地震一覧/3ページ

【地震】に関するニュースを集めたページです。

台所で調理中にグラッときたらどうする!?
外出先で大地震に被災したら… 逃げ込むべきは「築年数が浅い建物」
 約2万人の死者・行方不明者を出した東日本大震災から11年が経った。地震が多い日本列島。今後発生するといわれている南海トラフ地震では、甚大な被害が予想されている。いざという時に備えて、地震発生時のシミュレーションをしておくことも重要だ。 もしも、外出先で被災したならば、まず、転倒、落下、移動するものから離れ、しゃがみこんでかばんなどで頭を守るか、頑丈そうな机があれば、下にもぐって身の安全を確保する。加えて、いま自分がいる建物が安全かどうか判断する必要がある。その基準は、建物が新しいか古いか、だ。防災アドバイザーの高荷智也さんが説明する。「最新の建物は、免震→制震→耐震の順に地震に強いとされ、そのような建物でかつ鉄筋コンクリート造りならば、火災でも起きない限り、私ならその場にとどまります。しかし、1981年6月以前に認可を受けた旧耐震基準の建物は、木造、ビル、店舗を問わず倒壊する恐れがあります。いかにも古そうな木造建物の1階に自分がいたら、真っ先に外へ出ますね」 大事なことは、揺れを感じた瞬間、周辺で安全な場所を素早く見極めることだという。そのためには日頃から安全な場所をチェックする習慣をつけておいた方がいい。「私自身、ホテルにチェックインしたら最初に避難経路や階段の位置を確認します。揺れてから考えて判断し、避難経路を探すのでは間に合いません」(高荷さん)映画館で鑑賞中に地震発生…「映画館やホールなどは、耐震性や耐火性が一般の建物よりも高いため比較的安全。慌てて移動する必要はありません。私なら荷物などで頭を保護し、姿勢を低くしてかがみます」(高荷さん) 怖いのが、 出入り口付近の“群集雪崩”だ。「早く逃げたいでしょうが、私なら周囲の状況が確認できるようになった最後に逃げます」(高荷さん)ブロック塀の前で… 過去の震災でもブロック塀が倒壊し、多数の死傷者が出た【*】。【*1995年の阪神・淡路大震災では倒壊したブロック塀の下敷きとなり、14名が死亡。また、首都直下地震におけるブロック塀の予想倒壊件数は、約8万件に上るとされている(2013年12月公表の内閣府「首都直下地震の被害想定と対策について」より】「コンクリートブロック1個の重さは約10kg。それが頭上に落ちてきたらひとたまりもありません。私なら、ブロック塀や大きな看板からは転がってでも距離を取るか、頭部を守ります。かばんがあれば頭上に掲げ、それもなければ手で頭を抱えます」(災害危機管理アドバイザー・和田隆昌さん)商店街で買い物中に… 被災時の商店街では、窓ガラスや外壁、看板などが落下し、自動販売機などが転倒。さらに、歩道に車が突っ込んでくる可能性も。特に昭和に多く造られたアーケード商店街は設備が古いところが多く、警戒が必要だ。「私なら、古い木造建物の店内にいたらすぐに外に出て、頭を守って身をかがめます。近くに築年数が浅い頑丈そうな建物があれば迷わず入ります」(高荷さん) 日頃から建物の新旧は確認しておこう。歩道橋を渡っているときに…「横断歩道橋は頑丈に造られているため構造物そのものが崩落する可能性は低い。ですから慌てて下りようとはしませんが、強い揺れで自分自身が振り落とされたり転倒したりしないよう、姿勢を低くして手すりなどにつかまります。そして、揺れが収まってから移動します。下りるときなども余震に備えて、手すりなどにつかまりつつ、慎重に行動しますね」(和田さん)オフィスで仕事中に… 免震構造の建物でも、高層階ほど激しく揺れる。新しいビルなら割れにくいガラスを使っているケースが多いため、気をつけるべきは窓付近よりキャスター付きのコピー機やキャビネットなどの転倒・落下だ。「私なら、身動きが取れる段階で、廊下やエレベーターホールなど危険物が少ない場所へ移動し、身をかがめます。時間がないなら、家具や落下物を避けて、その場にしゃがみこむか机の下にもぐります」(高荷さん)コンビニエンスストアで…「コンビニエンスストアの店内は、重量のあるものを高く積まない、棚は低くして固定する、強度のあるガラスを使うなど、震災の被害を最小限にする工夫がされています。とはいえ、酒のボトルなどが並ぶ棚の前や、コーヒーマシン、揚げ物用のショーケースなどがあるレジ前からは、距離を取ります」(和田さん)レストランで食事中に…「レストランでは、調理場から火災が発生する恐れがあります。高層階は揺れが大きく、店内の食器や棚の倒壊などで負傷する可能性が高い。地下も非常口の状況によっては火災からの避難が遅れる可能性もあります。ですから高層階や地下は避け、店に入ったら非常口を確認。選べるなら避難経路に近い席を確保します」(和田さん)取材・文/桜田容子 イラスト/大窪史乃、尾代ゆう子※女性セブン2022年3月24日号
2022.03.14 16:00
女性セブン
ブレーカー
大地震、避難のために家を離れる時にすべきこと「まずはブレーカーをオフ」
 約2万人の死者・行方不明者を出した東日本大震災から11年が経った。大地震はいつ起きてもおかしくない。家の中で被災したときのために、どんな対策ができるのだろうか──。危機管理アドバイザーの国崎信江さんは災害時に備え、廊下や、それ以外の部屋に、極力ものを置かないようにしているという。置いたとしても、次のようなことを心掛けている。「わが家の場合、時計は紙製、写真立ては布製、花瓶はゴム製など、当たっても大事に至らない材質のものにしています。気に入って買ったものが、家族を脅かす凶器になったらいやですから、家の中のものは、すべて災害時のことを考えて選んでいます」(国崎さん・以下同) また、夜中に被災したとき、火が出たときなどを想定し、こんな備えも。「各部屋には、コンセントに差し込み、停電時は自動点灯する足元灯を設置し、いざというときに真っ暗にならないように工夫しています。揺れでストーブなどが倒れ、火が出たときに備え、火に投げ込めば消火できる、ペットボトル型の消火剤も家のあちこちに置いています。さらに、トイレや浴室など、閉じ込められやすい場所や玄関には、居場所を知らせて助けを呼ぶための笛、飲み水、簡易トイレ、ラジオ、ランタンなどの防災グッズを備え付けています」 災害時は何が起こるかわからない。備えは何重にもしておくとより安心だ。夜、寝室で寝ている時に地震発生… 倒れる家具の下敷きにならないよう、床に伏せ、枕で頭を守って図のように身を丸めるのが原則だという。そのとき、大型家具がない側に移動すること。「慌てて暗闇の中で動くと、つまずいてけがをする可能性も。私なら、床に伏せて揺れが収まるのを待ちます。寝るときははだしなので、わが家の寝室には、はだしで踏むと危険なガラス製品などは置かないようにしています」浴室でシャンプー中に…「湯船に入っているときは、慌てて出ようとすると転倒することもありますから、その場でふちにつかまります。洗い場で髪などを洗っていた場合は、そのままドアを開けて脱衣所へ。わが家ではバスローブを脱衣所に常備しているので、それを羽織り、泡のついた髪はタオルで拭い、身をかがめます。このとき、脱衣所にドアがあるなら閉じ込められないよう開けるか、ドアのすき間にタオルを差し込みます」トイレを使用中に…「トイレや浴室は、揺れでドア枠がゆがむと閉じ込められるリスクがあります。ですから、私なら即座にトイレのドアを開け、動けるようであれば廊下に出ます。タンクがあるトイレの場合は、タンクのフタが外れないよう、手で押さえて揺れが収まるのを待ちます」 トイレがいちばん安全という人もいるが、閉じ込められるリスクがある以上、「トイレ=安全な場所」ではないと覚えておこう。家を離れるときは…「避難所に行く必要がある場合、私ならまずブレーカーを落とします。地震で停電したからと、家電の電源を落とさずにいると、通電した際に発火することがあるからです。このほか、ガスや水道の元栓をしめます。家中の窓や扉の鍵をかけてシャッターを下ろすなど防犯対策もしてから出ます」。 玄関に、行き先を記した紙を貼る人も多いが、これは防犯上おすすめしないという。離れた家族との連絡は… 被災時、もし家族が離れていたらどう連絡を取り合うか。「被災地にいる人同士の電話はつながりにくいのですが、被災していない他県へかける分には比較的つながりやすいんです。また、NTTの『災害用伝言ダイヤル』【*】を使うのもおすすめ。うちの場合、親戚を共通連絡先に決めておき、家族それぞれが親戚に電話をして居場所を伝えたり、伝言を聞いたりできるよう、あらかじめ打ち合わせしています」。【*災害時、「171(イナイ)」に電話し、ガイダンスにしたがって被災地にいる家族など連絡を取りたい人の電話番号をダイヤルすると、30秒以内の伝言を残したり、伝言を確認することができる】取材・文/桜田容子 イラスト/尾代ゆう子※女性セブン2022年3月24日号
2022.03.13 07:00
女性セブン
子供部屋でグラッときたら!?
