか国際宇宙ステーションでパフォーマンスしてほしい。地球を眺めながら、『ぼくらはひとつだ』と、ダンスで平和をもたらしてほしい。そういう象徴であり続けてほしいです」 コロナ禍という困難に陥った世界で、アーミーに限らず、BTSの存在は多くの人を励ました。まだ彼らの魅力に気づいていないなら、むしろラッキーだ。この先、ダイナマイトのような爆発力で、人生に新たな輝きが訪れるかもしれない。※女性セブン2021年11月25日号
2021.11.17 07:00
女性セブン
BTSに習近平はどう対応する(写真/Getty Images)
BTS、世界的成功を支える「メンバーの結束力」と「ファンとの接続方法」
 世界の音楽チャートを席巻し、国連で3年連続スピーチをするなど、アジア発のグループとしては、いまだかつてないほどの大ブレークをはたしたBTS。そんな彼らがデビューしたのは2013年6月のことだ。 韓国の大手芸能事務所「JYPエンターテインメント」から独立した音楽プロデューサーのパン・シヒョクが、2005年に立ち上げたばかりの事務所「Big Hitエンターテインメント」からデビューした。韓国の音楽や文化に詳しいライターのDJ泡沫さんが語る。「Big Hitには、2PMの兄弟グループとしてデビューした2AMが所属しており、韓国チャートで1位を取るほどの人気でした。なので、BTSがデビューする以前から、中堅事務所としてそこそこの知名度がありました。ジョングクとJ-HOPEは練習生として2AMのメンバーのバックで踊ったりもしていましたよ」 もともと、Big Hit初の本格ヒップホップグループを作る構想があり、すでに事務所に所属していたラッパーのRMを中心に、韓国内で大規模なオーディションが行われていた。SUGAはこのオーディションの合格者、J-HOPEはオーディション会場で熱心にダンスする姿が関係者の目に留まり、スカウトされた。「ですが、途中からダンスのできるアイドルグループにコンセプトが変わっていきました。まだ中学生だったジョングクは複数の事務所からスカウトを受けていたのですが、RMのラップを見て、Big Hitに入りたいと思ったそうです」(DJ泡沫さん・以下同) JINは最初、東方神起が所属するSMエンターテインメントに路上スカウトされたが、それを断った後、2回目にスカウトされたBig Hitに所属。「2回も芸能事務所からスカウトを受け、『自分ってイケてるんだ』と思ったそうです。彼はメンバーで唯一、インターネット上のオンライン大学ではなく、建国大学という優秀な大学に通い、大学院も修了しています」 その後、VとJIMINもオーディションに合格。グループの「ビジュアル担当」と呼ばれるVはデビューまで顔が明かされず、事務所の最終兵器だったのだろうと噂される。 高校の現代舞踊でトップの成績だったJIMINは、学校の教師にすすめられBig Hitのオーディションを受けた。 こうして7人がそろった。「BTS」というグループ名は海外活動向けにつけられた英語名であり、韓国での正式なグループ名は「防弾少年団(バンタンソニョンダン)」。ファンの間では現在も「バンタン」の愛称で呼ばれている。「同時期にデビューした新人が少なかったこともあって、デビュー直後から熱心なファンがついていました。ただ、この時期は本国の韓国よりも、一時期の韓流ブームを経てK-POPが定着しつつあった日本での注目度の方が高かった印象です」 本格的なブレークは、デビュー3年目に発売したミニアルバム『花様年華Pt.1』のヒット。収録曲が韓国の音楽番組で初の1位を獲得した。「繊細でナイーブな少年の内面について描いた作品が支持され、韓国でも一躍トップスターとなりました」 デビュー当時は、その熱狂ぶりが「過激」と騒がれることもあったBTSのファン(アーミー)だが、2016年に大きな結果を出す。ビルボードチャートの「最もリツイートされたアーティスト」として、ジャスティン・ビーバーを押さえて世界1位になったのだ。「まず、BTSのデビュー当初に強かったヒップホップ要素がアメリカでは受け入れられやすかったこと。デビュー当時からアメリカでライブやファンミーティングを行っていたため、アメリカのK-POPファンの中では人気が高かったんです。そして、アメリカ、韓国、日本の熱狂的なアーミーたちが一致団結して計画的に大量のハッシュタグのツイートを仕掛けていた。ほかのグループのファンも同じようなことはやっていますが、アーミーの団結力は飛び抜けていました」 なぜ、BTSのファンがこれほど熱心になるのか。