ライフ

ぎんさん五女「25才過ぎても独身の女性は白い眼で見られた」

「きんは100シャア、ぎんも100シャア」――そんな名セリフで日本中を沸かせた双子の100才、きんさんぎんさん。あれから20年が経ち、ぎんさんの4人の娘たちもいまや平均年齢93才、母親譲りのご長寿だ。その4姉妹がそれぞれの結婚について語ってくれた。

愛知県、とりわけ名古屋は全国的に見ても、豪華な結婚式を挙げることで有名だ。遠い京都へ嫁いだ長女・年子さん(98)の祝言こそ控えめだったが、三女・千多代さん(93)の祝言はそれは盛大なものだった。

千多代さん:「嫁入り道具はたんすが2棹、それに長持(収納箱)、鏡台に裁縫板、お針箱にふとん、そいから着物など、トラックに2台分。見事なもんだったよ」

そして、親族が会しての宴が開かれ、ドンチャカ、ドンチャンと、飲めや歌えの祝いの膳は夜遅くまで続いた。四女・百合子さん(91)の結婚式はそれとは対照的だ。

百合子さん(91):「私のときはそんなのできんかった。戦争の時代になったからね、なーんもなしの結婚式だったわ」

1941年12月8日、日本はハワイの真珠湾を攻撃して太平洋戦争へと突入。時代は暗いトンネルをくぐり始めた。百合子さんが結婚したのは、その戦争が熾烈を極めるようになった1944年(昭和19年)12月のことだった。

百合子さん:「若い男の人はな、徴兵制でみんな兵隊にとられて、残っとる人はきゃしゃな人とか、体の弱い人ばっかりになった。そしたら、たまたま戦地から一時戻った人がおってな、叔母のすすめで慌てるようにして見合いをすることになったがね」

こうして百合子さんは、24才で名古屋市の佐野家に嫁ぐことになった。五女の美根代さん(89)は、結婚と年齢についてこんなことを語ってくれた。

美根代さん:「昔はな、女は24才になると、結婚適齢期のぎりぎりだった。だから、私も戦後の1947年に24才で、養子になったこの写真の夫と見合いした。女性はたいがいが20才ぐらいで嫁に行ったから、25才を過ぎるとね、近隣からは白い眼で見られる。いまでは考えられん時代やったなあ」

婿を取った美根代さんこそ残ったものの、戦争という時代のなかで、長女、三女、四女と3人の娘を他家へ嫁がせた母親・ぎんさん。娘たちには厳しい覚悟を伝えたが、ひとり、ふたりと家を離れていくたびに、蟹江家は静かになっていった。ぎんさんは、娘たちの幸せを願いながらも、その内心は、ぽっかりと穴が開くように寂しかったに違いない。

※女性セブン2011年12月8日号

関連キーワード

関連記事

トピックス

岡田監督
【記事から消えた「お~ん」】阪神・岡田監督が囲み取材再開も、記者の“録音自粛”で「そらそうよ」や関西弁など各紙共通の表現が消滅
NEWSポストセブン
成田きんさんの息子・幸男さん
【きんさん・ぎんさん】成田きんさんの息子・幸男さんは93歳 長寿の秘訣は「洒落っ気、色っ気、食いっ気です」
週刊ポスト
愛子さま
【愛子さま、日赤に就職】想定を大幅に上回る熱心な仕事ぶり ほぼフルタイム出勤で皇室活動と“ダブルワーク”状態
女性セブン
テレビや新聞など、さまざまなメディアが結婚相手・真美子さんに関する特集を行っている
《水原一平ショックを乗り越え》大谷翔平を支える妻・真美子さんのモテすぎ秘話 同級生たちは「寮内の食堂でも熱視線を浴びていた」と証言 人気沸騰にもどかしさも
NEWSポストセブン
嵐について「必ず5人で集まって話をします」と語った大野智
【独占激白】嵐・大野智、活動休止後初めて取材に応じた!「今年に入ってから何度も会ってますよ。招集をかけるのは翔くんかな」
女性セブン
行きつけだった渋谷のクラブと若山容疑者
《那須2遺体》「まっすぐ育ってね」岡田准一からエールも「ハジけた客が多い」渋谷のクラブに首筋タトゥーで出没 元子役俳優が報酬欲しさに死体損壊の転落人生
NEWSポストセブン
不倫騒動や事務所からの独立で世間の話題となった広末涼子(時事通信フォト)
《「子供たちのために…」に批判の声》広末涼子、復帰するも立ちはだかる「壁」 ”完全復活”のために今からでも遅くない「記者会見」を開く必要性
NEWSポストセブン
前号で報じた「カラオケ大会で“おひねり営業”」以外にも…(写真/共同通信社)
中条きよし参院議員「金利60%で知人に1000万円」高利貸し 「出資法違反の疑い」との指摘も
NEWSポストセブン
二宮が大河初出演の可能性。「嵐だけはやめない」とも
【全文公開】二宮和也、『光る君へ』で「大河ドラマ初出演」の内幕 NHKに告げた「嵐だけは辞めない」
女性セブン
森高千里、“55才バースデー”に江口洋介と仲良しショット 「妻の肩をマッサージする姿」も 夫婦円満の秘訣は「お互いの趣味にはあれこれ言わない」
森高千里、“55才バースデー”に江口洋介と仲良しショット 「妻の肩をマッサージする姿」も 夫婦円満の秘訣は「お互いの趣味にはあれこれ言わない」
女性セブン
JR新神戸駅に着いた指定暴力団山口組の篠田建市組長(兵庫県神戸市)
【ケーキのろうそくを一息で吹き消した】六代目山口組機関紙が報じた「司忍組長82歳誕生日会」の一部始終
NEWSポストセブン
品川区で移送される若山容疑者と子役時代のプロフィル写真(HPより)
《那須焼損2遺体》大河ドラマで岡田准一と共演の若山耀人容疑者、純粋な笑顔でお茶の間を虜にした元芸能人が犯罪組織の末端となった背景
NEWSポストセブン