家の中での大地震対策 家庭内避難場所や各部屋に「安全ゾーン」の設置を
 約2万人の死者・行方不明者を出した東日本大震災から11年が経った。大地震はいつ発生するかわからない。家の中で被災した場合、まず重要なのが、落下物や転倒物から離れることだ。危機管理アドバイザーの国崎信江さんは言う。「震度5以上の強い揺れの場合、リビングなら、テレビや花瓶、引き出し、時計などが文字通り“飛んで”きます。キャスター付きの棚などは家中を走り回ります。いずれもぶつかれば大けがにつながりますから、もし私が家の中で被災したら、わが家で最も安全な“廊下”にすぐ出ますし、家族にもそうするよう伝えています」(国崎さん・以下同) あらかじめ、何も置いていない、落下物の心配のない安全な場所を作っておけば、いざというとき迷うことなく避難できる、というわけだ。国崎さんの家ではそれを廊下にしているが、廊下がない場合は、すぐに逃げやすい玄関を“家庭内避難場所”にしてもいいという。「わが家の場合、揺れがひどくて動けず、廊下までたどり着けないケースにも備え、各部屋ごとに、“ここにいれば何も落ちてこないし、飛んでこない”という安全ゾーンを作っています。室内で身を守るときは、雑誌でもクッションでもいいので、身近にあるもので頭を守ることも、家族間で共有しています」子供部屋で地震発生…「子供部屋は、そこで寝て、学び、遊ぶため、机やベッド、本棚といった大型家具やおもちゃなどのものが多く、台所の次に危険な場所になりえます。ドアの前に本棚が倒れ、出口がふさがれてしまうこともあるため、私なら、台所同様、揺れたらすぐに部屋から出ますし、子供にも日頃からそのように伝えます」 乳幼児と一緒の際は、子供に覆いかぶさって守ろう。子供だけで留守番中に地震発生…「築年数の浅い鉄筋コンクリートのマンションや耐震性のある家で、かつ津波や土砂災害などの心配がないエリアであれば、親が帰るまで家の中の安全な部屋で待つように伝えておきます。倒壊の恐れがある古い木造の戸建てや災害危険区域内など、避難の必要がある家なら、“防災袋を持って隣の〇〇さんを訪ねて、一緒に避難所に向かってね”と打ち合わせしておきます」取材・文/桜田容子 イラスト/尾代ゆう子※女性セブン2022年3月24日号
2022.03.12 16:00
女性セブン
台所で調理中にグラッときたらどうする!?
大地震発生、家の中で最も危ない場所は「台所」 火の確認は後回しでOK
 約2万人の死者・行方不明者を出した東日本大震災から11年。今後必ず起こるとされている南海トラフ地震の被害規模はその10倍以上、死者は32万人を超えると予測されている。そんな巨大地震だが、どこで起きるかわからないという恐怖もある。家の中で最も危ない場所は台所だと、危機管理アドバイザーの国崎信江さんは言う。「台所には、箸やフォーク、火、包丁、食器など、危険なものがたくさんあります。ですから、地震が発生したら“1秒で台所から出る”ことを意識してほしい。私だったら、火がついていても消さずに台所から離れ、わが家では最も落下物が少なく、物が置かれていない廊下に避難します」(国崎さん・以下同) 火を消さないと火事にならないか心配だが──。「1997年の設置義務化により、ガスコンロにはすべて、震度5程度の大きな揺れを感知すると自動的にガスの供給が止まる安心機能がついています。ですから、まずは自分の命を優先し、火の確認は、揺れが収まってから行いましょう」 国崎さんの自宅では、台所の安全性を高めるための“仕掛け”も施しているという。「冷蔵庫などの家電には滑り止めや転倒防止金具を付けているのはもちろん、揺れで落ちかねない包丁は、使ったらすぐに洗って引き出し内に収納するよう習慣づけています」 家具・家電が倒れたり物が落ちてきては逃げる際の邪魔になる。日頃から逃げやすいよう対策をしておくことも大切だ。ダイニングで食事中に被災したら… テーブルの上も台所同様、箸や熱い汁物など危険なものが多い。「4本脚で固定された丈夫なテーブルであれば、その下にもぐって頭部を守る選択肢もありますが、脚が固定されていないなら倒れる恐れもあります。私なら、座布団などで頭を守りながら、物を置いていない廊下に避難します」 地震の際はテーブルの下へという固定観念は持たない方がよさそうだ。取材・文/桜田容子※女性セブン2022年3月24日号
2022.03.11 16:00
女性セブン
霊峰・富士が元旦に見せた神々しい威容に、新年のご多幸を祈る
火山灰から身を守る方法 富士山噴火に備えて準備すべきものリスト
 昨年、富士山噴火の現象別に被害範囲や時間予想を読み解く『富士山ハザードマップ』が改定された。富士山が噴火すれば私たちの暮らしに災難が降りかかるが、それは“この世の終わり”ではない。始末が悪い火山灰に対処し、生き延びるための秘策を探ってみよう。物流停滞の状態でも生きながらえるには 富士山噴火に備えるには、「火山噴火の備えと地震と共通の備え、両方が必要」と言うのは、危機管理アドバイザーの国崎信江さん。「地震は比較的短いですが、火山の噴火は何年も続くことがあり、終わりが見えない可能性もあります。もし大量の火山灰を降らせた場合、物流が止まっても大丈夫なように、私は最低1か月程度暮らせるだけの食料とカセットコンロを確保しています。 具体的には米30kgとネットに入った根菜類を常備しています。ガスは止まらない可能性もありますが、わが家は停電時使えないIH。しかしコンロと鍋があればご飯を炊くことができます。 麺類は水をたくさん使うインスタント麺よりも乾麺がおすすめで、乾麺のそばやパスタにすれば茹で汁で手を洗ったり、トイレを流すときにも再利用できるんです」 あらかじめ生産者と産直契約しておくのも有効だ。体内にも部屋の中にも火山灰を入れない工夫も 桜島の火山灰と日常的につきあっている鹿児島市では、宅地内降灰指定置場が市内に6870か所あり、左写真のような「克灰袋」を配布し火山灰を収集するシステムがあり、さらに消防車両(消防車や救急車など)198台のうち54台が4WDだ。しかし噴火に無防備な首都圏ではそうしたシステムがない。 とはいえ、火山灰は乾けば舞い上がるため、各自が庭や軒先に降り積もった灰を集め袋に入れる必要がある。 側溝などに水で流すと下水管の中でコンクリート状に固まって詰まらせる可能性が高い点には注意したい。地球学者で京都大学名誉教授・特任教授の鎌田浩毅さんはこう話す。「火山灰をすくう作業中や、外出時にはマスクにゴーグル、帽子、レインコート、手袋、タオルなどで灰を吸い込まないようガードすることが大切。帰宅したら玄関先でしっかり払ってから入室する必要があります」 火山灰は水を含めば重くなって始末に悪く、環境や健康に害を及ぼす厄介者だ。武蔵野学院大学特任教授で火山学者の島村英紀さんがアドバイスする。「ぜんそくなど呼吸器疾患がある人はわずか1mm以下の降灰量を吸い込むだけで症状が悪化するといわれています。 コロナ対策のマスクより防塵マスクが有効。また、コンタクトレンズと眼球の間に入り込むと角膜を傷つけるのでメガネを用意した方がいいでしょう」 マンションの場合、エントランスで体についた火山灰は落とせるが、ベランダの灰を階下に落とすのはNGだ。「一戸建てならビニールハウスの材料で軒先に風防室のようなブースを作るのも一案。とにかく部屋に灰を入れないことが大事なので、サッシや吸気口は養生テープで目張りして、さらに濡れタオルを当てておくと、微細な灰の侵入が防げます」(国崎さん) 火山灰に負けない対策や準備を、いますぐ始めた方がよさそうだ。取材・文/北武司※女性セブン2022年3月3日号
2022.02.23 16:00
女性セブン
富士山噴火の被害はどこまで及ぶ?(時事通信フォト)
富士山噴火、都市への降灰問題 交通、物流、ライフライン…どう影響するのか
