国内

財務省 復興増税で3LDK月4万円の105億円豪華官舎着工

 財務官僚から「野田さんの財務相時代の最大の功績」と呼ばれているのが、豪華公務員住宅の建設再開だ。

 野田氏が首相に正式就任する前日の9月1日、財務省(関東財務局)は埼玉・朝霞市の「公務員宿舎朝霞住宅」を着工させ、“役人天国の復活”を見せつけた。

 総事業費約105億円で850戸を建設。家賃は新築3LDK(75平方メートル)で約4万円、駐車場も月額3262円と民間相場の3分の1以下の格安だ。

 なぜこれが「野田氏の最大の功績」なのかというと、民主党政権の看板だった事業仕分けの「仕分け人」たちを籠絡した結果だからだ。

 政権交代直後、第一回事業仕分け(2009年11月)で、財務省が計画していた7700戸の公務員住宅の建て替え(4200億円)は全面凍結。責任者だった枝野幸男・現経産相は、入札が終わっていた朝霞住宅についても、「建設業者にキャンセル料を払っても土地を売ればトントンだ」――と強硬に建設を中止させていた。

 ところが、野田氏は財務相時代に、凍結を決めた当の枝野氏、蓮舫氏ら仕分け人たちとそれを覆した。

「財務省は昨年末の有識者会議で凍結解除の方針を決め、野田大臣が当時の枝野官房長官や蓮舫行政刷新相の了承を得て建設再開の関連予算をつけた。そして大震災後の7月末に政府の復興対策本部が国有財産を売却して復興財源にあてる方針を打ち出すと、『古い官舎の跡地を売却するには新しい官舎が必要』という理屈で朝霞市に工事再開を通告した」(内閣府中堅)

 今年12月には、同じ屁理屈で東京・杉並区の方南町住宅を着工、勝島住宅で入札を始める予定だ。

 実質的にはこれらの公務員住宅は「復興増税」で建てられる。野田政権は「復興財源のために国有財産を売却し、足りない分は増税で賄う」と説明しているからだ。古い官舎の国有地を売却するだけなら、売却費用は復興に回せる。しかし、復興に回すはずのそのカネを自分たちの新宿舎の建設費にあて、復興資金のほうは増税で賄おうというのだから詐欺まがいである。

 野田政権は公務員住宅建設を批判されると、「一部に被災者を入居させてもいい」と言い出した。国民のカネで自分たちの家を建てようというのに、その高飛車ぶりは何なのか。

 いまだ被災地では仮設住宅の供給さえ滞ったまま、ひと足早い秋風が身に染みる季節を迎えている。

※週刊ポスト2011年9月30日号

関連記事

トピックス

金メダリスト萩野公介の離婚の真相に関係するであろう一文字
【萩野公介・離婚の真相】スピリチュアルな話が増えてmiwaとの夫婦生活に区切り、LINEプロフィールが“漢字一文字”に変わり周囲びっくり
女性セブン
神戸大学のバドミントン同好会「A(仮名)」 迷惑行為が問題になっている
《障子にパンチ、天井に胴上げアタック》神戸大学のバドミントン同好会が旅館を破壊か 大学側は「事実関係を調査中」
NEWSポストセブン
大谷の母・加代子さん(左)と妻・真美子さん(右)
《大谷翔平を魅了》結婚相手・真美子さんの手料理は「お店のようなクオリティ」母・加代子さんの想いを受け継ぐ「温かな食卓の原風景」
NEWSポストセブン
ドジャースの公式Xより
ドジャース山本由伸が韓国遠征で「ジャージー×400万円バーキン」ファッション、なぜ野球選手は“ブランド好き”? かつては「ヴィトン×金ネックレス」が定番
NEWSポストセブン
税務職員たちの“カネにまつわる不祥事”が次々と明らかになった
【情報公開請求】税務署職員の懲戒処分144件を調査 カネに関する不祥事が続々「虚偽の確定申告」「不正受給」「勤務中FX15000回」で処分も
NEWSポストセブン
大谷翔平(時事通信フォト)と妻の田中真美子さん(レッドウェーブ公式サイトより)
大谷翔平の結婚相手・田中真美子さん、抜群の好感度でメディア出演待望論 モデル、キャスター、インフルエンサーなど幅広い分野での存在感に注目
NEWSポストセブン
活動は今年10月で一区切り“スーパーボランティア”尾畠春夫さん(84)
《右耳聴覚も失っていた》“スーパーボランティア”尾畠春夫さん(84)が語った「活動は今年10月で一区切り」と「叶えたい夢」
NEWSポストセブン
3月5日に「ガスト」店内と思われる場所で撮影された”調味料一気飲み”の動画が拡散された
《ガストで調味料一気飲み》迷惑動画を撮影・SNS拡散の3人がついに全員謝罪も運営会社は「厳正な対処」を継続方針
NEWSポストセブン
大谷翔平(Getty Images)と妻の田中真美子さん(レッドウェーブ公式サイトより)
【彼女はめっちゃ甘え上手】大谷翔平の結婚相手・田中真美子さん、大学同窓生が明かす素顔「チャラ男は好きじゃない」
NEWSポストセブン
羽生と並んで写真に収まる末延さん(写真はSNSより)
【全文公開】羽生結弦のアイスショーとバイオリニスト元妻のディナーショー、公演日程が丸かぶり 「なぜ同じ日に?」と関係者困惑
女性セブン
元横綱・白鵬の周りでは様々なトラブルが…
元白鵬・宮城野親方に関する「暴行告発状」“白鵬米”販売会で写真撮影をめぐるトラブル「取り巻きが市議にヘッドロック」証言
週刊ポスト
話題になっているジャッキー・チェンの近影(微博より)
《ジャッキー・チェンの現在》今年70歳になる大スターの近影に中華圏で驚きの声あがる「ちょっと急に老けすぎでは」
NEWSポストセブン