国内

落合信彦氏 起立して君が代斉唱を拒んだ菅直人氏は“不敬”

 タイでは先日、インラック・チナワット氏が同国で初の女性首相に就任し、話題となった。彼女が、汚職事件で有罪判決を受けて国外逃亡中の元首相・タクシン氏の妹だということは周知のこと。落合信彦氏は、パーティでタイのプミポン国王にお辞儀の挨拶をしないなど、国王への敬愛の情が希薄であるタクシン氏を、かつて君が代斉唱を拒否した菅直人氏になぞらえる。

 * * *
 タイにおける構図は、日本の天皇と菅直人との関係と相似形ではないか。日本の皇族は、現在はあくまで「象徴」であり、政治的発言などには強い制約がある。とはいえ、国民からの敬愛は深い。だからこそ、明治維新の時も、GHQによる統治の中でも天皇家の存在が重要なものとなったのだ(もちろん、政争や戦争によって王朝が何度も変わってきたタイと、万世一系の日本の天皇家を完全に同列に論じることはできないが、国民から広く敬われる存在である点は共通している)。

 ところが、東日本大震災という未曾有の災害発生時に首相の地位にあった菅直人という男は、一言で言えばタクシン以上に不敬な政治家であった。それは彼が首相になる前、君が代を起立して歌うことを拒んだことがあるというエピソードからもよくわかる。

 市民活動家から始まり、弱者のためというお題目でバラ撒き政策を打ち出すあたりの政治手法も、タクシンと似ているのが偶然だとは思えない。国王が仮に亡くなれば、タイという国家の未来に暗雲が垂れこめるだろうと(前に)指摘したが、タクシンの代わりはいても、プミポン国王の代わりはいないのだ。それは日本に置き換えても同じである。

 特に今回の震災のような国難において、国民は自分たちの行動の規範となる「ロール・モデル」を求める。原発事故への対応一つとっても、今の日本の政治家がロール・モデルとならないのは明らかだ。ロール・モデルどころか、ロトン(=腐った)・モデルと言ったほうがいい。

 だとすれば、ロイヤル・ファミリーにこそ、その役割を担ってもらうべきではなかったか。被災地を訪れて被災者たちに声を掛け、国民に向けてメッセージを発信してもらう。そういったことがもっと積極的に行なわれていれば、国民がどれだけ勇気づけられたことか。3月に天皇は国民に向けメッセージを発信した。異例のことだったが、テレビ局はニュースではそれを編集して放送した。
 
 有事に国民が何を求めるのか。危機の中で、国家という存在を意識し、国家に貢献したいという気持ちを喚起することこそが、「有事におけるロイヤル・ファミリーの役割」であり、それは別の人物が代われるものではない。
 
 それなのに菅は、自分が一日も長く首相の地位にいることばかり考え、結果、国民は貴重な時間を無駄にした。総理大臣が代わっても、「ロール・モデル」が存在しないままでは、復興への歩みは遅々として進まない。

※SAPIO2011年9月14日号

関連記事

トピックス

映画『アンダンテ~稲の旋律~』の完成披露試写会に出席した秋本(写真は2009年。Aflo)
秋本奈緒美、15才年下夫と別居も「すごく仲よくやっています」 夫は「もうわざわざ一緒に住むことはないかも」
女性セブン
専修大サッカー部を辞任していた源平監督(アフロスポーツ)
《「障害者かと思った」と暴言か》専修大サッカー部監督がパワハラ・経理不正疑惑で辞任していた 大学は「警察に相談している」と回答
NEWSポストセブン
森高千里、“55才バースデー”に江口洋介と仲良しショット 「妻の肩をマッサージする姿」も 夫婦円満の秘訣は「お互いの趣味にはあれこれ言わない」
森高千里、“55才バースデー”に江口洋介と仲良しショット 「妻の肩をマッサージする姿」も 夫婦円満の秘訣は「お互いの趣味にはあれこれ言わない」
女性セブン
日本人パートナーがフランスの有名雑誌『Le Point』で悲痛な告白(写真/アフロ)
【300億円の財産はどうなるのか】アラン・ドロンのお家騒動「子供たちが日本人パートナーを告発」「子供たちは“仲間割れ”」のカオス状態 仏国民は高い関心
女性セブン
【悠仁さまの大学進学】有力候補の筑波大学に“黄信号”、地元警察が警備に不安 ご本人、秋篠宮ご夫妻、県警との間で「三つ巴の戦い」
【悠仁さまの大学進学】有力候補の筑波大学に“黄信号”、地元警察が警備に不安 ご本人、秋篠宮ご夫妻、県警との間で「三つ巴の戦い」
女性セブン
《視聴者は好意的な評価》『ちびまる子ちゃん』『サンモニ』『笑点』…長寿番組の交代はなぜスムーズに受け入れられたのか?成否の鍵を握る“色”
《視聴者は好意的な評価》『ちびまる子ちゃん』『サンモニ』『笑点』…長寿番組の交代はなぜスムーズに受け入れられたのか?成否の鍵を握る“色”
NEWSポストセブン
わいせつな行為をしたとして罪に問われた牛見豊被告
《恐怖の第二診察室》心の病を抱える女性の局部に繰り返し異物を挿入、弄び続けたわいせつ精神科医のトンデモ言い分 【横浜地裁で初公判】
NEWSポストセブン
バドミントンの大会に出場されていた悠仁さま(写真/宮内庁提供)
《部活動に奮闘》悠仁さま、高校のバドミントン大会にご出場 黒ジャージー、黒スニーカーのスポーティーなお姿
女性セブン
足を止め、取材に答える大野
【活動休止後初!独占告白】大野智、「嵐」再始動に「必ず5人で集まって話をします」、自動車教習所通いには「免許はあともう少しかな」
女性セブン
裏金問題を受けて辞職した宮澤博行・衆院議員
【パパ活辞職】宮澤博行議員、夜の繁華街でキャバクラ嬢に破顔 今井絵理子議員が食べた後の骨をむさぼり食う芸も
NEWSポストセブン
今年1月から番組に復帰した神田正輝(事務所SNS より)
「本人が絶対話さない病状」激やせ復帰の神田正輝、『旅サラダ』番組存続の今後とスタッフが驚愕した“神田の変化”
NEWSポストセブン
大谷翔平選手(時事通信フォト)と妻・真美子さん(富士通レッドウェーブ公式ブログより)
《水原一平ショック》大谷翔平は「真美子なら安心してボケられる」妻の同級生が明かした「女神様キャラ」な一面
NEWSポストセブン