 富士山噴火の現象別に被害範囲や時間予想を読み解く『富士山ハザードマップ』が2021年、17年ぶりに改定された。富士山噴火は本当に起こるのか? そして噴火後に首都圏を襲う最悪の事態を知り、そのときに備えよう。 あの秀麗な富士山が火を噴く可能性はあるのか? 武蔵野学院大学特任教授で火山学者の島村英紀さんは言う。「富士山はフィリピン海プレートが陸地に入り込んだ位置にあり、そのプレートは年に約4.5cmずつ南東から北西に動いています。そのひずみが跳ね上がる南海トラフ巨大地震はいつ起こってもおかしくなく、その地震が富士山のマグマだまりに影響し、噴火する恐れがあります」 地球科学者で京都大学名誉教授・特任教授の鎌田浩毅さんはその周期と規模についてこう解説する。「そもそも富士山は50〜100年ごとに噴火してきた活火山です。1707年の富士山の宝永噴火は南海トラフで起こったマグニチュード(以下、M)9クラスの宝永地震の49日後に発生しました。富士山は誕生してから10万年とされ、人間なら約10才。東日本大震災で20の活火山が噴火スタンバイ状態になり、富士山もその1つ。前回は200年ぶりの噴火でしたが、今度は300年ためて5割増しの大噴火になる可能性があります」 富士山噴火と密接に関連する南海トラフ巨大地震は日本人がこの列島に住み着いてから13回、周期的に繰り返している。「日向灘の地震がM6.8なら南海トラフ地震の臨時情報が出たはずですが、M6.6だったので評価検討会が開催されませんでした。M6.8も6.6も誤差の範囲で、本来開催すべきだったと考えます」(島村さん・以下同) したがって、Xデーに備えて、一刻も早く警戒&準備する必要があるが、その危機感が広く共有されているとはいえないのが現状だ。「富士山ほど科学監視されている火山はありませんが、どのデータがどう変わると噴火するかは未解明です。もし宝永噴火並みの火山灰が降れば、都心に約2時間で降灰し、都市機能をまひさせ、大混乱を招くでしょう」 その影響は下記のように交通や通信、電気、上下水道、建物まで実に多方面にわたる。網の目のように張り巡らされた流通が遮断され、被害は日本全国に及ぶ。首都圏に暮らす人々にも多大な影響を及ぼす。実際にどんな影響があるのか、分野ごとに紹介する(中央防災会議 防災対策実行会議「大規模噴火時の広域降灰対策検討ワーキンググループ」の資料を参考に、編集部で作成)。■鉄道 地上路線は微量の降灰で信号や踏切の動作不良、電車位置が確認できないなど安全面の不具合が起こって運行見合わせに。地下鉄も需要増加による車両・作業員不足で輸送力が低下する。■道路 火山灰による視界不良や、道路上に積もった灰でタイヤがスリップするなど、安全な通行が困難に。また、鉄道・航空交通の停止に伴う交通量増などにより速度低下や渋滞が発生する。■物資 微量の降灰でも、人口の多い地域では買い占めにより、食料や水などの売り切れが発生。また道路や鉄道など交通に支障が生じると、物資が届かず、店舗の営業が困難に。■人の移動 鉄道が動かなくなると、駅に滞留者があふれる。さらに、通行止めや渋滞など道路交通に支障が生じると、移動手段が徒歩だけになってしまう。火山灰で足元が悪く事故に遭う可能性も。■電力 火山灰によって鉄塔や電柱、電線などに異常が起きると停電が発生する。また、道路の通行不能により被災現場へ行けず、復旧までに時間がかかる。■通信 降雨でアンテナに火山灰が付着すれば通信障害が起きる。また、長引く停電で携帯基地局の非常用バッテリーが切れれば、基地局の機能が停止する。■上水道 多摩川水系や荒川水系、さらに浄水場に降灰すると、水質が悪化し、水道水が飲用に適さなくなる。停電エリアでは浄水場が機能停止し、断水が発生する。■下水道 火山灰を洗い流したり、雨が降ったりすると、下水管の中で火山灰が詰まって、雨水があふれる。さらに停電でポンプや設備が燃料切れになると下水道使用が制限される。■体育館など(長スパンの建物) 体育館など建物を支える支柱と支柱の間が長く、勾配の緩やかな屋根を持つ大型建物の場合は、積雪荷重を超えるような降灰重量がかかると壊れる可能性大。■木造住宅 木造建物の場合、30cm以上の火山灰が堆積し、さらに雨が降って重たくなると倒壊する可能性が。雨が降らなくても45cmの堆積厚で壊れることも。取材・文/北武司※女性セブン2022年3月3日号
2022.02.19 16:00
女性セブン
自宅を銭湯にして、震災後のまちに集う場を 熊本市「神水公衆浴場」
自宅を銭湯にして、震災後のまちに集う場を 熊本市「神水公衆浴場」
熊本地震のあと、県庁そばの中心部一帯は、一時ゴーストタウン化した。地名でいうと熊本県熊本市中央区神水。神の水と書いて「くわみず」と読む。ここで生まれ育った黒岩裕樹さんは、まちに少しでも前向きな空気を生み出せたらと、自宅のお風呂を公衆浴場にすることを思い立つ。2020年8月、熊本市でおよそ20年ぶりに新しい銭湯「神水公衆浴場」が誕生した。自宅のお風呂を銭湯にまちづくりの世界では「人と人のつながり」や「コミュニティ」が大事といったことがよく言われる。だがコワーキングスペースなど交流施設としてつくられた場所が、いつまでたっても閑散としている…なんて話も多い。それはそうだ。場所だけ人工的に用意されても、そう都合よく人と人の関係が生まれるものではないからだ。その点、銭湯は少し前提が違っている。誰でもお風呂には日常的に入るので、まず必然性がある。リピート性もある。常連さん同士、言葉を交わすうちに顔見知りになり、おのずと人間関係ができていく。そんな営みが自然に起こる。熊本地震の後、まちが閉塞的な空気に覆われていたとき、新しい拠点としてお風呂をつくろうと考えたのが、構造設計士の黒岩さんだった。黒岩さんは、職業柄、神水の地盤下には、阿蘇の伏流水が流れていることを知っていたそうだ。「何百年も前に阿蘇山が噴火して、溶岩がこの辺りまで飛んできているんです。その岩盤を貫通した下に阿蘇の水が流れています。地名が神水というだけあって、水質は温泉に近い。震災の後は、やっぱりこの辺りも人が減って閑散としていたので。空気を少しでも変えたかったんです」黒岩さんが住んでいたマンションは、地震で大規模半壊の状態になった。子どもの校区を考えると遠くに離れない方がいいと、近くに新しい家を建てることにした。「もともとうちは小さな子どもが4人いるので、子どもたちをお風呂に入れるのも一苦労。ユニットバスにはおさまらないので、どうせ広い風呂をつくるなら、周囲の友人家族も使えるような銭湯にしたらどうかと考えました。あとはこの土地の資源である水を活かして、まちに開放的な場をつくれたらと思ったんです」どんなお客さんが?神水公衆浴場は、交通量の多い東バイパスに面している。白木の木造の入り口にはまだ新しいのれんがかかっていた。いまは本業に無理がかからないよう、週に4日、16時~20時の4時間のみ営業している。週末は黒岩夫妻が番台に座るが、平日は黒岩さんの両親が手伝ってくれている。お客さんの8割は常連さん。多くは歩いてか、自転車で通える範囲に暮らすご近所さんで、仕事帰りに立ち寄る人も多い。「想像していたより若い人も来てくれます。20代の単身者や30代のファミリー層、それに高齢の方も。始めてみて驚いたのは、お客さんにありがとうって言われることです。客商売なので、本来こちらがありがとうございます、なんですけど。お年寄りは家のお風呂を洗うのも大変みたいで『助かるわ』と言われます」この地域にもかつては2軒の銭湯があったが、震災後、廃業してしまった。20年ぶりに開業した銭湯だった。開店の16時になると、さっそく常連さんらしい年配の女性が入ってきた。料金は350円。「いまお湯、熱い? 私熱いのだめなんよね~」と、女性はのんびり言いながら、女風呂の方へゆっくり歩いていった。間を置かず、今度は若い男性の二人連れが入ってくる。