人気の秘訣として挙げられるのが、メンバーの結束力の強さだ。 下積み時代は二段ベッドを押し込んだアパートの一室で共同生活を送り、メンバー全員で車座になって海鮮スンドゥブ鍋をつついた。ブレーク後も2019年末頃まで共同生活を続けていた。「世界的な人気グループになってもメンバーの関係性が変わらず、いつ見てもメンバー同士でわちゃわちゃしています。アメリカのアーミーは、『いままで大勢のグループを見てきたけど、いちばん仲がよさそう』と言っていました。 K-POPグループはブレークするとソロ活動を始めることが多いのですが、BTSはグループ活動を最優先にして、商業的なソロ活動を行わない。商業でソロCDを出すと、売り上げなどでメンバー間の“序列”が見えてしまいますが、そういうことが起きないように意識しているのかもしれません」「BTSファースト」でありながら、メンバーの個性がキラリと光ることもファンの心をとらえる。「IQが高いのにドジなRM、グループのお父さん的なSUGAなど、それぞれのキャラクターがわかりやすく、漫画やアニメのように立っていることも海外ファンに支持されるポイントでしょう」 もちろん、ハイクオリティーなパフォーマンスは何よりの武器だ。YouTuberとしても活躍するダンサーのARATAさんが解説する。「BTSとほかのグループの違いは『速度感』だと感じます。彼らは、すごくスピード感を出すタイプの踊り方をしていて、髪の毛をブンブン振り回しながら踊っている。だけど、全員の動きがピッタリとシンクロしています。初めてBTSを見たとき、すごくそろっているチームだなと思いました」 指先、足先まで完璧を追求する動きは、プロが見ても惚れ惚れする完成度だという。さらに、ダンスのことがわからない人が見てもハッとする部分がある。「パフォーマンスと表情がセットになっていることもポイントです。『血、汗、涙』や『FAKE LOVE』などストーリー性のある楽曲では笑顔を見せず、切なそうな顔で心境を伝えます。羽生選手など、表舞台に立つ人たちがBTSにハマるのは、その“見せ方”の巧みさが理由でしょう」(ARATAさん) BTSのファンであることを公言している小泉今日子(55才)も、アメリカのテレビ番組で『Dynamite』のパフォーマンスをするVの姿を見て、「この表情すごくない?」と驚いたと明かしている。 日本では、BTSのパフォーマンスに注目が集まりやすく、楽曲やダンスの雰囲気をBTSに“寄せて”いるようなグループも目立つ。 だが、彼らの人気の本質は、パフォーマンスの完成度ではないと、ニューヨーク在住の文筆家・佐久間裕美子さんが言う。「BTSが成功したのは、ファンとの接続方法にあると思います。彼らのファンの中心はZ世代と呼ばれる若い人たちですが、この世代は“きれいじゃないといけない”“毎日違う服を着なくちゃいけない”といったSNSのプレッシャーや気候変動の脅威、経済的な不安など、さまざまな困難を抱えて生きています。現代に生きることに不安や孤独を感じ、ストレスを抱えるファンたちに、BTSのセルフラブのメッセージが響く。それによって孤独や不安、生きづらさから救われると感じるファンが多い。 これまでのセレブリティーは憧れの対象だったのに対して、BTSはファンに寄り添い、一緒に立ってくれるアイドル。ファンと“人間愛”でつながっている。だから『ファンダム』(ファンたちによって作られる大規模なコミュニティー)が出来上がり、アーミーたちが固く結束してBTSを押し上げるのでしょう」 そうしたアーミーたちの行動や思いに対し、BTSはしっかりと反応する。『僕らは防弾:永遠の』という曲では、自分たちは7人だけではないと、アーミーの存在の大きさを歌い、今年7月に発売された新曲『Butter』では、人文字で「ARMY」を体現する振り付けがあり、これまで支えてくれたアーミーたちへの感謝を表現した。 グループとファンの「絆」を象徴するのが、2019年4月のワールドツアー最終公演でRMが行った、以下の「伝説のスピーチ」だ。《ぼくは自分自身を愛するために、皆さんを利用していた気がします。なので1つだけ言います。ぜひぼくを利用してください。ぜひBTSを使ってください。あなた自身を愛するために。なぜなら、みなさんが毎日ぼくたちに、ぼくたち自身を愛することを教えてくれるからです》 BTSとアーミーとの結束は、お互いに愛し合うことで深まっていくのだ。※女性セブン2021年11月25日号
2021.11.16 11:00
女性セブン

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