日に15~20人。一週間に述べ100人ほどのお客さんが訪れる。なぜ、銭湯だったのか?直接的なきっかけは、やはり2016年の熊本地震だった。黒岩さん自身、2~3カ月の断水を経験したという。「九州は温泉も多いので、車で20~30分も走れば温泉があるし、近くには健康ランドもあります。でも当時はどこもすごい行列で。洗い場までお湯があふれていたんです。それが数日ではなく数カ月続きました」ここ数年の間に起きたほかの災害の現場でも、断水やお風呂に入れないことは、人びとを疲弊させる要因の一つだった。地下水を汲み上げるしくみがあれば、電力が復旧し次第、お風呂も提供できる。そして、銭湯をつくろうと思った理由にはもうひとつ。黒岩さんは構造設計士として、多くの仮設住宅をつくる現場を目の当たりにしたのだった。「できていく仮設住宅は窓が小さくて閉鎖的な空間で。窓の面積が少ない方がコストが抑えられるからそうなるんですが。余震が続いて、精神的にも落ち着かないのに、そんな仮設に住む人たちのことを考えると、やりきれなくて」少しでもほっと落ち着ける開放的な場所を提供できたら。さらにまちの閉塞的な空気を前向きに変えられたら。そう願って始めた銭湯だった。銭湯は、防災拠点にもなる神水公衆浴場は、建物の1階部分が銭湯で、2階が黒岩さん家族の住居になっている。一階脇の木の螺旋階段をのぼると、居住空間であるドーム状の空間に出た。天井の高い空間が仕切られていて、リビングの裏手が寝室。居住空間の真下が銭湯にあたるため、広い一間でもあたたかかった。黒岩さん夫妻は二人とも、構造設計士。内装や意匠は手がけないため、設計はワークヴィジョンズの西村浩さんに依頼した。居住スペースの天井に用いたCLT同士の継ぎ手、バタフライ構造などは黒岩さんたちの提案によるものだ。「自宅なので少しでもコストを抑えられたらと思って、金物を使わない施工法にして、自分も大工の一人になって一緒に工事しました。職人をやっている友人も多いので、幼稚園のころの同級生から大学時の友人たちまで総動員で手伝ってもらいました」この建物の設計デザインは、2021年のグッドデザイン賞で、大賞に次ぐ金賞を取った。グッドデザイン賞のページにはこんな記載が掲載されている。設計士の西村さんによる解説だ。「災害頻度が年々高まる状況に、行政頼みの防災対策には限界が見える。小さくても地域全体に数多く散らばる拠り所が必要で、住宅の基本機能を開く・シェアする災害支援住宅を目指した」お風呂は人びとの憩いの場であると同時に、災害時にはよりどころにもなる。黒岩さんの妻、ヒロ子さんはこう話した。「防災とまで言えるかはわからないですけど、結果的にそうなったらいいなと思っています。実際震災のときに不安だったのは、知らない人同士が、防災拠点である学校や体育館に集まって寝泊まりしなきゃいけなかったこと。そのなかに一人でも知り合いが居れば、ぜんぜん気持が違うと思うんです。熊本市は比較的都会なので、田舎のような人づきあいがあるわけでもない。でも銭湯があることで、近所の方と挨拶したり、顔見知りができると、非常時に違ってくるのかなと思います」黒岩さんも続けて言う。「熊本の震災だけでなく、記憶にあるだけでも雲仙の噴火や、大雨による水害など、災害って数年に一度は起こっていますよね。だからそう稀(まれ)な話ではないのかなと思います」ただ、いくら自宅の延長とはいえ、お風呂は家のなかでもっともプライベートな空間。一般開放することに抵抗はなかったのだろうか。そう聞くと、ヒロ子さんは言った。「大賛成でもなかったですが、絶対反対ってほどでもなくて。私も建築をやってきたので、考え方としてはわかるなと。ただ、いまは子どもがまだ小さいので、正直それどころではなくて。反対もしなかったけど、いまはお風呂より子育てが大変(笑)。それが落ち着いたらもう少し日常生活のルーティンのなかに、銭湯の仕事も自然と組み込めるようになると思います」結局、被災後の建設ラッシュに奔走するうちに自宅の建設は後回しになり、銭湯のオープンは地震から5年後の2020年8月になった。だが震災前に比べて店が減り、マンションなどの増えた街並に、銭湯は新しい風を入れた。お風呂を共同で使うのはあたりまえの文化だった取材で訪れた日、番台に座っていたのは黒岩さんのお父さん。当初は銭湯を始めることには大反対だったのだそうだ。「突然風呂屋をやると言うもんだから。そりゃあもう家族どころか親戚一同びっくりでした。風呂屋といえばいまは厳しい産業でしょう。危ないんじゃないかと思ったけど、本人の意思がかたいもんだから。でもまぁオープンして1年半過ぎましたし、徐々にではありますが成果が出ているかなと。いいお風呂でしたと言って帰られるお客様の反応からそう思いますね」黒岩さんは言った。「もともと共同浴場って九州には普通にあった文化なんです。みんなで管理費を出し合って共同でお風呂を使っていた。いまも小国や鹿児島のほうには残っていますが、それと同じ話だと思えば、それほど特別なことではないのかなと」(黒岩さん)帰りぎわ、肝心のお風呂に入らせてもらった。浴室は天井が高く広々としていて開放感があって気持いい。何といっても、お湯がよかった。温泉の水質に近いと黒岩さんが話していただけあって、骨の髄まで緩めてくれるようなお湯だった。時間になって、お父さんと交代するためにお母さんもやってきた。お母さんはこんな話をしてくれた。「いろんなお客さんが来られるけど、こちらもちゃんと目を見て話すから、変な人は来ないですよ。『ゆっくり入ってきてね~』とか『いま一人だから泳げるよ~』とか冗談を言ったりしてね。最初は反対しましたけど、いまは楽しんでやらせてもらっています。歳を取ると人と出会うことも減って、世界が狭くなるでしょう。だからむしろこうして人と話す機会をくれてありがとうねって、今は息子たちに言っているんです」●取材協力神水公衆浴場(甲斐かおり)
2022.02.18 07:00
SUUMOジャーナル
アップデート版 異常変動全国MAP2022 Vol.1
大分・宮崎M6.6の次に注意すべきは? MEGA地震予測による5つの最新警戒ゾーン
 深夜に九州を襲った大きな揺れ。大分県と宮崎県で震度5強、熊本県と高知県で震度5弱を記録した1月22日の日向灘地震を、3日前に警告していた人物がいる。 本誌・週刊ポストで数々の地震予測を的中させてきた測量学の世界的権威の村井俊治・東大名誉教授だ。1月19日の有料メルマガ「週刊MEGA地震予測」で、〈2月17日頃まで〉と時期を明示し、宮崎、熊本、鹿児島3県の〈陸域または海域〉での地震に警戒を呼びかけたのである。村井氏が語る。「九州は衛星画像の解析などで地震の前兆と思われる異常が観測されましたが、今回の地震でエネルギーは放出され切ったと考えています。しかし、異常が見られる地域は他にもある。この2か月、山梨県や和歌山県、小笠原などで震度5クラスの地震が相次ぎましたが、今後も各地で大地震が起きる可能性は高いと考えています」(以下、「」内は村井氏) MEGA地震予測は、国土地理院が全国約1300か所に設置した電子基準点のGPSデータを使って地表の動きを捉え、基準点の1週間ごとの上下動の「異常変動」、長期的な上下動の「隆起・沈降」、東西南北の動きの「水平方向の動き」という3つの主な指標を総合的に分析する。一昨年以降はAI人工知能)による危険度判定や、衛星画像の解析も導入した。 それらを駆使して弾き出した最新の予測結果が、MAPで示した5つの警戒ゾーンである。北海道東部警戒ゾーン この地域では、2003年に最大震度6弱の十勝沖地震が起きている。「『隆起・沈降』では、根室半島から釧路までの広い範囲で沈降が続いています。これは大地震の直前に確認されることが多い兆候です。 また1月中旬には釧路にある民間の基準点で『異常変動』が見られました。この地点で異常が観測されるのは非常に稀です。衛星画像の解析でも、九州と同じ異常が観測されている。再び十勝沖地震と同程度の地震が起きるのではないかと危惧しています」東北警戒ゾーン 太平洋側は震度5クラスの地震の常襲地帯だが、日本海側も要注意だ。「東北は昨年9月初旬に『異常変動』がまとまって見られました。一斉に異常変動が観測される現象は、大地震の起きる半年ほど前に見られる傾向があります。『隆起・沈降』では、岩手県、宮城県、福島県が隆起する一方、12月上旬から秋田県と山形県の沈降が進み、その境目の奥羽山脈周辺に歪みが溜まっていると考えられる。東北でも衛星画像の解析で地震の前兆と思われる異常が観測されています」南西諸島警戒ゾーン 沖縄県にも、いつ大地震や大津波が襲ってきてもおかしくない。「『水平方向の動き』では、1月中旬に沖縄本島と大東諸島が通常の向きとは正反対の動きになっています。これまでにない動きなので周辺が不安定です。南西諸島は最新のAIによる危険度判定で全国1位となっており、注意が必要です」北信越警戒ゾーン ここでは、新潟県にある電子基準点「高柳」で7センチ以上の「異常変動」が観測されている。「『隆起・沈降』では、この数か月、石川県、福井県の両県全体と長野県の一部が沈降しています。『水平方向の動き』では、長野県と新潟県の県境周辺で動きの向きが変わっており、その境目に歪みが溜まっている。北信越は最新のAIによる危険度判定でも東北に次ぐ全国3位となっています」首都圏警戒ゾーン 昨年10月の千葉県北西部地震では、首都圏の広い範囲で震度4以上の揺れが観測された。「『隆起・沈降』では、北西部地震の震源である千葉県中央部だけが地震後も広い範囲で沈降しています。『水平方向の動き』では、1月中旬に千葉県南部、神奈川県、伊豆諸島で大きな動きが見られ、昨年12月初旬には富士山でも周囲と異なる大きな動きが見られたので、警戒が必要です」 そのほか今回の警戒ゾーンには入らなかったが、衛星画像の解析で和歌山県、三重県で異常が見られた。いつ起きてもおかしくない巨大地震。引き続き最大限の注意を払いたい。※週刊ポスト2022年2月11日号
2022.01.31 11:00
週刊ポスト
地震解析ラボ代表が指摘 千葉県南東沖、北海道・青森など4つの警戒エリア
地震解析ラボ代表が指摘 千葉県南東沖、北海道・青森など4つの警戒エリア
 本誌・週刊ポスト2022年1月14・21日号(1月4日発売)で「地震解析ラボ」代表の平井道夫氏が「小笠原諸島」で地震の兆候があると指摘。その言葉通り、1月4日に小笠原諸島の父島近海を震源とするM6.1、震度5強の地震が発生した。予測を的中させた平井氏が、今後警戒すべきエリアを緊急警鐘する。「我々のデータ解析では、小笠原諸島エリアで再び大きな地震が起こる可能性が高いと示されています。今回は震源の深さが77kmと深かったため大きな津波は発生しませんでしたが、震源が浅ければ津波が発生する確率も高くなります。引き続き警戒が必要です」(平井氏。以下「」内同) 平井氏が率いる地震解析ラボは、2010年に電磁環境学の研究者で電気通信大学名誉教授の早川正士氏を顧問として発足。早川氏退任後もさらなるデータの蓄積によって予測精度を向上させ、情報発信を続けている。 予測の的中率は60~80%を誇り、過去には2020年6月に発生した千葉県東方沖地震(M6.1)などの地震も予測を的中させた。 この高い予測精度を支えているのが、地震解析ラボならではの様々な観測データの活用と独自の解析システムだ。「私たちが主に活用している観測データのひとつが、弊社が特許を取得している『VLF/LF電波』などの電磁気観測網のデータです。これまでの内外の研究で、地震発生の1週間ほど前から震源域の上空にある電離層(※大気の上層にあって電波を反射する層)に異常が生じることが分かっており、その異常はVLF/LFという特定の周波数の電波で捉えることができます。 弊社は、国内3か所と海外3か所の送信局から発信される電波を、国内10か所に設置した観測地点でキャッチし、モニタリングしています」 加えて、地震発生前に震源付近の地層で起こる微小破壊とともに発生する『ULF電磁放射』と、電離層の電子数の異常変化を観測する『GPS衛星電波』も活用しているという。「この3つの観測データと防災科学技術研究所が公開している地震計データや弊社が蓄積している過去20年分の地震発生データを統合させて、それらを独自のアルゴリズムで解析することで、1~2週間程度先に起こる短期の地震を予測しています」 そして最新の解析の結果、小笠原諸島以外にも「この1月中に地震を警戒すべき」4つのエリアがはじき出された。千葉県勝浦、大阪府は警戒 平井氏が要注意エリアとして挙げたのは、以下の通りだ。■北海道・青森エリア 東北地方では東日本大震災後もM5 以上の地震が頻発しており、「引き続き警戒が必要」と平井氏は語る。 なかでも最新の観測データが地震発生の可能性を示しているのが、その北側のエリアだ。「特に北海道の十勝地方から岩手県沖では、電磁気観測網や地震計などのデータでも大きな変動が見られます。海底を震源とする地震が起こる可能性が高く、沖合で発生した場合には大きな津波が想定されるので、準備を怠らないでください」■千葉・茨城エリア 昨年10月7日、千葉県北西部を震源とするM5.9の地震が発生し、東京都足立区などでも最大震度5強の強い揺れを観測した。 この周辺では今も大きなデータ変動が観測されているという。「千葉県の勝浦にある送信局からのデータでは、VLF/LF電波が大きく変動しており、茨城県から千葉県の南東沖にかけてのエリアで、M5 ~5.5クラスの地震が予想されるので、用心が必要です」■中部エリア「昨年12月3日、山梨県東部・富士五湖を震源とする震度5弱の地震が発生しましたが、内陸では山梨県のほか、長野県、岐阜県で電磁気観測網などでの地震の前兆となるデータが観測されています。 また沿岸エリアでは、特に駿河湾でも異常を示すデータが観測されており、M5クラス、最大震度5程度の地震がすぐに起こる可能性があります。海底で発生すれば沿岸部は津波に襲われる恐れがあるので、警戒を怠らないでください」■紀伊水道エリア 週刊ポスト前号で平井氏は、小笠原諸島のほかに紀伊水道エリアも警戒地域に挙げていたが、地震発生の可能性は高いという。「以前は三重県の東方沖や和歌山県の南部と北部のデータ変動が目立っていました。しかし今は、紀伊半島と四国の間の海域である紀伊水道でも、2019年から急に電磁気観測網や地震計などのデータで観測数値に異常が目立つようになっています。 他の地域と比べると、直近の大きな変動データはありませんが、紀伊水道から大阪府、兵庫県あたりまで異常データが観測され始めているので注意が必要です」 これらの警戒エリアは、いずれも津波による大きな被害も想定される。 冒頭の小笠原諸島の地震では幸い津波は起きなかったが、気象庁は会見で「津波に関する情報が出るまで8分ほどかかった」ことを明かし、そのうえで津波情報の発表を待つことなく避難するよう呼びかけた。 平井氏が語る。「地震予測は“発表して終わり”ではありません。最も重要なのは、地震予測が出た後に具体的な準備をすることです。我々が短期の地震予測をスタートさせたのは、1年、10数年といった長期の予測では、みなさんが地震への緊張感を持続することができないという背景もありました。 今回、警戒すべきデータが出たエリアに住んでいる方々は、地震への備えを怠らないようにしてほしい」※週刊ポスト2022年1月28日号
2022.01.19 19:00
週刊ポスト
【動画】地震解析ラボ代表が指摘 千葉南東沖など4つの警戒エリアは
【動画】地震解析ラボ代表が指摘 千葉南東沖など4つの警戒エリアは
 「地震解析ラボ」代表の平井道夫氏が今後警戒すべきエリアを指摘しました。 1つ目は、昨年10月7日、千葉県北西部を震源とするM5.9の地震が発生し東京都足立区などでも最大震度5強の強い揺れを観測した「千葉・茨城エリア」。 平井氏は「茨城県から千葉県の南東沖にかけてのエリアで、M5~5.5クラスの地震が予想される」と指摘。 そのほか、「北海道・青森エリア」「中部エリア」「紀伊水道エリア」などが要注意。 これらの警戒エリアは、津波による大きな被害も想定されています。【↑ 上の写真クリックで動画へ】
2022.01.19 07:00
NEWSポストセブン
「週刊ポスト」本日発売! 世界が認めた「値上がり株」ほか
「週刊ポスト」本日発売! 世界が認めた「値上がり株」ほか
 1月17日発売の「週刊ポスト」はコロナ第6波のなかで知っておくべき日本の強みと、知らないと危険な警告が詰まった“楽しくてちょっと怖い”大躍進スペシャル号。オミクロン株の最新情報はもちろん、政治、経済、健康、エンタメ、そして気になる大地震の予兆までわかる高密度の情報が満載です。今週の見どころ読みどころ◆世界と戦える日本企業はこれだ!――2022年の相場を牽引する30銘柄コロナ禍の2年で日本の競争力はさらに低下したともいわれ、それを裏付けるように株式市場も世界から取り残されてきた。しかし、世界経済が再興するなかで特殊な技術、突出した世界シェアを持つ日本企業に注目が集まっている。相場の専門家4人が、世界と戦える日本の上場企業30社をピックアップし、それぞれの特徴と成長展望を解説する。◆林芳正・外相がついに決起! 安倍元首相と「因縁の山口戦争」が始まった永田町では、早くもポスト岸田の話題がかまびすしい。ここにきて一番手に名が挙がるようになったのが林芳正・外相だ。4世議員で東大卒、海外経験も豊富で英語に堪能、さらにピアノとバンド活動が趣味という絵に描いたようなエリートだが、これまで自民党の権力闘争では蚊帳の外に置かれていた。その原因のひとつが同じ山口出身の安倍晋三・元首相だ。安倍家と林家は3代にわたるライバル関係にあり、これまでは権勢絶頂の安倍氏が林氏を抑え込んできた。その山口の政界地図に地殻変動が起き始めた――。◆スシロー社長インタビュー「ネタに徹底的にこだわって1兆円売る」回転ずしチェーン最大手のスシローは、ライバル他社がコロナ禍で赤字転落するのを横目に業績を順調に伸ばしてきた。その秘密は「ネタに徹底的にこだわってカネをかける」経営にあった。メーカー顔負けの自動化、無人化を進め、AI管理で食品ロスを低減、その分をネタにつぎ込んで顧客の支持を獲得した。飲食チェーンにとって夢の「年商1兆円」も現実味を帯びてきた。◆コロナの女王・岡田晴恵「オミクロン株の正体」25問25答テレビでも歯に衣着せぬ発言で国民の信頼を得る岡田晴恵・白鴎大学教授が、かつてないスピードで感染を広げるオミクロン株の最新知見を解説する。本当に弱毒化しているのか? 3回目接種の効果は? これが「最後の波」になるのか?◆NHK和久田麻由子アナは「有働由美子を超えた」!昨年はオリンピックの開会式中継、紅白司会など節目の大イベントを一手に担った和久田アナは、テレビ業界で「有働由美子を超えた」とまで絶賛されるようになった。知性と美貌を併せ持つ女子アナは数多いが、そのなかでも突出した評価を受ける彼女は何が違うのか。お茶の間のヒロインを徹底解剖する。◆1・4小笠原地震を的中! 次は「1月中に千葉県南東沖が危ない」本誌前号で最新技術を駆使した地震予測を公開した「地震解析ラボ」の平井道夫・代表は、1月4日の小笠原地震(マグニチュード6.1)をピタリと的中させた。その予測の特徴は、1~2週間先に起きる短期の予測を実現したことで、的中率はなんと60~80%に達している。本誌は平井氏に緊急追加取材し、1月中に危ない4つのエリアを公開する。なかでも注意が必要なのは茨城県から千葉県の南東沖にかけてのエリアだった。◆柳楽優弥ほか監督・共演者が明かす「怪優・大泉洋という男」大河ドラマ『鎌倉殿の13人』では悪役となる源頼朝を熱演し、ますます評価が上がる大泉洋。もとは北海道の劇団出身のローカルタレントだったが、いまや紅白司会に大河出演、主演映画やドラマも目白押しの大スターだ。その魅力と実力を監督や共演者たちが語る。映画『浅草キッド』でダブル主演した柳楽優弥は、あの評判となったシーンが「本番直前に大泉さんがアドリブを提案した」と証言した。◆<袋とじ企画>朝日新聞が3度も紹介したバカ売れ「陰毛カッター」いまや女性たちにとって、アンダーヘアを整えることは身だしなみの常識だ。そのお手入れのために開発され、累計80万個も売れたカッターがある。使い方は簡単、一気にバサッとカットできて毛並みはきれいに整う、そして伸びてもチクチクしないという優れものだ。どんな商品なのか? 使い方まで一目でわかるグラビア特集。◆ライバル永瀬拓矢・王座「藤井聡太は努力10、才能10の最強棋士です」将棋界の8つあるタイトルの半分を手中にした藤井聡太。3冠の渡辺明と並んでその前に立ちはだかる永瀬・王座は、棋界でも殊に「将棋の鬼」として知られる。その永瀬が愛知まで足しげく通って練習対局の相手にしてきたのが藤井だ。「自分には才能がない」と公言する永瀬は藤井の強さをどう見ているのか。最大限の賛辞を贈ると同時に、「5冠は簡単ではない」と不敵な読みも披露した。◆サプライズ復活した中島知子が激白「私が大分に移住した本当のワケ」年末の『ぐるぐるナインティナイン』にサプライズ出演してナイナイや視聴者を驚かせた元オセロの中島知子が本誌に激白。洗脳騒動などを経て芸能界を去り、今は大分でローカルタレントとして活動しているが、なぜ大分だったのか、この間に何があったのか初めて語った。◆夢のアルツハイマー治療薬「アデュカヌマブ」非承認の舞台裏世界初のアルツハイマー型認知症の根本治療薬として世界から注目されたエーザイのアデュカヌマブは、いち早くアメリカで承認、EUでは承認見送りという衝撃を経て、日本でもまた承認されないという結果になった。なぜなのか。その効果を高く評価する専門医の声、エーザイの見解を交えて、これまでの経緯と今後の展望をリポートする。◆<カラーグラビア>進化する「狩猟ビジネス」「猟師」といえば、かつては孤独に野生動物と闘う屈強な山男をイメージしたが、いまや「業界」は大きく変わっている。この10年で若いハンターが急増し、なかには大学卒の女性も。野生の鳥獣肉「ジビエ」がグルメ食材、健康食材として注目を集めていることから、ハンターの需要は高まるばかりだという。変わりゆく猟師の世界とジビエ業界に密着した。◆<徹底図解>腎臓と膀胱を鍛える「健康おしっこ体操」健康長寿のためには、死ぬまで働き続ける腎臓と膀胱を健康に保つことが重要だ。頻尿や尿漏れ、腎機能低下による人工透析のリスクは誰にもある。適切な検査・医療や生活習慣はもちろん大切だが、簡単な体操やつぼマッサージでリスクを遠ざけることもできる。専門医の監修のもと、毎日続けられるトレーニングを詳しく紹介する。◆アメリカの大規模調査で判明した「血圧を上げる薬」実名リスト日本では血圧を下げる降圧剤を常用する中高年が少なくないが、その効果を帳消しにする、あるいは逆に血圧を上げてしまう薬が漫然と使われている実態がある。アメリカの大規模調査で判明した「要注意な薬」には、おなじみの解熱鎮痛剤や花粉症薬、漢方がズラリと並んだ。効果が下がれば薬量は増える。薬漬けの原因は実は薬にあったという恐怖の真実。◆結局のところ「牛乳は体にいい」のか「悪い」のかかつては「完全栄養食」ともてはやされた牛乳だが、最近では胃腸に悪いとか日本人には合わないとか、果ては「がんになる」「むしろ骨を弱くする」といったネガティブな説まで広がっている。政府や自治体が先頭に立って牛乳消費を呼び掛けるいま、「牛乳の本当の話」を知っておく必要がある。徹底取材した。※全国の書店、コンビニで絶賛発売中!
2022.01.17 07:00
NEWSポストセブン
地震予測の専門家が2022年に警戒すべきエリアを語り合った
2022年の地震リスク 専門家は「南海トラフより不気味なのは紀伊水道」
 日本列島が揺れ続けた2021年。首都直下地震や南海トラフ地震、さらには日本海溝・千島海溝での巨大地震の発生リスクが指摘されるなか、地震予測の専門家である平井道夫(地震計・電離圏解析)、内山義英(地電流予測など)、服部克巳(ULF電磁場予測など)の3氏が2022年に警戒すべきエリアを語った。【前後編の後編】内山:多くの国民が懸念している南海トラフ地震は、今後30年以内に発生する確率は70~80%と想定されていますが、すぐにでも発生するという説は否定されつつあります。どう考えていますか。服部:色んな地震研究者の方のデータを見ていると、ここ2、3年で起きるということはないと考えていますが、20~30年以内にはおそらく起きるでしょう。 南海トラフ地震と総称される東海・東南海・南海地震は、過去に何度も同時あるいは連動して、発生しました。そのなかでも、東海沖と高知沖は長期にわたって地震の震源がない『空白域』であり、この先地震が発生する確率が高いと言えます。平井:我々は南海トラフ地震に備えて関西から四国も重点的に観測していますが、不気味なのが紀伊半島と四国の間の海域である紀伊水道です。 以前は、三重県の東方沖や和歌山県の南部と北部が目立っていましたが、一昨年から急に紀伊水道の数値に異常が目立つようになりました。この動きが即、南海トラフ地震につながるとは言えませんが、観測データからは紀伊水道エリアの注意信号が読み取れます。服部:どこが発端になるかで南海トラフ地震の被害規模は大きく変わりますが、最も警戒すべきは津波です。南海トラフは陸地が近く、住民に警報が行き届く前に津波に襲われる可能性があります。実際、国は高知県黒潮町の想定津波を34.4mと見積もっているほどで、沿岸の住民は事前に十分な津波対策を練っておくことが必須です。平井:私は1週間以内の地震を予測するので何十年も未来のことは明言できませんが、地震の歴史や統計から言えば南海トラフ地震は起きてもおかしくないのでしょう。 南海トラフと同様に関心の高い首都直下地震はどう予測しますか?内山:元禄関東大震災から大正の関東大震災までは220年ほどの間隔がありました。だから大正の関東大震災から100年ほどの現在、M8クラスの大地震がここ数十年の間に来るとはサイクル的に考えづらいです。服部:しかし、房総沖などの地震活動が活発になっています。2011年の東北地震以降の関東の地盤への応力(物体が外から力を受けた時、物体の内部に発生する力)のかかり方を見ると、地震が起こりやすくなる方向に働いているので、首都直下地震はいつ起きてもおかしくない状態になりつつあります。警戒しておくに越したことはないでしょう。平井:東京23区では、昨年末の短期間に震度1~2クラスの地震が複数回発生しました。これまでにない頻度で、東京の地下で何かが起き始めているのかもしれません。内山:首都圏の地下にはおよそ20の活断層が隠れています。私はM8クラスの地震が起きるとは考えていませんが、M7程度の一回り小さな直下地震なら、今年の春までに起きても不思議ではないと考えています。2000年以前の建物は崩壊も平井:南海トラフでは津波の話がありましたが、首都直下地震では何が危険になるのでしょうか?服部:まずは揺れですね。東日本大震災は、首都圏ではゆっくりと大きな揺れでしたが、直下地震ではバイブレーションのように細かく激しい揺れに襲われます。家電や家具が部屋の端から端まで吹っ飛ぶので、頭などを打つ怖れもあります。内山:私は免震建築の専門家ですが、心配なのはビルの揺れです。2000年の耐震基準改正前に建てられたビルは、M7クラスが来たら一部崩壊するかもしれません。 さらに懸念されるのが木造住宅です。東京の下町の木造住宅が密集する地域は家屋が軒並み倒壊して、火災や水害も発生する可能性が高いです。服部:首都直下地震のあとは火災の被害も広がると考えられます。震源が近いので緊急地震速報が鳴る前に激しい揺れに見舞われて、防災行動をする猶予がありません。 さらに大変なのは電熱式の暖房器具で、揺れで倒れたあとは一時的に電気が消えますが、そのあとに電気が復旧すると、そこから発熱して床などが燃える怖れがあります。地震発生後に自動的にブレーカーが落ちない家庭では、注意が必要です。平井:そしてこの座談会の最後に言いたいのは、地震予測のゴールは、地震発生を予測することではなく、予測をもとに準備を重ねて地震の被害を少なくするということです。 できるだけ多くの人に地震発生前に行なうべき準備や対策を確認して、日々地震に備えてほしいです。(前編はこちら)【プロフィール】平井道夫(ひらい・みちお)/1947年生まれ、東京都出身。地震予測「地震解析ラボ」代表取締役。地震計、VLF/LF電波などの観測データに基づいて、1週間以内の地震予測を行なっている。内山義英(うちやま・よしひで)/1957年生まれ、静岡県出身。地震研究機関「ブレイン」代表。地電流、低周波音などの観測データに基づいて、1週間以内の地震予報を行なっている。服部克巳(はっとり・かつみ)/1965年生まれ、愛知県出身。千葉大学大学院理学研究院地球科学研究部門教授。同大学でULF電磁場などの観測データに基づいて地震の監視・予測を行なっている。※週刊ポスト2022年1月14・21日号
2022.01.14 07:00
週刊ポスト
富士山噴火に備える企業はどんな施策を?
富士山噴火対策 国交省は無人ショベルカーで溶岩流・土石流にブロック移設
 富士山麓で地震が頻発し、「富士山が噴火するのではないか」と不安が広がっているなか、一般市民以上に危機感を抱き、着々と備えを進めている大企業は少なくない。降り注ぐ火山灰から岩石、そして保険まで、各企業が本気で取り組む噴火対策に迫る。 富士山麓の山梨県南都留郡忍野村に本社工場を置く電気機器メーカーのファナックは、工作機械用コンピューター数値制御装置や産業用ロボットで世界首位のシェアを誇る企業だけに、万一噴火で機能が停止すれば世界中の関連企業に影響を与えかねない。 同社はかつて有価証券報告書の事業リスクに、「地震、富士山噴火、火災、大雪、台風等の自然災害や、長時間にわたる停電その他の事故が発生した場合に、当社の開発、製造能力に対する影響を完全に防止、または軽減できる保証はありません」と明記。2012年1月に富士五湖周辺を震源とする震度5弱の地震が発生した時には、慌ててファナック株を売った投資家も多かった。 それから9年――事業リスクから「保証はありません」の文言は消え、対策は着々と進んでいるようだ。「当社では富士山噴火を非常に大きなリスクとして位置づけており、本社工場(山梨県)以外に、壬生工場(栃木県)、筑波工場(茨城県)などに生産拠点を新設・拡充し、生産拠点の複数化を進めています。 そのほか、保守部品の保管倉庫やサービス情報システムのサーバー設置拠点の複数化、データセンターの二重化などの対策を取っています」(ファナック広報部) 噴火によって企業が被る多大な被害に対し、“費用面での対策”を用意している会社もある。 損保ジャパンは2016年、業界初の金融派生商品「富士山噴火デリバティブ」の販売を開始。気象庁が富士山について「噴火警戒レベル3」以上、および「噴火の発生」を発表した場合に、事前に定めた一定金額を支払うという内容だ。無人機でブロックを運ぶ 2014年の御嶽山噴火では、火口付近に居合わせた登山者58人が命を落とした。もし富士山の登山シーズンに噴火が起きれば、それをはるかに超える犠牲者が出る可能性がある。 その時に備え、日本工営や京セラなど多くの企業が共同で立ち上げたのが、一般社団法人「富士山チャレンジプラットフォーム」だ。 同法人の代表理事で、日本工営社員の田中義朗氏は、「以前は、富士山が噴火した時に登山者や観光客をどう把握し救助すれば良いのか、がまったく考えられていなかった」と話す。「現在は、他の企業も賛同してくださるようになり、行政や国の研究機関などの協力も得て、2018年に日本工営を含む11社が集まって社団法人を設立しました。 活動としては、登山者にビーコンという発信機を持ってもらい、行動をリアルタイムで把握する調査を行なっています。こうしてデータを集めることにより、退避施設を富士山のどこに作れば良いかの判断も可能になり、被害が起きやすい場所や時間帯なども把握できるようになりました」(田中氏) 国の噴火対策も急ピッチで進められている。国交省の中部地方整備局・富士砂防事務所では、最新の技術を駆使した対策を講じている。「富士山北麓と南麓にコンクリートブロックを合計2万個備蓄し、噴火による土砂災害が生じた際に、危険な箇所は無人機のショベルカーを遠隔操作してブロックを溶岩流や土石流などの経路に移設する計画です。 集落への到達を食い止め、被害を最小限に抑えるよう日々準備を整えております」(富士砂防事務所) 様々な対策を講じる企業や国。富士山噴火は決して与太話ではなくなってきている。※週刊ポスト2021年12月24日号
2021.12.15 16:00
週刊ポスト
京王電鉄の除灰カート(写真提供/京王電鉄)
企業の富士山噴火対策 三菱地所は火山灰想定のビル運営管理の手順を策定
 富士山麓で地震が頻発し、「富士山が噴火するのではないか」と不安が広がっているなか、一般市民以上に危機感を抱き、着々と備えを進めている大企業は少なくない。降り注ぐ火山灰から岩石、そして保険まで、各企業が本気で取り組む噴火対策に迫る。 いつ来てもおかしくない富士山噴火。被害を最小限に抑えるべく対策を着々と進めている大企業がある。 三菱地所は今年11月11日、東京駅近辺の大手町・丸の内・有楽町に所有する約20棟のビルを対象に、火山灰を想定したビルの運営管理の手順を策定した。 同社はすでに地震や風水害に対する行動手順を定めていたが、噴火対策にも本腰を入れた格好だ。「同エリアに1時間5mmのペースで最大10cmの降灰が堆積し、鉄道や道路、物流、電力、上下水道、通信といった各インフラが、降灰開始の数時間後から2週間程度の間で機能停止するという被害状況を想定し、ビル機能の維持や避難誘導、帰宅困難者受け入れなどのタイムラインを定めました。 ハード面では空調機の目詰まり対策としての予備フィルターを確保し、さらに断水に備えて上水・雑用水の水槽貯水量を最大限増加させる施策などを実施します」(三菱地所広報部) 同じく火山灰対策に奔走しているのが、インフラを担う鉄道会社だ。京王電鉄の広報部が語る。「当社では、2014年の御嶽山の噴火などを受けて、線路上に積もった火山灰を除去するカートを2018年度から導入しています。また沿線の拠点に除灰用の備品も配備しています」 富士山の麓を走る新幹線と在来線を抱えるJR東海は、「被害が想定される地域では、列車を進入させない、その地域にいる列車を地域外へ移動させるなどの運転規制を実施します。当社としても、情報収集や勉強を継続しております」(JR東海広報部)という。 富士山にほど近い企業はさらに踏み込んだ対策をしている。静岡市にある建築・不動産会社の小野田産業は、家庭に置く「火山用シェルター」の開発に注力している。同社の小野田良作社長が語る。「アメリカ国防総省の建物の外壁にも使われているポリウレアという耐熱性の高いコーティング剤を発泡スチロールに塗りつけることで、軽さと耐久性を備えたシェルターを実現しました。広さは5~6人が入れる程度で、津波に襲われても水に沈む心配がなく、ヘリコプターで吊り下げて移動することが可能です。充電式の電池により電力を継続的に使え、理論上は食料品と水が持つ限り生活することができます」 同社はすでに、地震や津波に対応できる防災シェルター『SAM』(150万円)を販売しているが、「火山用」の場合、地震や津波対策用のシェルターよりも、越えなければならないハードルが高いという。「販売するには『直径10cm、時速300kmの火山弾(噴火の際に飛散する溶岩の一部)を損傷なく跳ね返せるか』という国の基準をクリアしないといけませんが、現状は直径10cm、時速180kmまでが限界です。もうひとつ難しいのが、火山灰や粉塵の進入をいかに防ぐかで、それらが空気に充満する環境下でも完璧に空気清浄できるかが課題です」(小野田社長) 来年3月には再び実験を行ない、1日も早い製品化を目指すという。※週刊ポスト2021年12月24日号
2021.12.14 16:00
週刊ポスト
地震と富士山噴火の関連性は?
富士山周辺で相次ぐ地震 「いつ噴火してもおかしくない状況」と専門家
 12月3日以降、富士山周辺で地震が相次いだ。3日、午前2時18分に山梨県東部・富士五湖を震源とする震度4の地震が発生すると、午前6時37分には最大震度5弱の地震を観測。富士五湖を震源に、震度5弱以上を記録するのは2012年1月以来のことだった。その直後からネット上では、〈富士山噴火の前兆か〉といった書き込みが相次いでいる。 気象庁は今回の地震について、「富士山の火山活動に直接的な関係はない」としているが、神戸大学海洋底探査センター客員教授で『富士山大噴火と阿蘇山大爆発』著者の巽好幸氏はこう警鐘を鳴らす。「富士山は約300年前にも噴火した活火山で、地下には大量のマグマが蓄積されている状態です。マグマを含む流体の移動によって引き起こされる特徴的な地震も近年起きています。さらに東日本大震災以降、プレートの動きによって地盤が引っ張られているので、マグマが噴出しやすい状態にもある。いつ噴火してもおかしくない状況なのです」 地震調査研究推進本部地震調査委員会が、2020年時点で「30年以内の発生確率が70~80%」としている南海トラフ地震や首都直下型地震など、巨大地震が富士山の噴火を誘発する可能性も指摘されている。 事実、1707年の富士山噴火(宝永噴火)の49日前には、南海トラフでM8.6の宝永地震が発生していた。 仮に富士山が噴火した場合、もたらされる被害は未曾有のものとなる。富士山火山防災対策協議会は今年3月、17年ぶりに「富士山ハザードマップ」を改定した。 それによれば想定される溶岩の噴出量は従来のハザードマップの約2倍。溶岩が噴き出す起点となる地点(側火口)も、従来の44地点から252地点に増え、溶岩流が到達する地域も山梨県、静岡県に神奈川県の相模原市などを加えた3県27市町村に拡大された。 さらに火山灰は南関東を覆い尽くし、静岡県御殿場市で50cm以上、神奈川県小田原市で30~49cm、東京都や千葉県でも2cm以上の降灰が予想されている。「火山灰が2cm積もれば鉄道も車も動けない。新幹線や東名高速、新東名高速はもちろん、首都圏の交通機関も麻痺するでしょう。コンピューターなどの電子機器が動作不良を起こす可能性もあるので、それによる影響も計り知れません」(巽氏) 政府の中央防災会議では停電、水道の水質悪化、下水道の使用制限、火山灰の重みによる建物の倒壊、通信障害、物流の停止による生活物資の入手困難などの影響を想定している。※週刊ポスト2021年12月24日号
2021.12.13 16:00
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